普及が加速するスマートスピーカーは2年以内にタブレットを追い越す勢い

スマートスピーカーの世界的なインストールベースは、この年末までに2億台に達する勢いで伸びているという。この数字は、米国時間4月15日にCanalysのアナリストが発表した報告によるもの。もう少し具体的に言うと、インストールベースは2018年の1億1400万台から、2019年の2億790万台へと、82.4%も増加するという予想になっている。スマートスピーカーの普及率という点では、米国が引き続き世界をリードするかたちだが、今年の成長の大きな部分は東アジアの市場に見込まれている。特に中国だ、と同報告は指摘する。

その報告では、中国本土におけるスマートスピーカーのインストールベースの伸びは、前年比で166%にも達すると見積もっている。2018年に2250万台だったものが、2019年には5990万台になるというのだ。スマートスピーカーの普及率も、同地域では13%を超える。ちなみに米国では、2018年の6220万台から2019年の8780万台へと、伸びは46%となっている。

ただし中国市場の中身は、アマゾンとグーグルが支配する米国とは大きく異なったものになりそうだ。これらの会社は、中国ではスマートスピーカーのメーカーとしての存在感を持っていない。その代わり、AlibabaTmall GenieXiaomiXiao AiBaiduDuerOSなど、他の製品に弾みが付いてるというわけだ。Canalysの予測によれば、2019年の中国本土のスマートスピーカーの市場シェアは、Tmallが他をリードして39%を確保し、それに続いてXiao Aiの25%、DuerOSの24%、その他を合わせて12%になるという。今回のCanalysの予想には、この1月に中国で発売したばかりのAppleHomePodは含まれていない。その価格の高さを考えると、Appleが大きなシェアを確保することになるとは予想していないのだろう。

「中国国内のメーカーが中国本土のスマートスピーカー市場に本腰を入れています。そして主に一般家庭にスピーカーを普及させることで、各社のインストールベースをそれぞれ増やすことを狙っているのです」と、Canalysのシニアアナリスト、Jason Low氏は述べている。「ハードウェアによって差別化するのは、ますます困難になっています。消費者はスマートスピーカーの賢いアシスタント機能に対する期待を高めているのです。各メーカーは、次世代のスマートアシスタント、音声サービスだと感じてもらえるような『すごい!』と思わせる要素を売り込むことに集中しなければなりません。それによって消費者の認識を変え、普及を加速させる必要があるのです」とも付け加えた。

注目に値するのは、こうしたスマートスピーカーに搭載された音声アシスタント機能の市場は、さらに広いということだ。たとえばBaiduは、2019年1月に、DuerOSアシスタントを搭載するデバイスが2億台を突破したと発表した。ここでいう「デバイス」には、スマートスピーカー以外にも、一般の家電品や、セットトップボックスなどが含まれている。ちなみに、音声アシスタントの世界市場は、2018年には25億だったものが、2023年までに80億に達する見込みとなっている。これはJuniper Researchによる予想だ。

Canalysの予測が発表される前には、米国でのスマートスピーカーの普及率がクリティカルマスに達したというニュースも流れた。今や米国内の消費者の41%が、音声に反応するスピーカーを所有しているという。2017年の21.5%からの大幅な増加だ。

多くのアナリスト企業が、こぞってスマートスピーカーの世界規模の急速な成長を報告しているものの、それぞれの予測数値は多少異なっている。

たとえばDeloitteは、スマートスピーカーの設置ベースはさらに大きくなると予測している。2019年末までに2億5000万ユニット以上に達するとしていて、これは前年比63%の成長に相当する。同社によれば、その結果スマートスピーカーは「ネットに接続されたデバイスとしては、2019年に世界で最も急速に成長したカテゴリー」になるという。その市場は総額70億ドル(約7700億円)の価値があるとしている。

Canalysの予想も、数字がぴったりと一致するわけではないものの、ぼぼこの予測に沿ったものとなっている。さらにスマートスピーカーは、2019年中にウェアラブルデバイス(スマートウォッチやリストバンド)のインストールベースを抜き、2021年までにはタブレットをも追い越す勢いであると予想している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)