「わかりやすく言えば『trivago(トリバゴ)』の民泊版」。2月26日に正式公開された「StayList(ステイリスト)」の概要について、StayList代表取締役の本間陽介氏はそう説明する。
その例えだけでも十分にイメージは伝わりそうだけど、StayListは民泊物件を対象とした一括検索サイト(メタサーチ)だ。トリバゴが様々な宿泊予約サイトの情報を集約して横断検索できる仕組みを提供しているように、StayListを使えばAirbnbやHomeAwayなど、複数の民泊サイトの情報を一箇所で検索することができる。
同サービスで探せるのは日本やその他のアジア諸国を始め、ヨーロッパや北米、南米など幅広い地域にある民泊物件で、今の所はだいたい数百万件ほどが掲載されているそう。エリア軸のほかアパートメントやコテージといった「物件タイプ」、キッチンやプールなど「設備」を軸に、該当する物件を調べられるのが特徴だ。
現在は日本語、英語、韓国語、中国語(繁体字)の計4言語に対応。今後も対応言語を拡充していく計画で、特にアジア圏に住むユーザーを中心に利用を促進していきたいという。
4000万円の資金調達も実施、連携サイト数の拡大と機能拡充へ
StayListではサービスのローンチと合わせて、2018年10月にジェネシア・ベンチャーズとサイバーエージェント・キャピタルから4000万円の資金調達を実施したことも明らかにしている。
調達した資金を通じて組織基盤を強化し、連携サイト数の拡大や検索機能の拡充など使い勝手の向上に取り組む方針。また調達先となる2社はアジア市場における知見やネットワークを持っているので、資金面以外のサポートも見込んでいるそう。本間氏によると、すでにアジア圏で連携先を繋いでもらったりなど事例もあるようだ。
民泊物件を扱うサービスと言えばAirbnbのイメージが強いかもしれないが、近年グローバルでは数百もの民泊サイトが生まれている。加えて「Expedia」や「Booking.com」といった既存の宿泊施設予約サイトも民泊の取り扱いを始めていて、各サイトに散らばった情報を効率よく比較・検索できるサービスへのニーズが高まってきた。
すでに北米やヨーロッパでは「HomeToGo」や「Tripping.com」のような民泊の一括検索エンジンが台頭。急ピッチで成長を続けている(昨年12月にはHomeToGoがTripping.comを買収している)。日本発のものでも「Stayway」など、関連するサービスがいくつか出てきた。
本間氏もそのような状況を知っていたため、起業前から民泊の一括検索サービスに関心を持ち市場環境や国内外の規制などを調べていたそう。日本でも2018年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されるなど、これから周辺環境の整備が進み市場が拡大していくタイミングだと捉え、10月に会社を創業。StayListの開発に着手した。
本間氏は前職のリクルートホールディングスに新卒で入社して以来、HR領域のデジタルマーケティングに一貫して取り組んできた人物。メタサーチの領域はSEOやデジタル広告など「自分が磨いてきたスキルと相性が良く、デジタルマーケティングドリブンで伸ばしていきやすい」ということも、このプロダクトに決めた理由のひとつだという。
まずはこれから数ヶ月間でStayListのキモとなる連携サイトを増やしつつ、プロダクトの機能拡充を進める方針。6月ごろまでを目処に一通りの機能を揃えた上で、プロモーションなどにも取り組む計画だ。