noteがBASEとの資本業務提携を発表、クリエイターのファン形成・集客・販売を支援

noteがBASEとの資本業務提携を発表、クリエイターのファン形成・集客・販売を支援

メディアプラットフォーム「note」(ノート。Android版iOS版)を運営するnoteは1月12日、Eコマースプラットフォーム「BASE」(ベイス)を提供するBASEを引受先とする第三者割当増資による資金調達と、資本業務提携契約の締結を発表した。今回の提携により、D2Cビジネスを手がけるクリエイターや、個人やスモールビジネスで活動するクリエイターのファン形成・集客・販売を両社で支援していく。

ファン形成・集客・販路の拡大など両社の顧客に提供する価値の最大化を目的に、累計130万ショップ超(2021年1月時点)のBASE加盟店と会員登録数260万人以上のnoteのクリエイターをつなぎ、誰でもD2Cビジネスがしやすい環境を促進する。

まずは、noteを活用し商品・ブランドの背景にあるストーリーや作り手の思いを発信し、発信した情報に共感したファンが「BASE」で開設されたネットショップで商品を購入する流れをスムーズにする機能開発を共同で進めていく。

  • noteとBASEで開設されたネットショップ、相互への導線設置
  • BASEで開設されたネットショップの管理画面から、noteに記事を投稿できる機能の設置
  • noteのショッピングカテゴリーの記事が集まるメディアの活性化

BASEは、「Payment to the People, Power to the People.」をミッションに決済の簡易化に取り組む企業。主力事業である、ネットショップ作成サービス「BASE」を通じ、個人やスモールチームがクレジットカード決済やキャリア決済、後払い決済をはじめ多様な決済手段をできる限り簡易に導入できる環境や、資金調達をよりスムーズに実施できるサービスを提供。MSMB(Micro, Small and Medium Business)層を支援し、世界中の人々が自由に経済活動を行える基盤を構築している。

noteは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」をミッションに、表現と創作の仕組みづくりを行い、メディアプラットフォーム「note」は、クリエイターのあらゆる創作活動を支援。クリエイターがコンテンツを発表したり、サークルでファンや仲間と交流したり、ストアでお店やブランドオーナーが商品を販売したりといったことが可能となっている。また「note pro」では、企業や団体は情報発信を行える。コンテンツ配信サイト「cakes」(ケイクス)も運営している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)
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オンラインショップサービスのBASEが東証マザーズ上場へ、上場日は10月25日

手軽にオンラインショップを開設できるサービス「BASE」を運営するBASEが、東証マザーズに上場することが9月20日に明らかになった。上場日は10月25日。発行株式(普通株式)は40万5000株、発行価額の総額は5億6112万7500円、資本組入額の総額は3億3007万5000円、主幹事証券会社は大和証券となる。

BASEは2019年8月にショップ開設数が80万店を突破したことを発表するなど、業績は好調に推移している。

詳細は追って追記する。

BASEが出店者向けに即時資金調達できる金融サービス「YELL BANK」をスタート

ネットショップ作成サービス「BASE」を運営するBASEは12月5日、ネットショップのオーナーが即時に資金調達できるサービス「YELL BANK(エールバンク)」の提供を開始した。

YELL BANKは、BASEに出店するショップオーナーを対象にした金融サービス。BASEの管理画面に資金調達のページが追加され、表示される3パターンの調達額から金額を選択し、規約に同意するだけで資金が調達でき、即時に管理画面の振込可能残高に反映される。

資金の支払いは、ショップの商品が売れる度に、売上代金から一定の支払率に応じた金額がYELL BANKに支払われる。支払いは商品が売れた時のみ。売上がなかった月に支払う必要はないため、出店者はリスクなく、資金の即時調達が可能となっている。

YELL BANKの運営は、1月に設立したBANKの100%子会社、BASE BANKが実施する。融資を実現するためにYELL BANKでは、BASEの店舗データを利用して与信を行い、条件を満たした出店者に対して金融サービスを提供。サービス利用可能なショップオーナーには、サービスの案内が順次送られるとのことだ。

具体的なスキームは、BASEのデータから各店の将来の売上金額を予測し、YELL BANKが出店者から将来の売掛債権を買い取る、というもの。調達可能な金額は1万円〜1000万円。初期費用、月額費用は不要だが、利用金額に応じて1%〜15%のサービス利用料がかかる。

BASE上では売上の実績などがあっても、既存の金融機関の融資を利用できなかったショップオーナーにとっては、新しい商品作りや機材導入などの資金を得るチャンスができることになる。

BASEは5月にも、出店店舗が独自のコインを販売して、店のファンから資金調達できるサービス「ショップコイン」をリリースするなど、ショップオーナーを資金面でも支援する施策を展開。ファッションやエンタメ・ホビーの分野を中心にショップを増やし、9月にはショップ開設数が60万を超えている

ZendeskがBaseを取得してCRMに拡大

これまでZendeskは、ほとんど顧客サービスのシナリオだけに専念してきたが、どうやら最早それだけでは十分ではないようだ。インタラクションの背後にいる顧客を本当に知りたいのならば、顧客サービスコンポーネントと一緒に働く顧客記録システムを必要とする。その必要性を満たすためにZendeskBaseの買収を発表した。Baseは既に5000万ドル以上を調達してきたスタートアップである。

両社は購入価格を公表しなかったが、Zendeskはこの買収は収益に大きな影響を与えない筈だと公表している。

CRMの世界でBaseは、Salesforce、Microsoft、またはOracleのようには知られた存在ではないだろう。同社は、独自の人工知能基盤を備えた、洗練された営業自動化プラトッフォームを構築した。CEOのUzi Shmiloviciは、営業パーソンに対して成功に向けての意味のある助言を行うためのAIを2016年にリリースした際に、同社のAIはより余裕のある競合相手たちに十分対抗できると主張した。

Zendesk CEOのMikkel Svane(冒頭の写真)は、もちろん彼のプラットフォームにBaseのような会社を追加することに価値を見出している。「Zendeskが既に顧客サービスのために行ってきたことを、営業活動のために提供したいと思っています。つまり営業パーソンと彼らが相手にしている人たちのために作られたツールを提供するということです」と彼は発表声明の中で述べている。

顧客データの中核に、顧客サービス、CRM、マーケティングが含まれているのなら、BaseはZendeskに欠けているそうしたコンポーネントの1つを提供する、と語るのはこの市場を注視しているCRM Essentialsのオーナー、Brent Learyである。

「Zendeskは顧客サービスで大きな地位を占めていますが、今や統合プラットフォームを探している中堅/企業顧客に対する立場を強化しました。Baseは強力な営業活動自動化のピースをパズルに提供します」と、LearyはTechCrunchに語った。

彼が指摘しているように、私たちはHubSpotがHubSpot Appsを使って似たような動きをしている事を見ているが、その一方SugarCRM(最近Accel-KKRに買収された)も、新しいオーナーの潤沢な資金を用いた買収を仕掛けるかもしれない。「これはほとんど、CRMエンタープライズソフトウェアによるHunger Games(小説/映画の名前。登場人物たちが最後の1人になるまで殺し合う)と同じです」と彼は冗談を言った。彼は、これらの企業はより完全なソリューションを提供するためにプラットフォームの欠けている部分を獲得しようとしているので、さらに多くの統合が起こることが予想できることを示した。

Zendeskの製品ポートフォリオのシニアバイスプレジデントだったMatt Priceが、Baseチームを前進させる。

Baseは2009年に設立され、5000以上の顧客を誇っている。Baseは既に、Zendeskのアプリマーケットプレイスで売られていたことを指摘して置くことには意味があるだろう。よってここには多少のオーバーラップが存在する。もちろんZendeskは既存の顧客をBeseに移行させようとするだろう。

Zendeskは、Baseのすべての顧客を引き続きサポートすることを表明している。さらにBaseの125人の従業員全員が、Zendeskに入社するように招待されているので、ここで流血の心配はない。

[原文へ]
(翻訳:sako)

独自コインを通じて資金とファンを獲得、「SPOTSALE」や「BASE」が新たな取り組み

近年クラウドファンディングを筆頭に、個人や企業が共感してくれたファンから資金を集められる仕組みが増えてきている。

5月17日にお店の“会員権”取引所「SPOTSALE(スポットセール)」が発表した「SPOT COIN」や、同月14日にネットショップ作成サービス「BASE」が公開した「ショップコイン」もまさにその手段のひとつ。

これらのサービスは店舗が“独自のコイン”を発行することで、初期の資金調達やファン獲得を実現できるものだ。

ユーザー間での売買も可能な「SPOT COIN」

イジゲンが2018年3月にリリースしたSPOTSALEは、飲食店や美容室などの店舗と顧客をつなぐ会員権の取引所だ。店舗は優待つき会員権を発行しユーザーに購入してもらうことで、資金と顧客を同時に獲得できる。またユーザーが購入した会員権を売買できる点がクラウドファンディングとの大きな違いだ。

今回イジゲンが発表したSPOT COIN(リリース日は6月15日)は、SPOTSALEに上場する企業や店舗が独自のコインを公募し、発行できるポイント機能のようなもの。コインはユーザー間で売買できるほか、実店舗やECサイトでの決済(SPOT Pay)、店舗がSPOTSALEで発行する会員券の購入にも使える。

ユーザーがサービスや会員権をディスカウント価格で購入できる仕組みを作ることで、店舗が資金集め・ファン集めをしやすい環境を構築。より良いサービスを早期から提供できるような経済システムの創造を目指しているという。

資金決済に関する法律(資金決済法)における「前払式支払手段」に該当するかが気になるところだが、SPOT COINでは有効期限を半年間としているため資金決済法の適用対象にはならないという(発行の日から6月内に限って使用できるものは適用対象外。前払式支払手段については日本資金決済業協会のサイトに詳しい記載がある)。

イジゲン代表取締役CEOの鶴岡英明氏によると「最初は第三者型で登録することを検討していたが、SPOTSALEの場合では(コイン価格が変動して大幅に上昇する可能性もあり)供託金が調達した金額を超えてしまうリスクがある」ため、リスクを避けるべく6ヶ月の期限を設けたそうだ。

そのためSPOT COINを購入したユーザーは半年以内に「SPOT Payで使う」「売却する」「会員権を購入する」のどれかを選択する必要がある。

今後イジゲンではSPOT COINの第1弾として、6月15日より自社の独自コイン「イジゲンコイン」の公募販売を開始する計画。同コインはイジゲンが提供するサービスの支払い手段として利用できるようにする予定だ。

BASE出店店舗が使える新たな資金調達手段「ショップコイン」

また先日ネットショップ作成サービスのBASEからも、ショップコインという新たなサービスがリリースされた。これはBASEに出店する店舗が独自のコインを販売することで資金を調達できる機能だ。

コインは作成元の店舗でのみ、1コイン1円として利用が可能。販売価格は100コインあたり50〜100円の範囲で選べるため、コインの価格を100円より安く設定すればユーザーが利用時に割引を受けられるようになる。店舗はコインの作成にあたって資金を集める目的を「公約」として明記する必要があり、この内容などをもとに運営側で審査を実施。通過した場合のみコインを販売できる仕組みだ。

ショップコインのサイトに「このサービスの本質的な目的は『ファンとの関係を継続すること』にあると私達は考えています」とあるように、資金調達の手段としてだけでなく、熱心なファンを獲得するきっかけにもなりそうだ。

まだ知名度が低い店舗でも割引価格でコインを発行すれば注目するユーザーがでてくる可能性もあるし、早くから応援してくれたファンにはサービスを他の顧客よりも安く提供することで期待に応えることができるだろう。

なお先に紹介したSPOT COINと似ている部分もあるが、ショップコインの場合は購入したコインをユーザー間で売買する二時流通の仕組みはない。資金決済法上の「自家型前払式支払手段」にあたるものの、各店舗が販売できる上限金額は1000万円以下となっているため「自家型発行者」には該当せず、資金決済法やこれに関係する金融庁のガイドライン等に基づく規制の対象にもならないという。

今回紹介した2つのサービスとは方向性の異なる部分もあるが、3人以上のコミュニティが「コミュニティコイン」を発行することで支援者を集めることのできる「fever」や、個人や店舗が特典を設定した無料の“ポイント”を配布できる「MINT」といったサービスもでてきている。

これらのサービスによって、店舗とファンの関係性の築き方もより広がっていきそうだ。

BASEが丸井グループから資金調達、6月より渋谷マルイで常設店舗オープンへ

ネットショップ開設サービス「BASE」を提供するBASEは4月17日、丸井グループを引受先とした第三者割当増資による資金調達とともに、資本業務提携を実施したことを明らかにした。

調達額は非公開。なお今回の提携に伴い、2018年6月より渋谷マルイ1階にBASEの出店店舗なら誰でもレンタル可能な常設店舗をオープンする予定だという。

BASEでは2017年10月より丸井グループとの協業を開始。BASEへ出店する店舗に対し、丸井グループの展開する新宿マルイ本館、マルイファミリー溝口、有楽町マルイ、博多マルイにて、ポップアップショップによる実店舗での販売支援を実施してきた。

BASE担当者によると「ECとリアル店舗では売れる商品や売れ行きも異なり、特に初めて実店舗で販売するユーザーからは言い反響があった」という。これまでは期間限定のポップアップストアという形態で実店舗の運営を行っていたが、2018年6月より常設の店舗を渋谷マルイ1階にオープンする予定だ。

本件について同社では「将来的に多くの人々に受け入れられるブランドへと成長する可能性を秘めた店舗に対して、常設店舗での販売機会と販促ノウハウを提供し、各店舗の認知度向上や、新規顧客の獲得など、商機拡大を目指してまいります」としている。

また決済をはじめとするフィンテック面でも協業する方針。こちらについては具体的な話は今後進めていくということだが、「PAY ID」および「PAY.JP」を提供する100%子会社のPAYを絡めた話になりそうだ。

BASEは直近で2018年1月にグローバル・ブレインとマネーフォワードから15億円を調達。それ以前にも2014年5月にグローバル・ブレインから3億円を調達し、2016年1月にはメルカリから最大4.5億円の出資を含む資本業務提携を実施。2016年10月にもSBIインベストメント、SMBCベンチャーキャピタルなどから総額15億円の資金調達を行っている。

なお同社では本日、BASEのショップ開設数が2018年4月に50万店舗を突破したことも発表している。

 

ネットショップ作成サービス「BASE」CMに香取慎吾さんが出演へ

この数年、一般ユーザー向けアプリを中心に、グノシーやメルカリといったスタートアップもテレビCMを流すようになってきている。今日発表があったのは、ネットショップ作成サービス「BASE」初のCM放映。3月3日(土)からスタートするCMに出演するのは、「新しい地図」の香取慎吾さんだ。全国のものづくりをする方々を支援したいとする運営のBASEが、絵画やオブジェの制作などでも活躍する同氏を起用した。

新しい地図からはこれまでにも、スマホ・PCで荷物の管理までできる格安収納サービス「サマリーポケット」のテレビCMに稲垣吾郎さんが出演、翻訳デバイス「ili」のイメージキャラクターに草彅剛さんが就任するなど、スタートアップのプロダクトのイメージキャラクターとして起用が続いている。

以前はネットでの露出がなかった3人だが、Abema TVの盛り上がりもあったし、IT系スタートアップの「新しさ」や「Disrupt(破壊)」、「民主化」といったイメージとも相性がよいと考えられているのかもしれない。

ECプラットフォームのBASEがライブコマースに参入——店舗登録者ならアプリで即配信可能

日本でも続々とサービスが始まっているライブコマース。Candeeが6月にライブコマースアプリ「Live Shop!」の提供を開始、7月にはメルカリがライブフリマ機能「メルカリチャンネル」をリリースしたが、今度はネットショップ作成サービスとショッピングアプリを提供するBASEが、ライブコマースへの参入を発表した。

BASEが9月20日から提供を開始する「BASEライブ」は、ショップ作成サービスに登録する店舗が商品や店をライブ配信で紹介できる機能だ。店舗をフォローする顧客との間で、リアルタイムで双方向のコミュニケーションを取ることもできる。

BASEライブの利用料は無料。1配信につき15分、毎日19時から約3時間の間を配信時間としている(配信時間は順次拡大予定とのこと)。視聴する側は、ショッピングアプリ「BASE」の最新版で、フォローしている店舗のライブ配信を見ることができる。ライブ配信を見ながら商品を買うことや、ハートやコメントによるリアクションも可能だ。

配信する店舗側は、配信専用アプリ「BASEライブ 配信アプリ」(現在はiOS版のみ)をダウンロードすれば、ライブ配信が可能になる。BASEでは、タレントやインフルエンサーが、自らの公式ショップで配信を行うことも予定しているというが、店舗自身でアプリを使ってライブ配信する手段が最初から用意されている。Live Shop!やメルカリチャンネルでは今のところ、一部のユーザーやインフルエンサーのみに配信機能が提供されているのと対照的だ。

BASEでは、ネットショップ作成サービスをこれまでに40万店舗が利用。またショッピングアプリの方は、300万ユーザーが利用するという。アプリでは、これまでにもブログ機能やプッシュ機能、店舗のフォロー機能など、集客や販促をサポートする情報発信の機能が提供されてきたが、今回のBASEライブの提供により、商品紹介ページの説明文や画像だけでは伝えきれなかった店舗・商品の魅力を、ライブ配信ならではの距離感でファンに情報配信できる、としている。

BASEの決済サービスがリアルに進出、「PAY ID」アプリで店舗や個人間の支払いが可能に

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

ネットショップ作成サービス「BASE」からスタートし、今では自社でオンライン決済サービス「PAY.JP」までサービスを展開することで、購入から決済までのネット上でのお金の流れをワンストップで作っているBASE。同社がいよいよリアルな決済サービスに進出する。BASEは6月27日、お支払いアプリ「PAY ID」を公開した。本日からサービスを利用できる。

PAY IDは、スマートフォンアプリを通じて、代金の請求および支払いができるサービス。利用にはPAY IDの取得とクレジットカードの登録が必要。

店舗がオンライン上の管理画面で独自のQRコードを発行し、それを印刷しておけば、PAY IDアプリでそのQRコードを読み込むだけで決済が可能になる。また、PAY ID登録ユーザー同士であれば、アプリ上で個人間決済を行うことができる(このあたりの仕組みはAnyPayのpaymo同様、決済であることを証明するために、商品の写真撮影などが必須となる。ちなみにpaymoは商品でなくレシートの撮影を求めている)。

決済手数料は、加盟店や事業者においての支払いの場合、加盟店側は利用中のサービス(BASEもしくはPAY.JP)の決済手数料に準じる。購入者は無料。個人間での支払いの場合、請求側はキャンペーンとして2017年12月末まで無料、支払側は期間を問わず無料となっている。なお支払い限度額は1回あたり3万5000円、月間で10万円となっている。PAY IDアプリのリリースにより、すでにオンライン決済サービスのPAY.JPを導入している事業者や、ネットショップ作成サービスBASEの店舗も、店舗や催事などリアルな場面でもQRコードを用いた対面決済の提供が可能になる。QRコードによる対面決済は先行してOffice Oasis(阪神酒販)、下山松濤軒(つるの玉子本舗)、弁当将軍(ベントー・ドット・ジェーピー)などが導入する。

PAY IDでのQRコード決済を先行導入する店舗

オンライン、オフラインを問わない決済サービスに

「これまでPAY.JPでは、事実上オンラインでの決済だけを提供してきました。だがこれからはオンライン、オフラインを問わずにサービスを提供していきます。また人と人との間の決済についてもやっていくことで、基本的には全ての決済に利用できるようになっていきます。BASEはもともと決済のあり方を変えると言ってきましたが、そういう時代になってきた。タイミング的にもいいと思っています」——BASE代表取締役の鶴岡裕太氏はこう語る。

最近ではLINEがプライベートカンファレンスでLINE PAYを軸にしたウォレット機能の強化を発表し、割り勘アプリからスタートしたAnyPayのpaymoも、7月からQRコード支払いへの対応を発表している。OrigamiのOrigami Payはすでに都内の店舗やタクシーなどでQRコード決済を提供済みだ。中国では「Alipay(支付宝)」や「WeChat Pay(微信支付)」といったQRコード支払いの決済サービスが普及しているが、日本でも同様のサービスが出てきたということだ。

ではQRコード決済サービスのスタンダードになるために重要なことは何なのか? 鶴岡氏は加盟店の開拓だと語る。「BASEはすでに30万のショップを持っており、オフラインショップを持っている人もいます。加盟店開拓についてはまず既存のリソースを使うことができます。現在(プロダクトローンチ前の取材時点を指す)は、一部のテストを除いてショップへの告知は行っていませんが、アンケートを実施したところでは決済の需要は高いです」(鶴岡氏)。

とはいえ、BASEはQRコード決済の普及について楽観視しているわけでもないようだ。「結局は(交通系電子マネーで)ピッと決済する方が、QRコード決済よりも簡単。QRコード決済がより楽になるのはまだ先でしょう」(鶴岡氏)。だがその一方で、手数料などを考慮すると、QRコード決済の強みもあるという。「(交通系電子マネーの)手数料は4〜5%と高い。一方で中国のAlipayなどは0.5%程度と安価。月数十万円の売上で5%といった手数料がかかるというのは加盟店にとって酷な話。最初は電子決済を持っていない人達にアプローチしていく。安価なツールで、最適なソリューションを提供していきます」(鶴岡氏)

鶴岡氏は、PAY ID普及について次のように語った。「決済アプリは、実はApp Storeのファイナンスカテゴリのランキングで上位に出てきません。決済アプリってダウンロードする動機があまりないのです。実はそこが勝負なのかも知れません。BASEを利用してもらえれば、(決済のために)PAY IDのIDが作られます。ECなのでクレジットカードも登録してもらえます。例えばアプリの広告を見て、ダウンロードしても(支払先がなければ)すぐ使える訳ではないので、そういう意味では我々に強みがあると思っています」(鶴岡氏)

ネットショップ作成サービスのBASE、QRコードを使ったオフライン決済サービスを準備中

ネットショップ作成サービス「BASE」やオンライン決済サービス「PAY.JP」を展開するBASE。同社がQRコードを利用した店舗向けのオフライン決済や個人間の決済サービスを準備中だ。近日中にも専用アプリをリリースする予定するとしている。

サービスの対象となるのは、現在BASEでサービスを提供する30万店舗のほか、PAY.JPのアカウントである「PAY ID」を持つユーザー。利用にはPAY IDの取得とクレジットカード登録する必要がある。

QRコード決済を行う場合、事業者があらかじめ管理画面で商品や価格を設定したQRコードを発行しておく。その商品を購入するユーザーは、専用アプリでそのQRコードを読み込めば支払いを行うことができる。PAY IDを持つユーザー同士であれば、個人間での決済も可能。こちらは先行するAnyPayのpaymo同様、資金決済法で定義するところの「個人間送金」ではなく、あくまで「個人間決済」。アプリで支払いする商品の写真を撮影し、その商品の決済を行うというかたちになる。

中国ではAlipayやWeChat Payなどのモバイル決済サービスでQRコードでの決済機能が提供されているが、日本でもこの流れは進んでいるようだ。楽天やLINEがすでにサービスを提供しているほか、スタートアップではOrigamiやAnyPay(発表によると7月リリース予定)などもこの領域に進出している。

「BASE」のショッピングアプリが100万ダウンロード突破、マーケ機能強化でショップに商機

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誰でも手軽にネットショップを開設できるECプラットフォーム「BASE」や決済サービス「PAY.JP」などを手がけるBASE。最近ではBASEのアプリの普及にも力を入れていたが、2月17日にそのアプリが100万ダウンロードを突破したと発表した。

BASEは2012年11月の設立。これまで30万店舗のネットショップが開設されており、今では毎月1万店舗以上新しいショップが開設されている状況だという。アプリは2013年6月にiOS版、2015年5月にAndroid版をそれぞれリリース。アプリは当初は商品カタログ的なものだったが、2015年6月にショッピングアプリとしてリニューアル(Android版は2016年3月)。その後もプッシュ機能の追加などを行ってきた。

このプッシュ機能や、店舗のフォロー機能などによって店舗側からユーザーに対するダイレクトマーケティングを実現できることが、店舗側にとってもメリットになっているという。

実際、フォロワー数の多いショップと少ないショップの売上平均と販売件数を比較したところ、フォロワーが100人以上いるショップはフォロワーが100人未満のショップに比べて、売上平均で16倍増、購入件数で20倍増という数字が出ているのだそうだ。PCウェブ、スマートフォンウェブ、スマートフォンアプリの流通比率は非公開だが、マーケティング機能を強化し、ショップが利用し始めた2017年始以降アプリ経由の流通が増加しており、その割合は10%以上になっているという。

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏は、いわゆるECのマーケットプレイスが運用、広告、決済でビジネスをしている途説明した上で「BASEはまだ流通の売上しかなく、ショップで商品が売れないと儲からない構造。これを維持しながら、今後はマーチャントのマーケティング手段やショップがもっと売れる仕組みなどを探っていきたい」と語った。

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EC基盤「BASE」と決済サービス「PAY.JP」運営のBASEが15億円の資金調達、今後は金融領域強化へ

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

最近では金融×IT領域を指す「FinTech」というキーワードを見ない日はないが、そんなFinTech銘柄の大型調達が続いているようだ。昨日もウェルスナビが大型調達を発表していたが、今日はEコマースプラットフォーム「BASE」や決済サービス「PAY.JP」を手がけるBASEの大型調達のニュースが入ってきた。

BASEは10月13日、SBIインベストメントが運用するFinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合などのファンド、SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合、サンエイトインベストメント(既存株主)を引受先とした総額15億円の資金調達を実施したことを明らかにした。BASEでは今回調達した資金をもとにBASEおよびPAY.JPの事業拡大のための開発体制とマーケティングの強化を図るとしている。

EコマースポータルのBASEは店舗数約30万件、年間での流通総額は「3桁億円」(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)にまで成長した。「メルカリはこれにゼロが1つ多くて(流通総額で数千億円)、楽天はゼロが2つ多い(数兆円)。100倍だったら(挑戦することは)あり得るんじゃないか。もっとBASEを使ってもらえるのではないかと思っている」——鶴岡氏は現状についてこう語る。

同社は2016年1月にメルカリからの資金調達を実施。その後はメルカリ代表取締役の山田進太郎氏や取締役の小泉文明氏などからのメンタリングで組織運営についての考え方が変わったという。

「今までずっと僕がコミュニケーションの真ん中にいたが、今はピラミッド型。良くも悪くもウォッチできないところはあるが、結果として大きいチャレンジができることが分かった。『人がモノを作れる体制』を作らないといけないし、その体制を作れると、今までとはできることが大きく違ってくる。組織はすでに70人近くに成長して、今では元Googleといった人材も入社している。BASE単体でもまだまだ攻めるというメッセージを出していきたい」(鶴岡氏)

マーケティングも強化する。具体的なプランこそ話さなかったが。テレビCMについても「できるできないで言えばできる金額を集めた」(鶴岡氏)としている。また最近ではスマートフォンアプリのECモール機能も強化。さらなるサービス拡大を進めるとしている。

同時に今後より力を入れていくのが決済サービスのPAY.JPだ。PAY.JPで提供するID決済サービス「PAY.ID」はリリース45日で10万IDを突破。現在では20万IDを超えているという。

最近、決済領域のスタートアップの動きが急激に加熱している。連続起業家の木村新司氏が「AnyPay」を立ち上げ、Squareライクなクレジットカード決済からスタートしたコイニーが「Coineyーペイジ」を発表。また楽天傘下となったフリマアプリ「フリル」運営のFablicも決済領域に興味を持っていたスタートトゥデイからのMBOを発表した「STORES.jp」運営のブラケットも決済を強化することを視野に入れている。メタップスの提供する決済サービス「SPIKE」なんかもある。さらには米オンライン決済の雄、Stripeも日本に上陸している。

AnyPayの木村氏は以前TechCrunchの取材で、AnyPayをショッピングモールやフリマといった「マーケット」と結び付けて活性化を狙うと語っていたが、その考えで言えば、BASEはすでに30万店舗のマーケットと20万IDの決済が結びついた状態だ。今後はBASE外のサイトも含めてPAY.IDの導入を進めて、その経済圏を大きくする狙いだ。

「PAY.JPは『決済』だけをやりたいではない。インターネット上の個人を証明するということをやりたい。それと相性いいのが、決済、そして送金や融資といったビジネスだと考えている。インターネットではアカウントだけで人となりを証明しないといけない。今はコマースからスタートして、ペイメントをやっているスタートアップだが、将来は『金融』の会社でありたい」——鶴岡氏はこのように語るが、そんな同氏の構想を元にした新サービスも2017年の早いうちにリリースされる予定だ。

BASEとメルカリがタッグ、最大4.5億円の出資を含む資本業務提携

左からBASE共同創業取締役の家入一真氏、メルカリ代表取締役の山田進太郎氏、BASE代表取締役の鶴岡裕太氏、メルカリ取締役の小泉文明氏

左からBASE取締役の家入一真氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏、BASE代表取締役の鶴岡裕太氏、メルカリ取締役の小泉文明氏

今日から仕事が始まる人も多いだろうが、早速大きなニュースが飛び込んできた。ネットショップ開設サービス「BASE」を提供するBASEは1月4日、フリマアプリ「mercari」を提供するメルカリとの資本業務提携を実施したことをあきらかにした。

今回の提携に伴い、BASEはメルカリを引受先とした最大4億5000万円の第三者割当増資(マイルストーン達成による最大額)を実施する。出資比率は非公開。また元ミクシィ取締役CFOで、現在メルカリ取締役を務める小泉文明氏がBASEの社外取締役に、メルカリ プリンシパルエンジニアの長野雅広氏がBASEの技術アドバイザーに就任する。

サービス面での連携も検討中だというが、具体的には明らかにされていない。BASEでは今後採用活動やマーケティングを強化するとしている。近いうちにも採用向けのイベントなどを共同開催するほか、アプリでの送客やマーケティングなどで協力する予定だという。

同じビルでスタートしたBASEとメルカリ

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏の2人が語ったところによると、両社はもともと非常に近い関係にあった。BASEは2012年に六本木一丁目にあったビルで業務を開始したが、そこはpaperboy&co.(現GMOペパボ)創業者であり、BASEの共同創業・取締役である家入一真氏が当時手がけていたプロジェクト「Liverty」や、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」のハイパーインターネッツなど、家入氏が関わるスタートアップが数多く入居していた。

2012年にZynga Japanを退任し、約1年かけて世界一周を旅行。再び起業の準備をしていた山田氏もそのビルを拠点にしていた。また両社はともにベンチャーキャピタルのEast Ventures(EV)から出資を受けることになる。そのためビルの取り壊しが決まった際の移転先も同じ、六本木にあるEVのインキュベーションオフィスだった。

もともと家入氏と山田氏は同世代(家入氏は1978年生まれ、山田氏は1977年生まれ)の起業家として、また個人投資家として親交が深かったが、これに鶴岡氏も加わるかたちで「ときどき事業の相談をしたり、お互いが人の紹介をしたりしていた」(鶴岡氏)のだという。創業当時22歳だった鶴岡氏からすればひとまわり年上で、起業家経験の長い山田氏はメンター的な存在の1人だった。今回の発表も、もともとVCなどからの資金調達に動いていた鶴岡氏が山田氏に相談したことがきっかけなのだという。

BASEの店舗数は現在20万店舗。流通総額で見れば、年間数十億円後半の規模にまで成長した。「これまで出店者を増やすことに注力してきたが、2016年からは購入者を集めるフェーズになる。購入者を集めるノウハウを持っているのがメルカリ。彼らの持っているノウハウで学べるモノがあればなんでも学んでいきたい」(鶴岡氏)。メルカリは2013年からの2年半で日米2700万ダウンロードを達成。この短期間でテレビCMを含むマーケティングも経験している、この速度で成長を遂げたスタートアップはそう多くない。

メルカリ、今後はスタートアップ出資を加速

メルカリについては、2015年12月に黒字化を達成していることを報じたばかりだが、本格的な出資はこれが初めて。山田氏は今後、スタートアップへの出資や買収を「積極的にやっていきたい」と語る。

CtoCコマースだけでなく、BASEのようなスモールBtoCのコマースを自社でやる可能性はなかったのかとも思ったのだが、メルカリの山田氏は「現在リソースの9割をmercariの米国展開に使っている。またCtoCといっても、サービスCtoCのような領域もあって幅が広い。なのでBtoCについては連携してやっていくのがいいと思っている」と語る。

またBASEについては、代表同士だけでなく、経営陣や社内のキーマンらに親交があり、文化的にも近い(小泉氏いわく「ミクシィやフリークアウト、paperboyなど出身の『ネット大好き企業』の集まり」だそう)ことも出資の動機になったという。なお今後BASEを買収する可能性についても聞いたのだが、「BtoCとCtoCなので実は全然サービスが違うし、ブランディングも違う。権限や責任を与えて自走できるのが筋肉質な組織を作ると考えている」(小泉氏)とのことだった。

「検索と商品だけ並べたモールはやらない」BASEがEC連動のブログポータル「BASE Mag.」を公開

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誰でも手軽にネットショップを開設できるサービス「BASE」を提供するBASE。同社は3月にリリースしたショップ向けのブログサービスをEC連動ブログポータル(BASEでは「ネットショップモール」と銘打っている)「BASE Mag.」を公開した。

BASEでは、「ショップロゴ作成機能」「商品撮影サービス」「納品書ダウンロード機能」など約30種類の拡張機能を「BASE Apps」という名称で提供している。3月にはショップ向けのブログを開設できる「ブログApps」も追加した。BASEのユーザー(店舗数)は現在約15万店舗。このうち数千店舗がすでにブログで商品の紹介などのエントリーを書いており、「3、4分に1回は投稿がある状態(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)なのだそう。

今回提供するBASE Mag.は、これらのブログからBASEが選んだエントリーを紹介していくブログポータルだ。エントリーには商品ページへの導線も設けるほか、カテゴリでの検索も可能だという。

僕は創業当時からBASEを取材しているのだが、代表取締役の鶴岡裕太氏にほぼ毎回する質問が「BASEはネットショップのモールを作らないのか」というものだった。毎回「作らない」と答えていた鶴岡氏だが、BASE Mag.について「2年考えて……やっぱり、検索と商品だけ並べたこれまでのようなモールは、BASEのように小さなショップにとっては正解じゃないなと思った。 基本的にBASEは『販売者=生産者』。ブランディングとか情報の発信から支援しないといけない」と語った。

「5円チョコが売れないECを変えたい」BASEとWebPayの創業者が語る”決済の未来”

スタートアップ業界を取り巻く旬のキーワードを読み解くイベント「TechCrunch School」。3月24日には、オンラインでの売買に欠かせない「決済」をテーマに、先日LINEの傘下に入った、クレジットカード決済機能を組み込める開発者向けサービス「WebPay」創業者の久保渓氏と、近日中に新たな決済サービス「PAY.JP」の提供を表明している、BASE創業者の鶴岡裕太氏が登場した。

2人をリクルートホールディングスが東京・渋谷に開設した会員制スペース「TECH LAB PAAK」に招き、TechCrunch Japanの増田覚が司会を務め、オンラインにおける決済という処理が抱える課題について語ってもらった。

LINEの買収で何が変わる?

久保氏は、API形式でクレジットカード決済機能を提供し、開発者がサイトやアプリなどに簡単に決済機能を組み込めるようにするサービス、WebPayを2013年5月に立ち上げ、提供してきた。

同社は2015年2月、モバイル送金・決済サービスを提供する「LINE Pay」を通じてLINEに買収されることを発表した。スマートフォンでの購入の広がりという大きなうねりにチャンスを見出していることが、買収に同意した大きな理由だったという。

現に、久保氏が会場で「スマホでものを買ったことのない人は?」と尋ねたところ、ほぼゼロという結果だった。「僕自身もそうだけれど、机に座っていて目の前にPCがあるのに、なぜかスマホでものを買ったりする。これって大きな習慣の変化だと思う」(久保氏)。検索などに時間のかかるPCに比べ、スマホは導線が短く、楽で、リアルタイムな購買体験を提供できる可能性がある。そこに、LINEと組む意味があると考えているそうだ。

「WebPayとLINE Payが組んで何が変わるの?」という率直な質問に対し、久保氏は「世界が変わります」と答えた。

「これまで、ものを買う行為って、土日など時間のあるときにやっていた。それが、スマホの決済が変わることで、空き時間、ほんの30秒あれば買うといったことが可能になる。決済という行為が、ストレスなく、リアルタイムで一瞬で終わるような世界を目指しています。安全で、ユーザー自身が意識して渡すと同意したとき以外は個人情報を渡さないという、エンドユーザーにとって理想的な世界の中で、モノやサービスを享受する体験ができる世界というのが、LINE PAYの提供する価値」(久保氏)。

これまで通り、開発者向けのWebPayも継続していく。ただ、WebPayがどちらかというとものやサービスを提供するマーチャント、サービス事業者向けのサービスだったのに対し、LINE Payではコンシューマーの視点に重点を置くことになる。

「決済がインフラだけで満足してもらう時代って、2014年で終わったと思っています。使いやすさや便利さも含め、使ってくれているサービス事業者の売り上げにどれだけ貢献できるかが決済事業者にも求められる時代です。マーチャントを向いて商売するだけでなく、一般のコンシューマーも見てサービスを提供していかなくてはならない。購買行動を全て設計するのが決済事業者」と久保氏。LINEが抱えるユーザーベースを基に、その人たちが買いたいものを最も買いやすく、心地よい導線を設計して、欲しいときにすぐ買える決済サービスを提供して、売り上げに貢献していきたいという。

ちなみにLINEによる買収の別の効果が、「門前払いがなくなりました」(久保氏)ということ。ある会社と新たにパートナーとなりたい、話をしたい、という時に、相手側も積極的に高いモチベーションで関わってくれるようになったそうだ。

「決済はうまみのないビジネス」

一方、「PAY.JP」の名称で決済ビジネスへの参入を表明した鶴岡氏だが、意外にも「決済って、あまりうまみのないビジネス。ビジネス的なうまみという観点なら、もっと他にいいビジネスがある」と述べる。

この点には久保氏も賛同する。しっかり、堅牢にやらなければいけないビジネスの性質上、導入までのリードタイムが3カ月程度かかることもざらにあり、「全部、3〜4カ月遅れで数字が出てくる」(同氏)。従って、いわゆるWebのスタートアップの感覚からすれば、決済ビジネスのスピード感は非常にゆっくりなのだそうだ。

「でも、決済業界に対する明確な課題意識があって、その課題を解決するために必要なことをやりたいんだ、という形であれば、カード会社も協力してくれるし、耐えられると思う」(鶴岡氏)。久保氏も、「N年コミットするつもりでやるのかどうかがすごく重要。僕はWebPayをやっていて、資本主義社会の根幹を自分が担えるかもしれない、というくらい、社会に触れ合っている感覚がある。自分たちが資本主義社会のインフラ、プラットフォームとして、社会を一歩前進させるところにコミットしているんだという信念があって、N年がんばろう、というのがあれば、すごくやりがいがある」と述べる。

5円チョコが売れないECサイト

鶴岡氏が抱いているその課題というのは、「今の決済が、過去のオフラインでの決済のプロセス、形式の影響をあまりに受け過ぎていること」だ。

例えば、インターネット上で1つの決済を処理しようとすると、間に非常に多くのプレイヤーが挟まることになる。「僕、これってすっごい無駄だなと思うんですよ。既に、Bitcoinのように二者間で直接お金をやり取りできる手段もあるし、自分の与信枠を与えるというやり取りだってできるのに、そうなっていない。そうした効率の良くない部分をPAY.JPで変えていきたいと思っています」(鶴岡氏)。

究極的には、オフラインの世界と同じような価値の交換スキームをオンラインでも実現するのが同社のミッションだという。

「オフラインだと、モノを売る人と買う人の2者だけで価値の交換が完結するわけですよ。でもひとたびインターネットが間に入るとそうはいかない。今、ECサイトで5円チョコって売れないんですよね。手数料がそれ以上にかかるので。だから、負担なく5円チョコを売れるECサイトができるように……つまり、手数料を誰か事業者が代わりに負担して『無料』にするのではなく、本質的に手数料のないスキームというのを構築できないかと考えています」(鶴岡氏)。

久保氏も、「決済のシステムでは、1980年代の仕組み、下手をすると1970年代後半の仕組みが動いている。そこでは、1つのトランザクションを処理するために原価として5円、10円という手数料がかかってしまい、それ以下にはできないんですよね。『オフラインを引きずっている』ってそういう意味です」と述べた。

「左手にクレカ、右手にスマホなEC体験は20年後に爆笑される」

1990年代、インターネットが広がりECサイトが生まれ始めた時期に、そうした過去のシステムとWebとを無理矢理つなげた仕組みによって、今の決済の仕組みは何とか保っている。とはいえそろそろひずみが来ており、トランザクションの仕組みを2010年代の今の技術に置き換えていくことができれば、原価を引き下げ、コストのかからない決済ができるのではないかと期待しているという。

鶴岡氏は、「今は、左手にクレジットカードを持ち、右手にスマホ持って番号を打ち込んで決済をしていますけど、20年後の人がこの姿を見たら爆笑すると思うんです。いろいろな方法で個人を特定できるこの時代において、オンラインにおいてもクレジットカードというものを使うのがなんかすごく効率が良くないなと思っていて、そういうところで『与信枠』というテーマを追求したいと思っています」と述べた。

これからの決済手段、「一回は多様化」?

決済をめぐるプレイヤーは多様化している。方やApplePayがあり、日本ではSuicaという存在がある他、ID決済の可能性もあるなど混沌とした状況だ。今後、決済手段はますます多様化するのだろうか?

この問いに対し久保氏は「一回は多様化すると思います。WebでさまざまなAPI標準がうわーっと出てきてREST APIに収束したのと同じで、一回は決済も多様化して、どこかでマジョリティが使っている良いものに集約される流れになるのではないか」と述べた。

一方鶴岡氏は、「決済という仕組みの中で、最強の立場にあるのがビザとマスターで、そこが変わらなければ言うほど大きく変わらないと思います。その意味で、これからの10年、20年で、あの立場に立つもの、入れ替わるものが出てくるかどうかが面白いポイントだと思っています」と言う。

取り残された領域にテクノロジの力を、「Airレジ」の取り組み

セッションの後半には、リクルートライフスタイルの執行役員、大宮英紀氏が登場し、POSレジの機能を提供する無料アプリ「Airレジ」について紹介した。2013年11月にリリースされてから、Airレジの導入件数は当初の予定を上回るペースで伸び、今や10万アカウントを突破。クラウド関連サービスとも連携を広げている。

Airレジというアプリをリリースした目的について、大宮氏は「テクノロジや環境が変わっていく中で、取り残されている領域がある、それを変えたいと思って数人で始めた」と振り返る。Airレジというプロダクトを通じて、それと意識することなく、テクノロジをうまく活用できるようにしたかったのだそうだ。

飲食店や小売店鋪、サービス業などの場合、店舗を開くには相応のイニシャルコストが必要になる。同じ金額をPOSレジに投じる代わりに、Airレジでまかない、マーケティングなどほかの部分に力を入れることで、中小企業の成長を後押ししたいという。


ネットショップ開設サービスのBASEが決済に参入–「PAY.JP」を今春提供

ウェブの知識をあまり持たないユーザーでも、メールアドレスを持っていればネットショップを無料で開設できるサービス「BASE」。同サービスを提供するBASEが、オンライン決済事業を今春から提供する。同社はすでにオンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを2014年12月に買収しており、「PAY.JP」の名称で今春にもサービスを開始する。

今夏にはID決済も提供

PAY.JPでは当初、米国のStripe、国内のYahoo!ウォレットFastPayWebPayなどと同様にウェブサイトにコードを埋め込むことで、クレジットカード決済を導入できる決済サービスを提供する。なお、BASEの決済についても今春PAY.JPに変更される予定。PAY.JPの決済手数料などは現時点では公開されていないが、「どこと比較しても分かりやすいもの、選ばれるものにする」(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)ということ。

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

PAY.JPでは、まずはEC事業者向けにカード決済サービスを提供するが、今夏をめどにEC利用者向けのID決済サービスも提供していくという。PayPalなどを利用していると想像できると思うが、PAY.JPの決済サービスを導入するしているECサイト上では、PAY.JPにログインするだけで、(あらかじめ登録しておいたカード番号や住所を使って)決済が可能になるというものだ。

実はBASEの競合サービスであるブラケットの「STORES.jp」は、2014年にIDサービスを導入している。このIDサービスを利用する意味はいくつかあるのだけれども、その1つにSTORES.jp上で商品購入をする際、都度クレジットカード番号や住所を入力することなく決済できる、ということがある。

PAY.JPも同様の機能を提供することになるが、その機能はBASEで作ったショップに閉じたものではなく、PAY.JPの決済サービスを導入するすべてのECサイトに対応するものになる。ただしBASE内のショップに限定して、早期にサービスを導入する予定だ。「BASEは簡単にショップを作ることができるという世界を作ってきたが、PAY.JPでは簡単にモノを買うことができる世界を作っていきたい」(鶴岡氏)

BASEが買収したピュレカは2012年7月の創業。代表取締役の高野謙一氏は決済関連のスタートアップに携わったのちに起業。Purecaは国際セキュリティ基準(PCIDSS)に準拠した決済サービスで、まもなく正式リリースだったそうだが、もともと面識があった鶴岡氏の率いるBASEに合流してサービスを提供するに至ったそうだ。

BASEは「単なるショッピングカート」を目指していない

創業期からこれまで、鶴岡氏は一貫して「単なるショッピングカートを目指していない。決済までをやっていきたい」ということを取材の際に話していた。今回その決済サービスを提供することになったが、今後はどんな目標があるのだろうか。鶴岡氏は「個人の与信情報をためて、個人をスコアリングすることで、価値と価値の交換をなめらかにする。オンラインで行う経済活動のプラットフォームになりたい」と大きな構想を掲げる。

とはいえ、決済はスタートアップにとって非常にハードルの高い事業だと聞く。鶴岡氏も「既存事業者が強いのか、スタートアップの信頼性がまだまだないのか…」とその理由を分析するが、僕も実際に先行する決済関連スタートアップが苦戦している話はよく聞くし、鶴岡氏自身も「なぜ決済をやるのか」と問われることが多いのだそうだ。

だが鶴岡氏はこう語る。「決済は難しい。それは理解しているが、『こういう世界になるよね』と描けるところに挑戦するのが一番楽しい。BASEもサービス開始時点では、決済手数料も含めてまったく利益はなかった。でもここまで来れた。PAY.JPもいろいろ言われるが、まずはやってみないと分かからない。BASEの事業がある程度伸びることが見えたのなら、チャレンジしないと後悔する」

BASEの流通総額は年間数十億円後半に

なおBASEは現在年間の流通総額が数十億円後半、数カ月以内には100億円も見込める数字になる状況だという。店舗数は15万店舗で月間で1万店舗ほど新規ショップも増加している、現在カードの決済手数料のみをユーザーから取っているが、「リッチな機能を提供して課金するなど、収益化しようと思えばできるフェーズにまできている」(鶴岡氏)。


Frilの月間物流総額は5億円–「空中戦」も必要になったフリマアプリ市場

スマホ向けフリマアプリの元祖であるFablicの「Fril」。若い女性に特化したこのアプリだが、現在の月間物流総額は5億円以上、アプリのダウンロード数は150万件以上になっているという。

福岡で7月17〜18日に開催されている招待制イベント「B Dash Camp 2014 in Fukuoka」の2日目のセッション「新興eコマース〜新たなトレンドを作り出せるか?」に登壇したFablic 代表取締役社長の堀井翔太氏が明らかにした。

このセッションでは堀井氏のほかにアクティブソナー 代表取締役社長の青木康時氏、BASE 代表取締役鶴岡裕太氏が登壇。それぞれのビジネスについて語った。

「空中戦」も必要になったフリマアプリ市場

Fablicは、これまでほとんどメディアでビジネスの話をしたことがなかったし、アプリのダウンロード数をはじめとした情報を発信してこなかった。しかしここに来て数字を公開した堀井氏は、「今は競合も十数個ある。そういう(情報を非公開にする)フェーズではない」と語る。

競合とされる後発の「メルカリ」は、14億円超の大型調達、テレビCMなども奏功して大きくユーザーを拡大。1周年を迎えた2014年7月時点で、月間流通総額は10億円、ダウンロード数350万件という数字を発表している。

こういった状況に対して堀井氏は、「メルカリやGunosyなどは大きな資本を調達して勝負している。今まではプロダクトを磨いて、リテンション伸ばして…としてきたが、最近の戦い方はテレビCMなども含めて『空中戦』もするような状況にシフトしている」と語る。

Open Network Labのインキュベーションプログラム出身のスタートアップということで、デジタルガレージグループからシードマネーを調達しているFablic。1期目から黒字化して資金調達の必要もなかったとのことだが、今後は資金調達してテレビCMを放送することも検討しているという。さらに、ユーザーのニーズも多いことから、一部のユーザーに限定してフルフィルメントサービスを試験的に提供していることも明かされた。

BASEは「カート」ではなく「決済」

手軽にウェブショップを構築できる「BASE」を提供するBASE。個人だけでなく、中小企業を中心とした法人もサービスを利用している。最近では芸能人やニコニコ生放送の“生主”のような売り手も登場しており、数千万円から億単位の売上を実現しているショップもあるそうだ。

サイバーエージェントやグローバルブレインなどから資金を調達し、現在はユーザーの拡大フェーズにあるという。クレジットカードの決済手数料などは徴収しているものの、サービスの利用手数料は無料。「売上はゼロと言っていい」(鶴岡氏)状況だそうだ。「(調達によって)うちのようなところがどんどん攻めていけるのはありがたいし、EC(領域)自体を評価して頂いていると思っている」(鶴岡氏)

鶴岡氏はBASEについて、「本質は決済を提供するサービス」と語っている。カート機能でのマネタイズはあまり考えていないそうで、将来的には、決済、金融といった領域でのマネタイズをやっていくそうだ。

サービス開始当初は、ブラケットの「STORES.jp」と比較されることが多かったBASE。「初期はSTORES.jpもあったことで認知度が上がった」(鶴岡氏)とも語るが、スタートトゥデイがブラケットを買収したこともあって状況は変わったという。「最近は自社でどれだけがんばれるか。突き抜けないといけない」(鶴岡氏)将来的には世界展開で100万店舗を目指す。さらには日本から海外に商品を売るための支援もしていくそうだ。

プラットフォームを目指すアクティブソナー

CtoBtoC型のブランド商品委託販売サービス「RECLO」を提供するアクティブソナー。

こちらの記事にもあるように、米国ではCtoBtoC型のECサイトが複数登場しており、ユーザーのニーズも見えている状況だという。日本では(米国でも先行する)「RealReal」などのプレーヤーはいるが、まだデファクトスタンダードたる位置にあるサービスはない。そこで自らこの領域に挑戦したそうだ。

今後は海外向けに商品を販売していくほか、家具や中古車の販売なども視野に入れるという。また、CtoBtoCは言ってしまえば「小売り」だが、1つ1つの商品を売るということではなく、あくまでプラットフォームとして成長していきたいと語った。

この領域に大手企業が参入することについて尋ねられたところ、「大きいプレーヤーが来るのは脅威だが、狙っているのは(大きいプレーヤーがチャレンジできない)隙間でのおもてなし。ネットサービスでは実現できないフルフィルメントを全部やるというところ」(青木氏)とした。


「マネタイズは来年以降に」–BASEがグローバル・ブレインから3億円調達、元ペパボ福岡支社長も参画

「当初は今夏にもマネタイズを始める予定だったが、2014年中は考えないことにした。市場自体がまだまだ大きくなる」——ネットショップ作成サービス「BASE」を手がけるBASE代表取締役社の鶴岡裕太氏はこう語る。同社は5月15日、グローバル・ブレインから約3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

「30 秒でネットショップを作ることができる」をうたうBASEだが、出店店舗数は楽天超えの(楽天は約4万2000店舗。もちろん性質も異なり単純比較はできないが)8万店舗を達成。月間の流通総額は非公開ながら、「すでに億単位にはなっている」(鶴岡氏)とのことだ。直近では大型のクライアントも出店をはじめたほか、百貨店とのリアルイベントを開催するなどしている。

しかし一方でマネタイズはほとんど進めていない。もちろん決済会社の手数料はユーザーから取得するものの、同社としてのサービス利用料などは取っておらず、オプションサービス群を提供する「BASE Apps」でもほぼ収益を出さずにサービスを提供している状況だという(余談だが、ブラケットの「Stores.jp」は、オプションサービスでも利益を出していると聞いている。世間で競合とは言われているが、ビジネスモデルは違うようだ)。

そのためBASEでは、当初2014年夏にも各種手数料やオプション、業種特化型のテンプレート販売などで収益化を検討していたとのこと。しかし今回の調達を決定して、この予定を2015年以降にずらした。2014年はサービス拡大のために注力するという。「マーケットにはいろんなプレーヤーががいるが、BASEを含めてみんな成長している状況」(鶴岡氏)。今後はBASE の開発やサポート人材の拡充、PRの強化のほか、多国語対応を進めて海外進出も視野に入れる。今回の増資に伴ってグローバル・ブレインの深山和彦氏が社外取締役に就任する。

またBASEでは、元GMO ペパボ取締役で福岡支社長の進浩人氏をCOO に迎える予定。鶴岡氏によると、進氏はネットショップ構築サービス「カラーミーショップ」やハンドメイド作品のCtoCプラットフォーム「ミンネ」など、GMO ペパボのEC関連事業の立ち上げを手がけてきた人物とのこと。


売れなければ意味がない、ネットショップ無料構築「STORES.jp」が集客支援の提携を加速

専門知識がない人でも手軽にネットショップを作れる「STORES.jp」。現在までに8万以上のストアが開設され、100万点を超える商品が登録されているという。その中には、自らのTwitterやFacebookの影響力を駆使して、年間5000万円を売り上げるストアもあるのだとか。とはいえ、簡単にストアは作ったものの、ほとんど売れない人のほうが圧倒的多数。STORES.jpとしてもこうした現状を理解していて、「売れるストア」を作るための提携戦略を進めている。

その中で最も話題となったのは、親会社のスタートトゥデイと共同で開発したアパレル特化型のマーケットプレイス「ZOZOMARKET」(関連記事)。STORES.jpでストアを開設したオーナーは、管理ページ内の「プロモーションスイッチ」を有効にするだけで自動的に商品がZOZOMARKETに掲載される。販売力の弱い中小のアパレルストアにとって、「STORES.jpに出せばZOZOで販売できる」のは魅力。STORES.jpを運営するブラケットの光本勇介社長は、「できたてホヤホヤの地方アパレルの商品が毎月数百個レベルで売れている」と話す(もちろん、こうした成功事例の影には閑古鳥が鳴いているストアが多数あるだろうが)。

ZOZOMARKET以外にも、「売れるストア」作りに向けた施策を年末から今年にかけて矢継ぎ早に打ち出している。2013年12月にはユザワヤ商事とハンドメイド作品専門の「ユザワヤマーケット」を開設、2014年2月には「ヤフオク!」と連携(関連記事)、同月には同人誌販売の「コミックとらのあな」と「とらのあなマーケット」を開設、そして本日、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」と「PASS THE BATONマーケット」を3月28日に開設することを発表した。今後は全国363店舗の雑貨チェーン「ヴィレッジヴァンガード」と「ヴィレッジヴァンガード・マーケット」をオープンする予定だ。

提携先として重視しているのは、根強いファンがいて集客力のある企業かどうか。これらの事例ではいずれも、ストアオーナーが管理ページでプロモーションスイッチを有効にするだけで、提携先サイトに商品が露出される。光本氏によれば、プロモーションスイッチを有効にしているストアと、そうでないストアを比べると、1カ月で売り上げが2.7倍も変わるのだとか。

STORES.jpは専門知識がなくても利用できる手軽さがウリなだけあって、「ITリテラシーの低いストアオーナーが少なくない」と光本氏は指摘する。そうしたオーナーに対しては知識を詰め込むのではなく、「プロモーションスイッチを有効にしていたら、いつのまにか売れていた」という状況が理想だという。「売れないストアを生成しても意味がない」(光本氏)。

無料でネットショップを作成できる国内の競合サービスとしては、1月末時点で7万店が開設されているBASEがある。どちらも初期費用や販売手数料は無料だが、掲載できる商品数はBASEが無制限、STORES.jpは5点まで(月額980円のプレミアムプランに加入すれば無制限)だったり、BASEが無料で独自ドメインを取得できる一方で、STORES.jpはプレミアムプラン加入者のみ取得可能といった違いがある。BASEについて光本氏は、「よく比較されるが、我々の強みは圧倒的に売る導線を確保していること」と話していて、外部との提携戦略で差別化を図っていく考えだ。

ブラケットの光本勇介社長


無料EC「BASE」が独自カード決済導入、三井住友カードなどと提携

無料でネットショップを開設できるサービス「BASE」を運営するBASEは、三井住友カードと決済代行サービスのスマートリンクネットワークと提携し、3月1日より独自のカード決済システムを導入する。現在のカード決済はPayPalを活用していて、購入時には外部ページに遷移している。新決済システムはBASE上で決済が完結するため、買い手は利便性が向上する。BASE店舗オーナーとしても、決済完了までのページ遷移数が減るため、コンバージョン率が上がることが見込まれる。

新決済システムの移行にあたり、1月31日より既存のBASE店舗オーナーに事前受付を開始。カード決済のシステム料は据え置きで、「代金の3.6%と40円」が別途かかる。店舗オーナーは通常、独自でECサイトを構築する際にカード決済を導入するには、カード会社の審査を受けなければならない。しかし、BASEで出店することで、ECサイト開設時からカード決済が利用できることになる。

BASEは初期費用や月額費用だけでなく、販売手数料も無料のサービス。カード決済時の手数料は発生するものの、「現時点でマネタイズはしていない」(BASEの鶴岡裕太氏)。今後はオプションの機能で課金する可能性はあるが、「今年いっぱいは大規模なマネタイズの予定もない」という。1月末時点でショップ開設数は7万店に上り、毎月30〜40%増えているのだという。