Q5Dは手作業で行われてきた電子機器製造工程の配線作業をロボットで自動化

Q5Dの提案はシンプルだ。「ロボットを使って電子機器用ワイヤーハーネスの製造工程を自動化する」こと。電子機器用ワイヤーハーネスの製造は、その全体的な複雑さゆえに、意外にもいまだに手作業で行われていることが多い。この工程は前世紀からあまり変わっていないと、同社は事あるごとに指摘する。これらを機械に任せることで、製造工程のスピードアップ(現在のような遅れの中では絶対的なプラス要因)、コスト削減、ヒューマンエラーの減少につながる。

英国ブリストルに本拠を置くこのスタートアップ企業は、Cella Energy(セラエネルギー)やCEL-UK(セルUK)に携わっていたSteve Bennington(スティーブ・ベニントン)氏とChris Elsworthy(クリス・エルスワーシー)氏が、2019年に設立した。現在はそれぞれCEOとCTOを務めている。実はこの会社は、Robox(ロボックス)ブランドを含む3Dプリンターを製造しているCEL-UKと、電子機器製造用の工作機械を製造しているM-Solv(Mソルブ)のジョイントベンチャーなのだ。

画像クレジット:Q5D

Q5Dは、ハードテックのベンチャープログラムであるHAXの卒業生であり、今回発表されたシードラウンドには、HAXを運営するSOSVも参加している。「製品の内部に配線を施すことは、製造工程の中で最も手作業が多く、うんざりする作業です。Q5Dのプロセスと製品は、先進的な製造業において自動化を完結するために必須のものです」と、HAXのパートナーであるDuncan Hunter(ダンカン・ハンター)氏は、今回の資金調達に関するリリースで述べている。

今回の270万ドル(約3億1000万円)の資金調達は、Chrysalix Venture Capital(クリサリックス・ベンチャー・キャピタル)が主導し、Rainbow Seed Fund(レインボー・シード・ファンド)も参加した。この資金は、同社の技術をさらに拡大するために使用される予定だ。現在はSafran(サフラン)やOxford Space Systems(オックスフォード・スペース・システムズ)など、主に航空宇宙分野の顧客に使用されているが、この技術は民生用電子機器や自動車、特に配線システムが内蔵された電子機器など、非常に幅広い分野で展開が可能であることを、同社は即座に強調する。

「今は大きな変化の時代です。交通機関の急速な電化や、洗濯機から携帯電話まであらゆる機器の高機能化により、配線はさらに複雑で手間のかかるものになっています」と、ベニントン氏はリリースの中で述べている。「この世界で過去80年間行われてきた配線のやり方は、変わらなければなりません」。

画像クレジット:Q5D

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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