任天堂のSwitchはソフトウェアに関する限り、製品として成立する最小限という感じだ。起動したとき表示される画面は実際のソフトというよりモックアップのように見える。大きな空白の四角は将来追加されるソフトウェアのためのダミーのようだ。ユーザーが新しいゲームをダウンロードまたはカートリッジで入手するとこの四角に表示される。しかしゲームタイトルは現在懸命に作成中らしい。オンライン・ストアに飛んでみても事情はあまり好転しない。ゲームは9本あるが、トップクラスのゲームといえるのは1、2本だろう。
それでも任天堂Switchは私が実際に手にしたゲーム専用機の中でベストの1台だ。ゲームタイトルが充実してくればSwitchの持つ可能性ははかりしれない。
まず第一に、Switchはゼルダの伝説―ブレス・オブ・ザ・ワイルド というゲームひとつだけで成功するのに十分だ。このゲームの素晴らしさは一言では表現できない。プレイヤーはこの不思議な世界に最小限の抵抗で入って行くことができる。プレイのマニュアルなどはほとんどない。ゲームのルールはゲームの中で自然に気づくようにデザインされている。またゼルダには非常に幅広いプレイ方法が含まれている。プレイヤーはこっそりあちこち動き回って様子を見ながら戦闘能力を高めることができる。強力な敵から走って逃げ切ることもできる。気が向くなら美しい自然の中を何時間ものんびり歩き回って果物を摘んだり怪物を倒したりできる。どれを選ぶかはユーザーの気分とプレイのスタイル次第だ。
しかしブレス・オブ・ザ・ワイルドの成功については多くの記事が書かれている。 見過ごされがちなのは任天堂がSwitchのソーシャル・ゲーム機としての能力を巧みにアピールする小さなゲームを同時に公開している点だ。これらのゲームはでSwitchにほぼ無数のプレイ方法があることがデモされている。素晴らしいイノベーションだし、実際使い勝手も良い。
注意点:ゲームタイトルの少なさが問題にされがちだが、スーパーボンバーマンR とスニッパーズ〔注意:音声が自動再生される〕はどちらも非常に優れたゲームだ。どちらもマルチ・プレイヤーでプレイできる。スニッパーズは2人のプレイヤーが協力するというユニークなプレイ方法だ。こうしたゲームは本体から分離可能なSwitchのコントローラー、Joy-Conの能力を発揮するのに最適だ。スーパーボンバーマンRはローカル・ネットワークによるマルチプレイをサポートしており、複数のSwitchを持ち寄って楽しめる。またこのゲームは既存のコンソール上ですでにシリーズ化されているので馴染みのあるプレイヤーも多いだろう。Joy-Conを表現したスニッパーズのゲームキャラクターは可愛らしい。マルチプレイヤー・ゲームとしてはWiiのスーパーマリオブラザーズ を思わせるがこちらは競走より協力に重点を置いている。【略】
当面、Switchはゲームタイトルの数が少ないことに加えて、最近トレンドになっているオンライン・メディアの再生オプションに乏しい(Netflixが再生できないのは最大の欠点だと思う)。しかし任天堂は目下新しいゲーム機の使い勝手と新機能を浸透っせる努力に集中しているようだ。そしてこれに成功しつつあると思う。この勢いのまま新機能を十分に生かせるゲームタイトルが後続するなら、長期的に成長可能な新たなプラットフォームとなるのではないか?
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)