AIチップメーカーGraphcoreが約165億円調達、R&Dと顧客開拓を推進

英国はプロセッサーを得意としてきた歴史がある。しかしグローバルのチップマーケットはこのところ変動が激しい。そして米国時間2月25日、今後状況が厳しくなるかもしれない中で投資家がいかに次世代のチップ製造に賭けているかを強調するような大きなニュースが飛び込んできた。AIアプリケーション向けのプロセッサーをデザインするブリストル拠点のスタートアップGraphcoreは、R&Dと顧客開拓のために1億5000万ドル(約165億円)を調達したと発表した。この調達により、バリュエーションは19億5000万ドル(約2150億円)となる。

Graphcoreの累計調達額は4億5000万ドル(約495億円)で現金準備額は3億ドル(約330億円)だ。過去数カ月、チップ製造マーケットでみられる停滞、そして新型コロナウイルス感染拡大のために製造の鈍化がさらに進むするかもしれないことを考えた時、これは貴重な情報だ。

今回の資金調達はシリーズDの追加拡張投資で、同社のトータルバリュエーションは19億5000万ドルになった(参考までに、2018年12月の元のシリーズDでのバリュエーションは17億ドル(約1870億円)だった)。本ラウンドには新規投資家としてBaillie Gifford、Mayfair Equity Partners、M&G Investmentsが、既存投資家の中からMerian Chrysalis、Ahren Innovation Capital、Amadeus Capital Partners、Sofinaが参加した。また過去の投資家としてはBMW、Microsoft、Atomico、DeepMindのDemis Hassabis(デミス・ハサビス)氏などが名を連ねる。

Graphcoreの最大の売りは、同社がIntelligence Processing Unit((IPU)と呼ぶハードウェアと、それに対応するPoplarソフトウェアの開発だ。これはAIアプリに必要とされる、同時かつインテンシブに行われる計算向けにデザインされている(いかに人間が「並行」処理モードで考えるかをベースにしている)。

Graphcoreは自社のIPUについてAI向けにデザインされた初のプロセッサーだという。ただ NvidiaやIntel、AMDを含む他企業もこの分野にかなり投資しており、マーケットの需要に応えるべく開発のペースを上げている。これらの企業は、現在もまだ続いているAI処理という幅広いエリアにおける制限を克服することを思い描いている。

「深層学習は2012年から始まった」と共同創業者でCEOのNigel Toon(ニジェル・トーン)氏はつい最近TechCrunchに語った。「我々がGraphcoreを立ち上げた時、イノベーターから聞かれたのはハードウェアが足を引っ張っているという言葉だった」

Graphcoreは2020年にかなりの需要を想定している。同社は2019年も好調で、戦略投資家と契約も結んでいる。

「2019年はGraphcoreにとって変化の多い年だった。開発から、大量生産した製品の出荷を伴う販売へと移行した」とトーン氏は話した。「2019年11月のMicrosoftとの緊密な連携や、Azure Cloud上の外部顧客やMicrosoft 内部AIイニシアチブへのIPU提供を発表できたのは良かった。加えて、Dell Technologiesとの提携のもとにDSS8440 IPUサーバーの提供開始とCirrascale IPU-Bare Metal Cloud立ち上げも発表した。また、Citadel Securities、Carmot Capital、そして欧州の検索エンジン企業Qwantを含む顧客へアーリーアクセスも提供した」

最近ベルリンで開催されたDisrupt会議でのトーン氏によるチップ業界の見通しは下のビデオでチェックできる。

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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