NSAを内部告発したEdward Snowdenが、プライバシーを守りたいなら”Dropboxを利用するな“、と二度も忠告したことが、議論を呼んでいる。今日(米国時間11/4)はDropboxのCEO Drew Houstonが、その非難に応えた。彼は、もっと強力な暗号化の方式はあるけれども、どの方式を使うかは、使いやすさや利便性とセキュリティとのトレードオフだ、と述べ、“ユーザには選択肢を提供している”、と語った。
Houstonのこの発言は、今日アイルランドのダブリンで行われたWeb Summitのステージで述べられた。それはイギリスのGCHQの長官が、テロとソーシャルメディアと政府によるデータへのアクセスについてのエッセイを掲載した日でもある。
Houstonは、政府機関がソーシャルネットワークやそのほかの大手テクノロジ企業からデータを取り出すことの正否について、直接的には何も語らなかった。また、プライバシーが不可侵の権利であるか否かという、倫理的な問題にも触れなかった。むしろ彼は、ユーザ体験に焦点を絞った。
“ゼロ知識暗号化(zero knowledge encryption)を提供しているサイトの動機は十分に理解できるが、それには欠点もある”、と彼は言う。Dropboxが暗号化の方式を今以上に強化したら、検索やサードパーティアプリへのアクセス、モバイルデバイスからのデータへのシームレスなアクセスなどが、とてもやりにくくなるだろう、というのだ。ただしDropboxでも、ユーザがそれを選択することはできる。“うちは、そのためのサードパーティツールを提供しているが、もちろんそれを使えば検索やインデクシング、プレビューの表示などが困難になる。でもトレードオフというシーソーの上では、人びとは自分が選んだどの位置にでも立つことができる”。
彼はDropboxの企業イメージの問題にも、それとなく触れた: “人から石を投げられて、嬉しい人はいない。でも、FacebookやZuckも、これまでさんざん叩かれている。良いことはいっぱいしているはずなのに、急に、不正なことをしている企業にされてしまう。でも企業や人間が、人びとがいろいろ言うほどすごく良いことはないし、また、そんなにひどく悪いこともない”。
ステージ上のインタビューでHoustonは、2009年に協同ファウンダのArash Ferdowsiと一緒にiCloudがまだない頃のAppleを訪れたときの思い出を語った。そのとき彼らは、Steve Jobsからの(巷間9桁の)買収オファーを断わった。そしてCEOの彼は、その後、買収ではなくパートナーシップという企業進化の路線を選んだのだ。
今日Dropboxは、Microsoftとの、Houston曰く“深い統合”を発表した。これで二社のユーザは両方へシームレスに行ったり来たりできる。これはGoogle対抗策でもあるようだが、実際まさに今日Googleも、新たなクラウド事業を発表した。
Houstonは、両社の協働の意義について、“今Dropboxのユーザは12億人いるが、彼らがやってることで一番多いのがOffice文書の保存やバックアップだ”、と述べた。彼は今回のパートナーシップを“うちにとっては異例”と言うが、すでに自前のクラウドプラットホームを持っているMicrosoftにとっては、もっと異例だろう…Dropboxほど、繁盛していないとはいえ。“Microsoftがこのような統合をしたことは、過去に一度もないと思う”、とHoustonは言っている。
[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))