Hyperloopのチューブがゾエトロープ効果で乗客にとって透明になる

19世紀に人気があった視覚的イリュージョンがHyperloopにやってくると、それはまるで透明なチューブの中の旅になってしまうかもしれない。一定間隔で並べた狭い窓は、その一つ々々の視野は制限されるが、数十個ものそんな窓が毎秒目の前を通過すると、ゾエトロープのような効果が作り出され、乗客はチューブの壁が透明になって外の景色が見えるような錯覚をおぼえる。

それはVirgin Hyperloop OneとデザインハウスBjarke Ingels Group(BIG)の公式のコンセプトで、2016年にデモしたこともある。今度彼らが共有したビデオでは、その動的構造と、乗客が実際に目にする光景を見せている。実現可能性については、触れていないけど。

元々のゾエトロープは、〔上記Wikipediaの図にあるように〕側面にスリットのあるシリンダーと、その中壁に描かれた一連のコマ撮り画像〔アニメ数コマぶん〕から成る。シリンダーを回転させるとスリットの向こう側の画像が人間の目には連続した画像(動画)のように錯視され、素朴なアニメーションになる。

その例として下図は、PixarがディズニーのCalifornia Adventureのために作ったゾエトロープだ:

Hyperloopのデザインコンセプトでは、それはリニアーな(線形の)ゾエトロープだ。つまり画像が回転するシリンダーの内壁上のループではなく、横に長い帯だ。地下鉄の窓から見えるアニメ広告に、そんなのがあったよね。

Hyperloopの場合は、客車がその中を移動していくチューブの壁に10メートル間隔で船の舷窓のようなスリット状の窓があり、そこから外界が見える。低速では数秒ごとにその窓が見えて、そのストロボ効果で不愉快かもしれない。でも、目標の時速1200キロメートルに達すると、なめらかな像になる。

彼らのシミュレーションでは、こうだ:

それは、本当に必要だろうか? 外界の擬似画像を見せることが目的なら、液晶ディスプレイで“舷窓”を作ればよいし、飛行機の席のように小型テレビでもよい。でもそれでは、ゾエトほどクールでないだろう。でも今あるテスト用路線でも、点検や避難用にそんな窓がチューブの壁にあるから、意外と楽に実装できるかもしれない。

しかし現状は、Hyperloopそのものがまだプロトタイプだし、今行われている開発努力が実を結ばない可能性もある。でも、人びとが、自分は今狭いチューブの中をめちゃくちゃ不条理なスピードで通過中なんだ、と思わずにすむためには、有効な気晴らしかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。