専門知識がない人でも手軽にネットショップを作れる「STORES.jp」。現在までに8万以上のストアが開設され、100万点を超える商品が登録されているという。その中には、自らのTwitterやFacebookの影響力を駆使して、年間5000万円を売り上げるストアもあるのだとか。とはいえ、簡単にストアは作ったものの、ほとんど売れない人のほうが圧倒的多数。STORES.jpとしてもこうした現状を理解していて、「売れるストア」を作るための提携戦略を進めている。
その中で最も話題となったのは、親会社のスタートトゥデイと共同で開発したアパレル特化型のマーケットプレイス「ZOZOMARKET」だ(関連記事)。STORES.jpでストアを開設したオーナーは、管理ページ内の「プロモーションスイッチ」を有効にするだけで自動的に商品がZOZOMARKETに掲載される。販売力の弱い中小のアパレルストアにとって、「STORES.jpに出せばZOZOで販売できる」のは魅力。STORES.jpを運営するブラケットの光本勇介社長は、「できたてホヤホヤの地方アパレルの商品が毎月数百個レベルで売れている」と話す(もちろん、こうした成功事例の影には閑古鳥が鳴いているストアが多数あるだろうが)。
ZOZOMARKET以外にも、「売れるストア」作りに向けた施策を年末から今年にかけて矢継ぎ早に打ち出している。2013年12月にはユザワヤ商事とハンドメイド作品専門の「ユザワヤマーケット」を開設、2014年2月には「ヤフオク!」と連携(関連記事)、同月には同人誌販売の「コミックとらのあな」と「とらのあなマーケット」を開設、そして本日、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」と「PASS THE BATONマーケット」を3月28日に開設することを発表した。今後は全国363店舗の雑貨チェーン「ヴィレッジヴァンガード」と「ヴィレッジヴァンガード・マーケット」をオープンする予定だ。
提携先として重視しているのは、根強いファンがいて集客力のある企業かどうか。これらの事例ではいずれも、ストアオーナーが管理ページでプロモーションスイッチを有効にするだけで、提携先サイトに商品が露出される。光本氏によれば、プロモーションスイッチを有効にしているストアと、そうでないストアを比べると、1カ月で売り上げが2.7倍も変わるのだとか。
STORES.jpは専門知識がなくても利用できる手軽さがウリなだけあって、「ITリテラシーの低いストアオーナーが少なくない」と光本氏は指摘する。そうしたオーナーに対しては知識を詰め込むのではなく、「プロモーションスイッチを有効にしていたら、いつのまにか売れていた」という状況が理想だという。「売れないストアを生成しても意味がない」(光本氏)。
無料でネットショップを作成できる国内の競合サービスとしては、1月末時点で7万店が開設されているBASEがある。どちらも初期費用や販売手数料は無料だが、掲載できる商品数はBASEが無制限、STORES.jpは5点まで(月額980円のプレミアムプランに加入すれば無制限)だったり、BASEが無料で独自ドメインを取得できる一方で、STORES.jpはプレミアムプラン加入者のみ取得可能といった違いがある。BASEについて光本氏は、「よく比較されるが、我々の強みは圧倒的に売る導線を確保していること」と話していて、外部との提携戦略で差別化を図っていく考えだ。