MicrosoftがWindows 10でその概要を描いたPCとタブレット両用のオペレーティングシステムは、ハードウェアの設計者たちの間にコンバーチブルモデル(可換機)のブームをもたらした。それらはラップトップとタブレットの両方に使えて、着脱型のキーボードがある。
しかしiPadはひたすらもっぱら、その逆の道を歩んできた。iOSとmacOSの境界はProject Catalystで薄めようとしたが、タブレットというカテゴリーをあらためて再定義したAppleのタブレットはあくまでもモバイルファーストで、iPhoneのオペレーティングシステムのスケールアップしたバージョンが動いていた。それは同社とその製品との相性も良く、消費者から見てもシンプルで分かりやすい形だった。
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しかしiPadの成熟とともに、消費者の求めるものも成熟した。最近のAppleはiPadと呼ばれる製品を嬉々として、企業と教育向けのラップトップ代替機と位置づけている。その姿勢はiPad ProとApple Pencilの登場で加速され、クリエイティブのプロが使う道具という説得力を増すとともに、さまざまな新しい機能がマルチタスキングに向かう道を作った。
iPadOSの登場は同社のタブレットの進化の、次の重要な一歩だ。デバイスにはすでに、大型化や計算能力の強化を促す機能が多くなっていたが、今回OSの名前そのものを変えたことは、iOSからフォークしたこのオペレーティングシステムが独立し自立したことを意味し、それとともに、生産性ツールという位置づけがますます大きくなっているこの製品にふさわしい、独自の機能が多数導入された。
今後iPadOSは、iOSがiPhoneのOSとしてアップデートされたら、同時にそれらのアップデートの多くをゲットするだろう。今回のそれらは、iOS 13のダークモードや、地図のアップデート、Photos(写真アプリ)のデザイン変更などだ。しかし改名された独立のOSであるiPadOSにふさわしい、タブレットならではの機能もたくさんある。
アップデートされたのは、まずホーム画面(Home Screen)。既存のレイアウトが単純に大きくなったのではなく、情報が増えた。画面上のアイコンは最初から30あり、6×5に並んでいる。アイコンはもちろん、今後ユーザーの使用により増えたり減ったりするだろう。
右にスワイプすると左に、新登場の日付時刻の下にリバーウィジェットが出る。このウィジェットには、カレンダー上のアポイントとか、天候、写真などの最寄り情報が出る。下へ大きくスワイプすると設定だが、これをホーム画面のデフォルトにすることもできる。
一方、このアップデートの主役と言えばマルチタスキングだ。第二の浮遊アプリを提供するSlide Overに、ドックからドラッグした複数のアプリを同時に動かす機能が加わった。画面中央へスワイプすると今開いているすべてのアプリが、カードの束のように表示される。アプリを上までスワイプすると、そのアプリが全画面になる。
もうひとつ重要なのは、ひとつのアプリで複数のウィンドウを開けることだ。これもマルチタスクに慣れているデスクトップのユーザーには当たり前のことだが、Pagesなどのアプリケーションでは、あるドキュメントの内容を、今書いてるほかのドキュメントに利用するなど、便利な使い方がいろいろある。
同社が、ファイルのアップデート以上の本格的なデスクトップ的ユーザー体験を今後も提供するのか、その明確なサインはない。今回の変更でユーザーは、自分のデバイス上でファイルシステムを前よりもっとコントロールできるようになった。これまで同社はそれを、よりシンプルなユーザー体験を提供するの名のもとに、ずっと隠してきた。でもそうすると、システムとの対話が不明瞭になるから、iPadをよりプロフェッショナルなマシンと位置づけるのなら、多くのことを明快にした方が良い。
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外部ハードディスクをUSB Cポートから使えるので、今後は大量のドラッグ&ドロップをしなくても済みそうだ。そうやってマウントしたドライブはFilesアプリのLocationsカラムに入る。Lightroomのように、SDカードやカメラからファイルを直接インポートできる。フォルダーのzip/unzipもFilesアプリの中でできる。download(ダウンロード)フォルダーがあるので、MailやSafariなどからダウンロードしたコンテンツにも直接アクセスできる。
iPadOSは今日から公開ベータで入手できる。iOS 13やmacOS Catalinaと一緒だ。最終バージョンは、秋になる。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)