南アのクラウドソーシング「Zind」は現実の問題を解決するためにデータサイエンティストのコミュニティを構築、AIも活用

Zindi(ジンディ)は、AIを使用して企業や個人の現実の問題を解決することを目指している。そして、南アフリカを拠点とするこのクラウドソーシングスタートアップは、過去3年間それをずっと実践してきた。

ちょうど2020年、Zindiに参加するデータサイエンティストのチームが機械学習を用いてウガンダの首都カンパラの大気モニタリングを改善し、また別のグループはジンバブエの保険会社のZimnat(ジンマット)が行う顧客の行動予測(特に解約しそうなひとの予測や解約を思いとどまらせるための有効な手段の予測)を支援した。Zimnatは、他のやり方では解約していたであろう人びとにカスタムメイドのサービスを提供することによって、顧客の解約を防ぐことができた。

これらは、企業、NGO、政府機関がZindiに提示した、データ中心の課題に対して実現されたソリューションの一部だ。

Zindiはこれらの課題を発表し、データサイエンティストのコミュニティに対してソリューション発見コンテストに参加するよう呼びかけている。参加しているデータサイエンティストがソリューションを提出して、採用された者が賞金を獲得する。コンテストの主催者は、自身の課題を克服するために寄せられたもののうち最良の結果を利用することができる。たとえばウガンダ全土の大気汚染を予測するための解決策を模索しているAirQo(エアクオ)による大気質監視プロジェクトや、Zimnatの損失削減を支援することなどが解きたい課題だ。

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「このおかげで、いまやAirQoは、一般の人々が大気質と大気質の予測を確認できるダッシュボードが提供できています。このプロジェクトのエキサイティングな点の1つは、AirQoがプロジェクトの実装を支援するためにコンテストから2人の勝者を採用したことです」とZindiの共同創業者でCEOのCelina Lee(セリーナ・リー)氏は述べている。他には南アフリカのMegan Yates(メーガン・イエーツ)氏とガーナのEkow Duker(エコー・ダッカー)氏が、プラットフォームの共同創業者だ。

リー氏は「AirQoはまた、彼らが構築したソリューションに対してGoogleから資金を調達し、他のアフリカ諸国にもそれを展開していく予定です」と語る。このコンテストはバーミンガム大学のDigital Air Quality East Africa(DAQ EA)ならびにカンパラのマケレレ大学のAirQoプロジェクトと提携して開催されたコンテストだったのだ。

Zindiは、アフリカ全土のデータサイエンティストのデータベースだ。このクラウドソーシングスタートアップは、最近100万ドル(約1億1300万円)のシード資金を調達した(写真クレジット: Zindi)

Zindiを利用した他の注目すべき民間および公的組織には、Microsoft(マイクロソフト)、IBM、Liquid Telecom(リキッドテレコム)、UNICEF(ユニセフ)、および南アフリカ政府が含まれている。スタートアップの、発足以来の成長を目の当たりにして、リー氏はZindiが達成できたことに興奮しており、コミュニティの将来に情熱を注ごうとしている。このプラットフォームは現在、代替手段を提供しており、アフリカ全土で事業を展開し、しばしば高額な従来のコンサルティング会社との競争を激化させている。

Zindiのユーザーは、2020年の初めから3倍に増え、大陸の45カ国から3万3000人のデータサイエンティストを集めるまでになっている。また、データサイエンティストたちに対して30万ドル(約3384万円)の対価を支払った。

この数は、Zindiが2022年3月に、大学生たちがさまざまな解決策を求めて互いに競い合う、3回目の大学間Umoja Hack Africaチャレンジを主催することで増加するだろう。

Zindiは、この大学間コンテストを利用して、学生を実用的なデータサイエンスの経験に従事させ、AIを使って実際の課題を解決させている。2020年のイベントは、パンデミックのためにオンラインで行われたが、プラットフォーム上に約2000人の学生が集まった。

サンフランシスコ出身のリー氏は「学生は最初の機械学習モデルを構築して、そこから、キャリアと教育へのあらゆる種類の扉が開かれます」と述べている。

Zindiには現在「学習から稼ぎまでの道のりを短くする」ためのジョブポータルが用意されている。組織は、人材配置ポータルに人材募集を投稿することで、そこにある人材のプールを活用することができる。

このクラウドソーシングプラットフォームは、新進のデータサイエンティストにトレーニング資料を提供する学習コンポーネントの導入も計画している。これは、プラットフォームが知識のギャップとトレーニングの必要性を認識したためだ。一方リー氏は、Zindiのユーザーのほとんどは、学習経験を必要としている学生や、世界の問題を解決するために高度なスキルを必要とする人たちであるという。

新しい計画は、最近プラットフォームが調達した100万ドルのシード資金によって可能になる。

画像クレジット: Zindi

リー氏は「私たちにとって、それはコミュニティを拡大し、すべてのデータサイエンティストにとってより多くの価値を生み出すことなのです」と語る。

「私たちが理解していることの1つは、特にアフリカでは、データサイエンスが非常に新しい分野であるということです。そのため、この資金を使って、より多くの学習コンテンツを導入していきます。そして、私たちのデータサイエンティストの多くは、まだ大学生か、キャリアの非常に早い段階にいます。彼らは、とにかく自分たちのスキルを学び身につける機会を探しているのです」。

シードラウンドは、サンフランシスコを拠点とするVCのShaktiが主導し、Launch Africa、Founders Factory Africa、FIVE35が参加した。

リー氏によれば、これらの計画はすべて、アフリカ大陸で強力なデータサイエンスコミュニティを構築することを目的としていて、近い将来、プラットフォームのユーザーを100万人に増やすことを目指しているという。これは、キャリアの初期段階にいるデータサイエンティストにトレーニングの機会を提供し、コラボレーションとメンターシップを促進する強力なコミュニティを形成することによって達成可能だと彼女はいう。

リー氏は次のように述べている「そして、最終的にはアフリカで100万人のデータサイエンティストにリーチしたいのですが、そのためにはデータサイエンスを、この分野で成功するキャリアを追求することに関心のある若い人なら誰でも、必要なツール、つながり、経験にアクセスできるようしたいと考えています」。

「私たちのビジョンは、誰もがAIにアクセスできるようにすることです」。

画像クレジット:Zindi

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(文: Annie Njanja、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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