多国籍複合企業Kochが約1.4兆円でのInfor買収をクローズ

Koch Industries(コーク・インダストリーズ)は米国4月6日、2月に明らかにしていたInfor(インフォア)の買収をクローズしたと発表した。Kochはこれまで買収価格を公表していないが、情報筋は130億ドル(約1兆4000億円)近くだったとほのめかした。この額は2020年の企業買収トップ10に入りそうだ。

Inforは、ソフトウェアよりも製造に注力する傾向にあるKochから独立した企業として存続する。Inforによると、最終目標は特定の産業向けのソリューションにフォーカスしたInforプロダクトシリーズを引き続き構築するためにKochのリソースを活用することだ。

ディールが明らかにされた2月の時点で、CEOのKevin Samuelson(ケビン・サミュエルソン)氏には、Inforを支援するKochの資金でそのまま経営を続ける可能性が見えていた。

「利益の90%を事業に再投資する年間売上高1100億ドル(約12兆円)超の企業の子会社として、当社はサービスを提供するマーケットにおいてデジタルトランスフォーメーションを誘導するユニークな存在になるだろう」とサミュエルソン氏は述べている。

同社が指摘したように、Inforは製造や流通、ファイナンスなど古いシステムにしがみつきそうな業界の顧客がクラウドに移行するのをサポートする。企業は新型コロナウイルス(COVID-19)の危機に際し、従業員がオフィスにいない中でも事業を続けるためのクリエイティブな方法の模索を余儀なくされ、クラウドへの移行はこれまで以上に喫緊の課題になりつつある。クラウドにあるアプリケーションへのアクセスを持っていることは、確かに負荷を緩和するのに役立つ。

Inforの顧客リストには、世界でも有数の規模の組織が名を連ねる。世界の銀行トップ20行のうちの17行、世界で最も大きいホテルブランド10社のうちの9社、世界のラグジュアリーブランドのトップ10のうちの7つを擁する。

Inforは2002年に創業され、PitchBookによるとこれまでに60億ドル(約6500億円)を調達した。買収前の直近の調達は2019年1月の15億ドル(約1630億円)だ。

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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