ソーシャルメディアに現れる自分は、これまではちょっとマンガっぽく表現されてきた。このことは、Facebookという会社がVRアバターシステムのようなアバター設計のサービスにどうアプローチしているかを考える上で興味深い。
Oculus Avatarsシステムは数々の変遷を経てきた。以前は表情が硬かったが、米国時間4月3日に人間のように豊かな表情をつくれるアップデートを公開した。Oculusの「Expressive Avatars(表情豊かなアバター)」は、確かに不安を感じるものではあるが、野心的なものでもある。
同社はこのアップデートについて「ユーザーからのフィードバック、および機械学習、エンジニアリング、デザインに関する長年の研究と革新が実を結んだ」と述べている。
リアルに近づくと現れる「不思議の谷」の概念は幾度となく取り上げられているが、この表現はリアルに近づいているのに実際には何もないということがさらに不安な気持ちにさせる。それは確かだ。Oculusは当初、人間が実際にどのように見ているかに基づいてアバターシステムを構築する際に広く向きを変えることを重視していたが、最新のExpressive Avatarsのアップデートで方向性が変わったようだ。
ブログの投稿で同社は、リアリズムに舵を切ることのリスクは認識しながらもこのトレードオフには価値があると強調している。人々は、人間のように見え、人間のように振る舞うアバターで交流したいと望んでいることがわかったと、同社は述べている。
2016年、私たちは確実にわかっていることを表す目的で知らないことを示すことはしないという意識的な決定をした。それ以来私たちは、弊社のハードウェアを高い信頼性で動きをシミュレートするのにどう役立てるかだけでなく、機械学習とすでに理解されている前例によってかすかなシグナルを大きな社会的存在に変えられることについても多くを学んだ。
新しいアバターの口と目の動きは、これまで以上にリアルだ。Facebookが続けてきた小さなアップグレードは、成功への大いなる挑戦だった。
この方向性を選んだのは、ちょっと危険なことかもしれない。Facebookの本当の理想は、完璧なデジタルバーソンを再現することだ。同社はすでに、人間によく似たアバターシステムの設計を手に入れている。現時点での限界は、コンシューマが利用するシステムが貧弱であることと、センサーが正確に捉えたもの以外のやりとりや動きをそれほど高度に推論できるプラットフォームではないということだ。
Facebookの新しいアバターシステムは、米国時間4月3日にOculusのモバイルとPCプラットフォーム上で利用可能になっている。
[原文へ]
(翻訳:Kaori Koyama)