今日(米国時間2/22)OpenStack Foundationが、同プラットホームの最新バージョンをローンチする。企業はOpenStackを使って、AWSのようなクラウドコンピューティングプラットホームを自己のデータセンターでプライベートに運用できる。Ocataと呼ばれる今日の15回目のリリースは、前回のリリースからわずか4か月後と早いが、今後は通常の6か月サイクルに戻る。今回とくに早かったのは、Foundationが近くデベロッパーのためのイベントを開催するからだ。短いサイクルなので新しい機能よりも安定性が重視されているが、しかしそれでも、いくつかの新機能を見ることができる。
今やOpenStackは巨大なプロジェクトで、20近いサブプロジェクトで構成されている。もちろんどれもコンスタントにアップデートされているが、今回の新機能で目立つのは、OpenStackにおけるソフトウェアコンテナのサポートがさらに充実したことだ。OpenStackのCOO Mark Collierによると、コンテナプロジェクトは他のプロジェクトよりも進捗が早い。彼によるとOpenStackとGoogle生まれのコンテナオーケストレーションシステムKubernetesの組み合わせは“クラウドのLAMP”みたいなものであり、Kubernetesの人気が高いのはGoogleや特定一社がそれをコントロールしようとせずに、オープンソースのコミュニティにその成長を委ねたからだ、とCollierは語る。
今回のOctaリリースにおけるコンテナサポートの改良は、OpenStackのコンテナによるデプロイをサポートするプロジェクトKollaにKubernetesをより完璧に統合したことだ。それによってOpenStackのデプロイの管理が容易になるだけでなく、アップグレードもよりシンプルな工程になる。そのほかのアップデートとしては、コンテナのオーケストレーションサービスを支えるOpenStackのメインプロジェクトMagnumがMesosphereをより本格的にサポートするようになったことが挙げられる。またOpenStackのコンテナネットワーキングサービスKuryrが、Docker Swarmをサポートする。
OpenStackは明らかに、コンテナエンジンに関してえこひいきはしていない。わずか1年前ですら、コンテナがOpenStackの死を招くか云々という議論がまだあった。しかしそんな不安はいかにも大げさであり、今やコンテナはこのプロジェクトの中核的部分のひとつだ。
OpenStackの今後に関連してCollierの説では、このところ、企業のプライベートクラウドの見方が変わってきている。OpenStackにかぎらず、最初の世代のプライベートクラウドサービスは、あまり使いやすくはなかった。“今よりもずっと大きなチームを必要としたし、採用もPayPalやWalmartなど超大企業に限られていた。つまりクラウドをプライベートで立ち上げるのは、ふつうの企業には無理だった”。でもCollier説によると、今はプライベートクラウドの第二世代だ。プライベートクラウドを立ち上げるのに、もはや巨大なチームは要らない。それに今では、セットアップを手伝ってくれる企業のしっかりとしたエコシステムがある。
初期には、OpenStackのクラウドをセットアップするために必要なマンパワーの量が大きすぎて、小さなチームでは難しかった。しかしCollierによると、今では費用の面でもプライベートクラウドがAWSなどのパブリッククラウドサービスと十分に競合できる。パブリッククラウドサービスはいろんなオプションなどで費用がかさむことが多いが、OpenStackなどを自前で使えば、持続可能なワークロードを低費用で維持できる。つまり彼の主張では、これからはプライベートクラウドの方がAWSなどを使うより費用効率が良い、というのだ。