農地をスキャンし、壁を作り、窓を掃除するロボットたち

私のGmail受信箱は、アグリテック(農業技術)の売り込みでいっぱいになり、正直なところ、最後の2通のニュースレターで話題にしたことを少々後悔している(といいつつ、またやっているわけだが)。あれはいつ始まったのだろう?私の住む半球では、ちょうど東海岸時刻午前11時33分に正式に春が訪れたためだ。花は咲き、鳥はさえずり、私たちはみな、どうやってロボットを導入しようか考えている。

そして(おそらくは関連する事実として)World Agri-Tech Innovation Summit(世界農業技術イノベーション・サミット)が今週サンフランシスコで始まったことが、少なくとも部分的には、宣伝メールが大気を埋め尽くす大量の花粉のように増えた理由だろ。別に私は腹を立てているわけでもなんでもない(もしそう聞こえたなら、今私の脳内の半分を占めている花粉のせいだ)。事実、それはこの分野の大きなトレンドへの興味深い洞察を与えてくれた。

以前私は、アグリテックロボティクスが期待されたほど普及していないことに言及し、今も変わっていない。しかしそれは、努力が足りていないからではない。今この分野で最も重要なのは、農作物監視、特に潜在的問題に備えた監視だ。何度も引き合いに出しているが、米国の農業従事者の平均年齢は57.5歳で、日本ではさらに約10歳高い。ここ米国で、約40年間この年齢は上がり続けている。

この話を持ち出す理由は、農業が著しく困難な仕事であり、多くの人々が(少なくとも理論的には)引退を考えている年齢で、彼らは日の出から農地に出ている。伝統的な監視は、日中の多くの時間を独占する退屈な作業だ。そして、正しく行わないと、問題のある場所が実際の問題になる前に見つけることは困難だ。

画像クレジット:Growmark/Solinftec

私が思いつく新しい監視方法は4つ、衛星画像、IoTデバイス、ドローン調査そしてGrowmark(グローマーク)とSolinftec(ソリンフテック)の名前のないデバイスをはじめとするロボティクスだ。農作物監視は、農業にロボットを導入する重要な第一ステップだが、それ以外の果実収穫、除草、耕耘(こううん)などの作業にその機能を組み合わせたいっそう魅力的なモデルもある。これらのデバイスの多くが効率的にレンタルされていることから考えると、農業従事者は費用に見合う最大の価値を求めているのだろう。

さて、今週はずいぶんとたくさん農業の話をしてきた。ロボティクス普及の未来について少し考えてみよう。2021年の終わり頃、私はCMU(カーネギーメロン大学)の新しいディレクターと今後の目標について話した。彼はインタビューの最後をこう締めくくった「工場の現場などに行けばロボットを見ることができるでしょうし、家にはロボット掃除機があるかもしれませんが、私は窓の外を見るとロボットがいるというレベルにしたいと思っています」。

ここでSkyline Robotics(スカイライン・ロボティクス)について少し話そう。最近の記事に書いたように、私は自動化したい仕事リストの上位にビルの窓掃除を置いている。この仕事が比較的危険であることを考えると、ロボット化はかなり進んでいると思っていたが、私の見た数字はそれを反映していなかった。

統計的にみて、世界で最も危険な職業ではないかもしれないが、路上数百メートルの空中に宙ぶらりんになるのは、最も恐ろしい状態の1つではあるだろう。Skylineは2021年遅くにOzmo(オズモ)システムを披露して、何度かマスコミに登場した。具体的には、ロボティック・アームのKuka(クカ)を2台、吊り下げられたプラットフォームに載せたものだ。3月24日、同社は 650万ドル(約7億9000万円)の資金調達を発表し、総調達額は900万ドル(約10億9000万円)に達した。

「このラウンドと初のOzmo展開の成功は、我々の製品とサービスに対する需要が目に見えて投資家に伝わっているだけでなく、Skylineの前に大きなビジネスチャンスがあることを示しています」とCEOのMichael Brown(マイケル・ブラウン)氏は話した。「私たちのチームの信念は、投資家のみなさんのものと一致しています」。

画像クレジット:OTTO

危険な職業と言えば、先週書いたように、フォークリフトも実はかなり危険だ。当然多くの企業がこの作業の自動化を目指しており、カナダ・オンタリオ州拠点のOTTO(オットー)もその1つだ。今週同社は、新しい自動パレットムーバーであるOTTO Lifter(オットー・リフター)を発表した。

Plotlogicの創業者でCEOのAndrew Job(アンドリュー・ジョブ)氏(画像クレジット:Sarah Keayes/The Photo Pitch)

ちなみに、最近同僚のDevin ColdweyがPlotlogic(プロトロジック)の1800万ドル(約21億8000万円)の資金調達について記事を書いている。オーストラリア、ブリスベーン拠点のスタートアップはハイパースペクトルイメージングと呼ばれる手法を用いて、土壌から検出困難な元素を見つける。

CEOのAndrew Job(アンドリュー・ジョブ)氏は次のように話している。

「経済的なメリット、環境維持のメリット、安全性のメリットの3つがあると考えています」とジョブ氏はいう。「より多くの鉱石を処理し、廃棄物を減らすことができるため、より収益性が高くなります。より正確に、より多くの岩石をその場に残し、燃料や温室効果ガスを廃棄物の移動に費やさないようにすることができるのです。そして、それは鉱山での人間の被曝時間も減らします」。

画像クレジット:NVIDIA

今週GTC 2022カンファレンスで、NVIDIAはJetson AGX Orin(ジェットソン・エージーエックス・オーリン)を発表してロボット開発分野への参入を印象づけた。2000ドル(約24万円)の開発キットは、先行機種と比べてコンピューティング・パワーが大幅に強化されている。製品版の発売は第4四半期になる。

オートメーションは、10兆ドル(約1218兆円)の建設産業に今後5年以内に革命を起こす態勢にある。そこで、Rugged Robotics(ラギド・ロボティクス)は、さらなる自動化を目指している。同社は、フィールドプリンターを完全自立型にして24時間運転を可能にすることを発表した。同社のシステムは床に建物のレイアウトを印刷し、作業者に正確な建設位置を教える。

今週同社は940万ドル(約11億円)を調達し、資金総額は約1200万ドル(約14億6000万円)になった。「私たちは建設業界の近代化を目指し、建設業者が毎日苦労している痛点を解決するための実用的なソリューションを構築したいと考えています」と、Derrick Morse(デリック・モーズ)CEOは声明で述べている。「レイアウトは理想的なその出発点であると確信しています。レイアウトは、建設の自動化のための足がかりになります。デジタルと物理の世界の交差点に位置し、大きな問題を解決でき、非常に有意義な方法でロボットを現場に配備することが可能です」。

そうそう、今週お別れする前にこれを言っておかなくてはならない。Open Robotics(オープン・ロボティクス)10歳の誕生日おめでとう。私はまだ、何でも持っているこのRobot Operating System(ROS、ロボット・オペレーティング・システム)管理者に何をプレゼントすればよいかわからないので、ちょっとしたコラムのスペースで我慢してもらおう。

画像クレジット:Skyline Robotics

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Q5Dは手作業で行われてきた電子機器製造工程の配線作業をロボットで自動化

Q5Dの提案はシンプルだ。「ロボットを使って電子機器用ワイヤーハーネスの製造工程を自動化する」こと。電子機器用ワイヤーハーネスの製造は、その全体的な複雑さゆえに、意外にもいまだに手作業で行われていることが多い。この工程は前世紀からあまり変わっていないと、同社は事あるごとに指摘する。これらを機械に任せることで、製造工程のスピードアップ(現在のような遅れの中では絶対的なプラス要因)、コスト削減、ヒューマンエラーの減少につながる。

英国ブリストルに本拠を置くこのスタートアップ企業は、Cella Energy(セラエネルギー)やCEL-UK(セルUK)に携わっていたSteve Bennington(スティーブ・ベニントン)氏とChris Elsworthy(クリス・エルスワーシー)氏が、2019年に設立した。現在はそれぞれCEOとCTOを務めている。実はこの会社は、Robox(ロボックス)ブランドを含む3Dプリンターを製造しているCEL-UKと、電子機器製造用の工作機械を製造しているM-Solv(Mソルブ)のジョイントベンチャーなのだ。

画像クレジット:Q5D

Q5Dは、ハードテックのベンチャープログラムであるHAXの卒業生であり、今回発表されたシードラウンドには、HAXを運営するSOSVも参加している。「製品の内部に配線を施すことは、製造工程の中で最も手作業が多く、うんざりする作業です。Q5Dのプロセスと製品は、先進的な製造業において自動化を完結するために必須のものです」と、HAXのパートナーであるDuncan Hunter(ダンカン・ハンター)氏は、今回の資金調達に関するリリースで述べている。

今回の270万ドル(約3億1000万円)の資金調達は、Chrysalix Venture Capital(クリサリックス・ベンチャー・キャピタル)が主導し、Rainbow Seed Fund(レインボー・シード・ファンド)も参加した。この資金は、同社の技術をさらに拡大するために使用される予定だ。現在はSafran(サフラン)やOxford Space Systems(オックスフォード・スペース・システムズ)など、主に航空宇宙分野の顧客に使用されているが、この技術は民生用電子機器や自動車、特に配線システムが内蔵された電子機器など、非常に幅広い分野で展開が可能であることを、同社は即座に強調する。

「今は大きな変化の時代です。交通機関の急速な電化や、洗濯機から携帯電話まであらゆる機器の高機能化により、配線はさらに複雑で手間のかかるものになっています」と、ベニントン氏はリリースの中で述べている。「この世界で過去80年間行われてきた配線のやり方は、変わらなければなりません」。

画像クレジット:Q5D

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

MongoDB創業者のViam Roboticsはロボット導入のユニバーサル化を目指す

このカテゴリーを追っている人にとっては、おなじみの問題だ。投資家と企業は、ロボットと自動化に関してほぼ同じ考えを持っている。このような技術は、将来の競争力を維持するために必須のものとなるだろう。また、短期的には、広範な人材不足を解消する鍵になると広く考えられている。

しかし、導入の問題が残る。自動車メーカーやAmazon(アマゾン)などの大企業は、こうした技術を製造やフルフィルメントの現場に導入することにあまり問題はない、リソースが無限にあると思われる企業にとっては容易なことなのだ。しかし、ロボットを稼働させるためのフルタイムの開発者やコーダーを雇用できない企業の場合はどうだろうか?

多くの企業がこの問題に取り組みたいと考えている。この問題に対して、ニューヨークを拠点とするViam Robotics(ビアム・ロボティクス)は、独自のソリューションを準備している。ある人はこのソリューションを、こうしたシステムの導入と監視をより標準化したアプローチで提供するものだと説明している。スタートアップのウェブサイトには次のように書かれている。

Viamはこれらの問題に、カスタムコードではなく、標準化されたビルディングブロックを使ってロボットを直感的かつ迅速に作成、構成、制御できる、新しいロボットプラットフォームの構築に取り組んでいます。私たちは、意欲的で経験豊富なエンジニアが、私たちの革新的なソフトウェアツールを使って、業界を問わず複雑な自動化の問題を解決することを支援していきます。

MongoDBの共同創業者で元CTOだったEliot Horowitz(エリオット・ホロウィッツ)氏が2020年に設立したこのViamは、資金調達にもあまり苦労せずに、ほぼステルス状態で運営されてきた。米国時間2月1日、同社はTiger Globalが主導する3000万ドル(約34億4000万円)のシリーズAを発表した。今回のラウンドには、2021年6月に行われた1200万ドル(約13億8000万円)のシードラウンドにも参加したUnion Square Ventures(USV)とBattery Venturesも参加している。

画像クレジット:Viam

USVのマネージングパートナーであるAlbert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏は、2021年のシードに関連した投稿の中でこう言っている「彼らの目標は、ロボットの構築とプログラミングを、ウェブサービスを組み立てるように簡単にすることです。この目的のために、彼らは物体認識、ナビゲーション(移動)、グリッピング(掴むこと)などの一連のコアコンポーネントを開発しています。「さらにViamは、新しいロボットアプリケーションを開発者がオンデマンドでテストできるオンラインテストベッドを提供しています(高価なロボットのハードウェアを事前に取得する必要がありません)」。

ホロウィッツ氏は次のようにいう「シードラウンド以来、私たちは優秀な人材を採用し、プラットフォームを構築、テスト、ローンチし、簡単かつ直感的にロボットを作ることができるという期待に満ちた外部の方々と連携してきました」。

順調に資金集めができているとしても、物事はまだ初期の段階だ。現在、このプラットフォームは「プライベート・アルファ」として公開されているが、2022年後半のある時点で、より広範にサービスの提供を開始する予定だ。確かにタイミングは良い。Viamの創業と成長がパンデミックと重なったのは偶然ではないだろう。パンデミックによって、自動化に対する関心と投資が大きく高まったからだ。

画像クレジット:rozdemir01 / Getty Images

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:sako)

ロボット工学と統合されたeコマース配送プラットフォーム「Paack」が約257億円調達

Paack物流センター・マドリードの仕分けロボット(画像クレジット:Paack)

今や多くの人が、Amazon(アマゾン)などの広大なスペースに設置された倉庫ロボットを見慣れていることだろう。特にAmazonは、この技術のパイオニア的存在だった。しかし、2021年の今、倉庫ロボットとソフトウェアロジスティクスプラットフォームの連携は、もはや一企業の専売特許ではなくなっている。

後発のスタートアップで、このアイデアで「成功」しているのが、現代の物流業務に不可欠なロボット工学と統合された高度なソフトウェアプラットフォームを持つeコマース配送プラットフォームのPaack(パアック)である。

Paackは、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD資金調達ラウンドで、2億ユーロ(約257億円)を調達した。この資金は、製品開発とヨーロッパでの事業拡大に充てられる予定だ。

このラウンドには、Infravia Capital Partners(インフラビア・キャピタル・パートナーズ)、First Bridge Ventures(ファーストブリッジ・ベンチャーズ)、Endeavor Catalyst(エンデバー・カタリスト)も新たに参加した。また、Unbound(アンバウンド)、Kibo Ventures(キボ・ベンチャーズ)、Big Sur Ventures(ビッグ・サー・ベンチャーズ)、RPS Ventures(RPSベンチャーズ)、Fuse Partners(フューズ・パートナーズ)、Rider Global(ライダー・グローバル)、Castel Capital(キャステル・キャピタル)、Iñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)といった投資家も参加している。

今回の資金調達は、本国スペインで収益性の高いポジションを確立した後に行われたが、Paackは、英国、フランス、ポルトガルなど、ヨーロッパ全域で同様の目標を達成する予定であると主張している。

Fernando Benito(フェルナンド・ベニート)氏、Xavier Rosales(シャビエル・ロサレス)氏、Suraj Shirvankar(スーラジ・シルヴァンカー)氏の3人が設立したPaackは、現在150の海外顧客から毎月数百万の注文を受け、1サイトあたり1時間に1万個の小包を処理しているという。そのうちの17社は、スペイン最大級のeコマース小売業者である。

同社のシステムは、eコマースサイトと統合されている。そのため、消費者はチェックアウトの際に配送スケジュールをカスタマイズすることができる、と同社はいう。

CEO兼共同設立者のベニート氏は「便利でタイムリーで、よりサステナブルな配送方法に対する需要は、今後数年間で爆発的に増加すると思われ、Paackはその解決策を提供しています。私たちはテクノロジーを使って、消費者に配送のコントロールと選択肢を提供し、配送にかかる二酸化炭素排出量を削減します」と述べている。

SoftBank Investment Advisers (ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)の投資ディレクターであるMax Ohrstrand(マックス・オルストランド)氏は「eコマース分野が繁栄を続け、消費者にとって当日配送がますます当たり前になる中、Paackはその技術とサステナビリティへの取り組みの両面において、カテゴリーリーダーになるための好位置につけていると考えています」。と述べている。

世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、ラストマイル・デリバリー事業は2030年までに78%成長し、そのうち3分の1近くで、CO2排出量が増加すると予想されている。

そのため、Paackは、電気自動車を使用し、環境負荷を測定することによって、すべての小包をカーボンネットゼロで配送することを目指していると主張している。現在、カーボントラストと国連の認証取得を目指している。

ベニート氏はインタビューで「私たちは、短期的なビジョンとして、ラストワンマイルデリバリーのための、おそらく最も先進的な技術によるデリバリープラットフォームを通じて、ヨーロッパにおける持続可能なeコマースデリバリーをリードすることを目指しています。例えば、当社のCTOは、Google Cloud(グーグル・クラウド)のCTOであり共同設立者でした」と答えている。

「最高の配送体験を実現するために、倉庫の自動化、時間帯、ルーティングの統合など、あらゆるものを開発しています」と語る。

Paackによると、複数のロボットパートナーとの提携が可能だが、現在は中国企業GEEK(ギーク)のロボットを使用している。

同社は、ヨーロッパのDHL、Instabox(インスタボックス)、La Poste(ラ・ポステ)のような大規模な既存企業に対抗できるようにしたいと考えている。

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

産業用ロボットのノーコードプログラミングを実現する独Wandelbotsが新たに約95.7億円調達

ドイツのドレスデンを拠点とするWandelbotsは、2017年にDisrupt Berlinのステージに登場して以来、数年の間に健全な額を調達してきた。ノーコードのロボットソフトウェア企業である同社は2018年には680万ドル(約7億7000万円)を調達し、コロナ禍が製造業を一気にスローダウンさせたことで自動化への期待が高まっていた2020年6月には、3000万ドル(約34億2000万円)を調達した。

中央ヨーロッパ時間1月25日、同社は8400万ドル(約95億7000万円)のシリーズCを調達したことを発表し、これにより累計資金調達額は1億ドル(約113億9000万円)を軽く超えた。今回のラウンドはInsight Partnersがリードし、83North、Microsoft(マイクロソフト)、Next47、Paua、Atlantic Labs、EQTなどの既存の投資家が参加している。

Wandelbotsのミッションは一見シンプルなもので、多くの企業がこの分野での解決を目指している。ロボットのソフトウェアレイヤーは、工場でロボットを導入する際の参入障壁をどうしたら下げられるのか。具体的には、多くの外部サポートや多額の資金、ロボットのコーディングノウハウを必要とせずに、企業がロボット軍団を実装するにはどうすればよいのか。同社のソリューションは「TracePen」と呼ばれるインタラクティブなティーチングシステムで、このツールを使い人間のインストラクターが模倣すべき動作をデモンストレーションし、ロボットを訓練する。その後、ソフトウェア上で動作を微調整することができ、コーディングは不要だ。

「Wandelbotsのミッションが現実のものとなったことを大変誇りに思います」と、共同設立者兼CEOのChristian Piechnick(クリスチャン・ピエニック)氏はリリースで述べている。「当社のプラットフォームは、人間中心のロボットソリューションを業界で加速させるのに役立っていくことでしょう」。

画像クレジット:Wandelbots

今回の資金調達は、同社がロボットティーチングソフトウェアの開発者コミュニティの構築に取り組んでいる中で実施された。具体的には、開発者がWandelbotsプラットフォーム上で独自のティーチングアプリケーションを作成できるようにすることを目指している。Wandelbotsは現在、BMWやVWなどの顧客にロボットを提供しているUniversal RobotsやYaskawaを含む、より幅広いシステムとの相互運用性の実現にも取り組んでいるという。

またWandelbotsは、追加の雇用を行い、米国やアジアなどの市場にグローバルな事業を拡大する予定だ。

画像クレジット:Wandelbots

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

シンガポールを拠点とするSesto Roboticsが6.5億円を調達して世界展開を目指す

シンガポールを拠点とする産業用ロボット企業Sesto(セスト)は、今週、TRIVE、WTI GmbH、SEEDS Capital(Enterprise SingaporeのVC部門)が参加した570万ドル(約6億5000万円)の資金調達を発表した。今回のラウンドは、2018年に実施された同規模の400万ドル(約4億6000万円)のシリーズAに続くものだ。

パンデミックの影響で自動化を目指す企業が増えたこともあり、産業用ロボットの分野で多くの企業がそうであるように、Sestoも前回のラウンド以降多忙な日々を送ってきた。2020年5月には、ここ数年で見られるようになったUV-C(紫外線)システムを先取りした消毒ロボットHealthGUARD(ヘルスガード)を発売した。

2020年8月には、AMR(自律型移動ロボット)のラインナップにMagnus(マグナス)を加えた。このシステムは、多くの自律型倉庫ロボットと同じように動作し、(現在はAmazon傘下の)Kiva(キバ)が開発したシステムによく似ている。また、モジュール化されているため、ロボットの上にさまざまな付属品を取り付けて機能を追加することができる、これは自律型アシスタントの一群を迅速に展開したい企業にとっては好都合だ。その中には、半導体製造に特化して設計された7軸ロボットアームSesto Prime(セスト・プライム)も含まれているが、この分野の製造業は間違いなく自動化の拡大に熱心に取り組んでいる。

2021年5月、Sestoはヨーロッパ、具体的にはオーストリア、ドイツ、スイスへ進出した。このことが、今回のEU拠点の企業からの投資意欲につながっているのだ。CEOのChor-Chen Ang(チョウチェン・アン)氏は今回のラウンドについて、GMDの調査を引用しながら次のように述べている「ヨーロッパにおける自律型移動ロボットの拡大に参入できることをうれしく思っています。ヨーロッパでは、現在の44億米ドルから今後4年間で年平均11.8%の成長率で拡大すると予測されています」。

今回の資金調達は、こうした国際的なパートナーシップの拡大、市場の拡大、さらには同社の提供する製品の開発や既存のロボットの汎用性の向上などに活用される予定だ。

画像クレジット:Sesto Robotics

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:sako)