T-MobileとSprint、合併で最終合意――最大の課題はアメリカ政府の承認

SprintとT-Mobileはアメリカ最大級となる携帯電話キャリヤを実現させるべく長年交渉を繰り返してきたが、今朝(米国時間4/29)、両者はついに合併に最終的に合意したことを発表した。合併はすべて株式交換によって行われる。今後は規制当局による審査をクリアできるかが最大の課題となる。

これはアメリカ携帯キャリヤとして第3位と第4位の企業が合併するというだけでなく、両者を外国資本がコントロールしているためだ。日本のSoftBankがSprint株式の過半数を、ドイツのDeutsche TelekomがT-Mobile株式の相当部分を握っている。大型買収に関しては、BroadcomのQualcomm買収をアメリカ政府がストップさせたことを考えると、今回の合併に対してどのような態度が表明されるか予測は難しい。

Bloombergの報道によれば合併後の新T-Mobileの42%をDeutsche Telekomが、27%をSoftBankが所有するという。

予想どおり5Gネットワーク建設がいよいよ目前となったことが合併を加速させたようだ。T-Mobileは発表中で、この合併は、次世代5Gネットワークの提供が始まる中、AT&TとVerizonという巨大テレコム企業との競争力を保持していくために必要だったと述べた。同時に「アメリカの消費者にネットワークの選択の自由を与えるものとなる」としている。

T-Mobileのプレスリリースは.「新T-Mobileはアメリカ全土に5Gを迅速に提供するために十分な能力を備えることになる。4Gネットワークの普及にあたってアメリカ企業と起業家が果たしたリーダーとしての役割を来るべき5G時代においても果たそうとしている。新会社はそれぞれ単独で対処するのに比べてはるかに迅速かつ広域的に5Gネットワークの建設に当たることができる。かつてT-MobileはLTEネットワークの全国展開においてVerizonの2倍、AT&Tの3倍のスピードだった。合併後の新会社は5Gネットワークの建設において必要とされる多様な能力とネットワーク容量を備えることになる」と述べている。

両社は先週金曜に合併に最終合意したものとみられる。このとき両社の評価額を決定し、今朝の発表の準備を始めたようだ。これによると、Sprintの企業価値は590億ドルと評価されたもようで、合併後のT-Mobileの価値は1460億ドル前後となる。日曜時点でのAT&Tの時価総額は2140億ドル、Verizonは2130億ドルだ。

T-MobileとSprintの合併を報告できることを欣快とする。両社は親会社を作ることで合意に達した。より大きく、より強力な新会社の誕生はアメリカのすべての消費者、企業に好ましい影響を与えるだろう! クリックして詳細を知ることができる。

この合併は今後規制当局の審査を受けるわけだが、プレスリリースによれば、「2019年上半期中に」結論が出るはずだという。

情報開示:VerizonはOathの親会社で、OathはTechCrunchの親会社

画像:Michael Loccisano

〔日本版〕T-MobineのCEO、John Legereの発音はジョン・レジャーに近い。CNBCビデオの32秒あたりなど。学生時代はマラソン選手で2004年にはチャリティーの一環としてボストン・マラソンを走っている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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