時代遅れなビルの暖房システムをスマートに変えコスト削減、9カ月で元がとれるRunwise

米国では、温室効果ガスの約13%が商業ビルや住居用建物から排出されている。なぜなのかと首をかしげたくなるかもしれない。典型的なニューヨークのビルを見学すると、レンガで覆われた巨大なビルの地下深くにある技術は、まるで1960年代にタイムスリップしたかのように見え、その上ひどい匂いがすることに気づくだろう。Runwiseはすでに4000棟以上のビルに導入されているが、米国時間12月21日、さらに多くのビルに同社の技術を導入するために1100万ドル(約12億6000万円)を調達したと発表した。この会社は、家主のコストを削減し、その過程で地球をいくらか救うという、双方にメリットのあるWin-Winアプローチを実現している。

Runwiseのセールスポイントは、センサーではなくON/OFFスイッチやタイマーで作動することが多い古い技術があるところに、建物が必要以上に暖房されないようにするための十分な技術を加えるということだ。同社は、10年の電池寿命を持つ電池で動作するワイヤレスセンサーと、ビルのボイラーや暖房を管理するコントローラーコンピュータを開発した。平均して約9カ月で、暖房費の削減という形で導入費用を回収できるという。

Runwiseの共同設立者兼COOであるLee Hoffman(リー・ホフマン)氏はこう説明する。「5、6年前は誰も環境のことなど気にしていませんでしたが、私たちは『だが、将来的に大きなインパクトがあるんだよ!』と言っていました。でも彼らは収益について尋ねてきて、それについては会話が始まるのです。当社の長期的なビジョンは、建物の運営を改善すれば、世界中のほとんどの都市の二酸化炭素排出量と経済性を変えることができるということです。米国には1200万棟のビルがあり、当社は現在そのうち4000棟に入っていまが、すべてのビルに導入できない理由はありません」。

同社は10年前からブートストラッピングしており、目覚ましい成果を上げている。同社の技術は、Related、Blackstone、Lefrak、Equity Residential、Douglas Elliman、Fairsteadなど、米国で最大級の不動産事業者が所有するビルですでに利用されている。Runwiseは、同社の技術を導入した約4000棟のビルに、30万人以上の人々が住み、働いているとしている。Runwiseは、会社を超成長期に突入させる時期だと判断し、Initialized CapitalSusa VenturesNotation Capitalから1100万ドル(約12億6000万円)を調達した。今ラウンドにはNextView Venturesと複数のエンジェルも参加した。

「ニューヨークにあるほとんどのビルは、1960年代から70年代に設計された、ひと握りの企業が製造した制御装置で動いていますが、米国各地や世界のほとんどのビルもそうです。真新しいバンク・オブ・アメリカの高層ガラスタワーに入ると、そこには派手なデジタル表示のコントロールボックスがありますが、それは文字通り1960年代や70年代の同じコントロールの中にあるのと一緒です」とホフマン氏は説明しながら、信じられないでしょう、とでもいうように弾みがつく。「屋外リセットと呼ばれるもので、基本的にはExcelの表を使っています。暖房時間が何分なら暖房を入れる。外気温がこれくらいなら、これをやる。建物の中で何が起こっているのかは把握していません。すべてがハードコードされているのです。完全に狂っています。そして、これがほとんどすべての建物で、何百万ドル(何億円)ものエネルギー消費をコントロールしているのです」。

画像クレジット:Runwise

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

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