Twitterがアメリカでワンツーパンチ広告を開始―テレビCMを見たユーザーに広告ツイートが表示される

今日(米国時間7/22)、「テレビCMを打った後、ツイート広告でダメ押しする」というTwitterのテレビCMターゲティング広告が全米の広告主に公開された。この広告方式は5月からベータテストが行われていた。TwitterのNielsen調査によると、テレビ/ツイートの組み合わせ広告はテレビCMのみに比べて95%も印象が強く、購入意図が58%も高くなったという。

Twitterはこれと同時に広告主向けアナリティクス・ダッシュボードを改良し、ユーザーがキャンペーンに対してどういう反応を示しているか簡単に情報を得られるようにした。広告主はこれを参考にして、たとえばリツイートの率が高まるようにキャンペーンを修正することができる。

TwitterのテレビCMターゲティング広告の仕組みはこうだ。

仮に、Nikeがエア・ジョーダン・シリーズの新しい靴のテレビCMを流すことにしたとしよう。TwitterはそのCMがどの放送局からいつ、どの地域に対して、どの番組内で放映されたかを正確にモニタする。Twitterは番組名や番組のハッシュタグを検索し、Nikeの当該CMを見た可能性の高いユーザーを特定する。NkeはTwitterのテレビCMターゲティング広告を利用してそのCMを見たばかりのユーザーのストリームに新しいエア・ジョーダンに関するプロモート・ツイートを表示することができる。このツイートはテキストのみでもいいし、購入サイトへのリンクやVineの6秒ビデオが含まれていてもよい。

この広告方式を可能にしたのはTwitterが2月に買収したテレビ視聴分析のBlueFin Labsのテクノロジーだ。BlueFinの共同ファウンダー、Michael Fleischmanは「われわれのビデオ識別テクノロジーによってTwitterはどのCMがどの番組で流されたかをリアルタイムで自動的に判別している。そのため広告主はいちいち事前にCM放映スケジュールをTwitterに知らせる必要がない。広告主は人手を食う面倒な作業を一切せず、自社のテレビCMを補完するツイートを視聴者に向けて送り出すことができる」

しかしテレビ番組についての会話が飛び交う場所はTwitterだけではない。たまたま今日、Trendrr がFacebookと共同で行った調査を発表したが、このレポートによると、リアルタイムの会話の王者はTwitterだという通念に反して、FacebookではTwitterを始めとする他のソーシャル・ネットワークすべての合計の5倍ものテレビ番組に関するソーシャル活動が行われてされていたという。もっともTrendrrはFacebookから独自の内部データの提供を受けたということだから、多少割引して聞く必要があるかもしれない。このレポートではFacebookの「いいね!」やコメントもいわゆる「ソーシャル活動」に含まれているという。これに対してTwitterの場合、@メンションなどが正確にカウントされているかどうかには疑問が残る。私はこの後、Trendrrに調査手法の詳細を取材するつもりだ。

ともあれ、FacebookのユーザーベースはTwitterの5倍もあるので、テレビ番組に関する会話が多くてもある意味当然ではある。ただし、会話の量が多いということが広告主にとってそれだけ効果が大きいかどうかは別問題だ。

Facebookはユーザーの公開プロフィールやオフラインの購入データをベースにした広告再ターゲティングに力を注いでいるのに対して、Twitterはユーザーが何をツイートしているかを読み取るセマンティック解析で大きな進歩を遂げ、これを広告ターゲティングに生かそうとしているようだ。大規模なテレビCMを流す予算がある企業にとってはTwitterの意味論的再ターゲィングの方がおそらく魅力的だろう。

一度聞いただけでは忘れてしまうが、繰り返されれば覚える。テレビCMをツイートで補完すれば、次にショッピングに行ったときにそのブランドを認識する可能性は高まるだろう。うまく用いれば、広告主は単なるテレビCMよりずっと対話性が高く強い印象を与えるマーケティング・ストーリーを展開することが可能になるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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