炭素排出量・ESG管理のB2BプラットフォームのドイツPlan Aが約3.3億円調達

ベルリンを拠点とするB2BのSaaSスタートアップ企業のPlan A(プランA)が、300万ドル(約3億2600万円)の資金調達を行った。同社は企業が環境フットプリントを測定、監視、削減、報告してESG評価を向上させるプラットフォームを提供している。フランスのVCであるDemeter(デメーター)がドイツのVCであるCoparion(コパリオン)とともに主導したこのラウンドには、ソフトバンクが戦略的投資家として参加した。今回の資金は、Plan Aの欧州における企業顧客向け炭素排出量・ESG管理ソフトウェアの強化と、国際的な事業拡大のために使用される。

炭素排出量管理ソリューションの市場規模は、今後5年間で100億ドル(約1兆900億円)から260億ドル(約2兆800億円)になるとの試算もある。米国のグリーンディールと新たに制定された「EUタクソノミー(持続可能な経済活動に関するEU統一の分類)」は、企業に炭素排出量を管理するように圧力をかけ、Plan Aのようなプラットフォームに対する評価を引き上げることにつながった。英国の Emitwise(エミットワイズ)は340万ドル(約3億7000万円)を調達しており、Watershed(ウォーターシェド)のような企業もある。しかし、Plan Aによれば、同社のプラットフォームは、企業の炭素排出量を継続的に自動化して監視するため、競合他社よりも包括的だという。

2017年に設立されたPlan Aは、Société Générale(ソシエテ・ジェネラル)、GANNI(ガニー)、AlbionVC(アルビオンVC)、BMW Foundation(BMWファウンデーション)、BCG Digital Ventures(BCGデジタル・ベンチャーズ)、サッカークラブのWerder Bremen(ヴェルダー・ブレーメン)などの顧客を獲得することに成功した。

Plan Aの共同設立者でCEOを務めるLubomila Jordanova(ルボミラ・ジョーダノヴァ)氏は次のように述べている。「Plan Aのテクノロジーは企業を変革し、持続可能性を競争上の優位性に変えることを可能にしました。私たちは、クラス最高の技術の開発に何年も取り組んできましたが、今回の投資により、世界中の企業のニーズに合わせた炭素・ESG管理プラットフォームをさらに仕立てることが可能になります」。

DemeterのパートナーであるOlivier Bordelanne(オリビエ・ボルドランヌ)氏は次のように述べている。「企業の持続可能性指標や気候リスク度に関して、データを基にした洞察を提供するB2Bモニタリングサービスやプラットフォームに対する需要は高い。私たちが最近調査したカーボンフットプリント測定を提供する多くの企業の中で、Plan Aとそのチームは、企業がカーボンフットプリントを計算し、監視し、最小化やオフセット行動を通じて削減するのを支援するワンストップショップとして自らを位置づけることで、際立っていました」。

CoparionのパートナーであるAlexander Lüttge(アレクサンダー・リュットゲ)氏は次のように述べている。「Plan Aは、カーボンフットプリントの透明性を高め、最小化やオフセットするための、統合が容易で使いやすいSaaSソリューションを企業に提供しています。我々の見解では、彼らのソリューションは、排出量データ収集を自動化する最も汎用性の高い製品であるだけでなく、排出量とコスト構造の透明性を創出し、事業プロセスを自動的に最適化させ、企業にとって大きな付加価値をもたらします」。

ジョーダノヴァ氏によると、競合他社はカーボンフットプリントを単発で計算し、オフセットを支援した後、それ以上の作業を支援することなくオフセットのための証明書を発行する傾向があるという。「私たちはこれらのサービスをすべて提供していますが、企業が継続的にカーボンフットプリントを削減し、サステナビリティを実施する方法を学ぶこともできるようにしています」と、彼女は筆者に話してくれた。

Plan Aは、新たな環境規制から恩恵を受けられる立場にある。米国の新政権とEUは指針を大きく転換し、排出量の報告についてより多くの透明性を求めている。オランダでは90以上の銀行が、二酸化炭素排出量の透明性を高めるための協定に署名した。一方で、化石燃料から得られる資金は、ESG投資に転用されている。しかし、当然のことながら、その資金を得ようとする企業は、排出量を証明する必要がある。そこでPlan Aの出番となるわけだ。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Plan A資金調達ESGカーボンフットプリント

画像クレジット:Plan A

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。