Molotovが、友人と一緒にテレビを観るためのVRコーヒーショップを作った

フランスのスタートアップMolotovは、徐々にフランスにおけるストリームテレビの、リーディングプラットフォームになりつつある。1つのアカウントで、ユーザーは、携帯電話、タブレット、コンピュータ、そしてセットトップボックス上でテレビを見ることができる。同社は、バーチャルリアリティヘッドセットを使ってテレビを見ることができるVRアプリを、リリースしようとしているが、そこには新しい工夫がある。

新しいサービスはMolotov Togetherという名前で、そして多くの点で面白い体験を提供する。私は数週間前に、このサービスの初期バージョンを試してみた。

当初私は、テレビをVRヘッドセットで観るというアイデアに対して、とても抵抗を感じていた。私は特にVRのファンではないし、多くのVRヘッドセットは既に、仮想現実内で動画を見ることを可能にしている。

多くの場合、結局落ち着く先は、仮想ルームの仮想壁上に投影されたWebブラウザの中で動く、YouTubeプレーヤーなのだ。しかしMolotovもそれは認識していて、動画の鑑賞は実際のテレビ上で見たほうがまだ良いということも分かっている。

Molotovの共同創業者でCEOのJean-David Blancが、Molotov Togetherのアイデアを私に説明し始めたとき、彼はまずライブで観るテレビについて話し始めた。

Netflixショーや膨大なiTunesライブラリの時代には、かつてはテレビを観るということが、何かをライブで観ながら、その瞬間を誰かと共有することを意味していたことを思い出すのは難しいかもしれない。いまでもアメフトの試合や、選挙の夜、その他の重要なイベントなどを通してそうした同時体験を行うことはできる。

そしてそのような場合には、隣の人間との会話やジョークは、コンテンツ自体と同じくらい重要なものとなり得る。

遠距離親友同士のためのテレビ

Molotovは、Molotov Caféという名の仮想現実コーヒーショップを作った。Molotov Togetherを使えば、ユーザーは1人または2人の友人を招待して、そのカフェで一緒にテレビを観ることができるようになる。全員が快適な仮想現実アームチェアに座って、お互いを見ることができる。

そこではそれぞれの人間が、自分が観てアクセスしたい全てのMolotovコンテンツのためにチャンネルを制御することが可能だ。各人が自分用のテレビを持っているからだ。しかしMolotov Togetherが本領を発揮するのは、全員が同じチャンネルを観るときだ。

そうすることで、全員が同じコンテンツを鑑賞し、ボイスチャットを使って一緒に話すことができる。何かのボタンを押したりする必要はない。気軽に座って一緒にコンテンツを見ることができる。

私はJean-David Blancと一緒にMolotov Togetherを試してみたが、それがそんなに上手くいくとは期待していなかった。まず、仮想的コーヒーショップに入ることは、大幅なコンテキストの変化を伴うため、少々奇妙に感じる。しかし、一度他の人とチャットを始め、見たものにコメントしてみると、まるで隣に並んで座っているような気持ちになってくる。

遠距離の親友や恋人たちは、デバイス上のSkypeやFacetimeで、同じ映画を観ることがある。Molotovはこのコンセプトを完璧なものにしたいと考えていて、このような場にいるひとたちはそのサービスを愛するようになるだろう。同様に、人気のテレビ番組に対するリアクションビデオを、人びとが観る理由もある。お気に入りの番組に対するジョークやコメントを聞くことで、お気に入りのコンテンツがさらに充実したものとなるのだ。

マインドトリック

Molotov Togetherのような製品は、それを背後で支えるチームが細部に注意を払っていないとうまくいかない。私はOculus Goを使ってMolotov Togetherを試したが、アプリは最終的にはすべての主要なVRヘッドセットで動作するはずだ。

Molotov Togetherはマルチプレイヤー体験だ。ビデオゲームと同様に、皆が同じものを同時に見る必要がある。もし贔屓のチームがゴールを決めたのに、自分の見ているフィードが5秒遅れだったら、そいつは面白くないだろう。それこそが、ビデオフィードを完全に同期させるために、Molotovが2人の人間が同じCDN(コンテンツ配信ネットワーク)からストリーミングを受信するようにしている理由なのだ。

仮想テレビの音量をコントロールできる一方で、友人たちの声もまた空間の中に位置づけられている。たとえ友人たちの声が似通っていたとしても、見ることなしに誰が喋っているかを知ることができる。

コーヒーショップからリビングルームまで

Molotov Togetherは2019年2月にリリースされる予定だ。互換性のあるVRヘッドセットを持っているMolotovユーザーなら、そのサービスにアクセスできるようになる。

同社はその後、新しい機能をリリースしていきたいと考えている。特にMolotovは、ユーザーが自身の仮想リビングルームに人びとを招いて、ユーザーの流すテレビを観ることができるようにする予定だ。この場合はホストがテレビを操作し、プレミアムコンテンツをストリーミングすることができる。ゲストたちはサブスクリプションを行っていなくてもそのプレミアムコンテンツを観ることができる。フランスの規制当局の反応を見るのが楽しみだ。

Molotovは現在、フランスに約700万人のユーザーを抱えている。毎日120万人のユーザーがMolotovで何かを観ていて、放映されるコンテンツはのべ110万時間にも及ぶ。想像できるように、こうしたMolotovセッションはかなり長くなる可能性がある。

この新製品によって、Molotovは自身がコンテンツ会社と競合するテクノロジー企業であることを証明している。Molotov Togetherは会社の顔を変えることはない。しかし、スタートアップはテレビを見る新しい方法の模索を続けている。そしてそのことが、競合相手よりも優位な位置に立つには十分かもしれない。

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(翻訳:sako)