米国時間1月26日、TwitterはAPIプラットフォームの新たなプロダクトトラックを公開した。これは同社がTwitter APIを根底から再構築している取り組みの1つだ。このトラックは学術研究者のニーズに応えようとするもので、Twitterのアーカイブに広範にアクセスできツイートの検索に関する制限が緩和される。これにより研究者はTwitterプラットフォーム上で公開された会話の履歴すべてにアクセスできるようになる。
研究者はこれまでにリリースされアクセスできるようになっているTwitter API v2のすべてのエンドポイントに加え、詳細なフィルタリング機能も利用できるようになる。
具体的には、アーカイブ全体の検索エンドポイントを利用してTwitter上のすべての発言にアクセスできる。開始時刻と終了時刻のパラメータを使って時系列で絞り込むこともできる。
研究者に対しては、Twitter API v2で取り出せるツイート数の月間の上限も大幅に引き上げられる。APIアクセスのベーシックレベルでは上限は50万ツイートに設定されているが、アカデミックリサーチトラックのベーシックレベルでは当初の上限が1000万ツイートとなる。この上限は最近の検索、フィルタリングされたストリーム、アーカイブ全体の検索、ユーザーのツイートおよびメンションのタイムラインのエンドポイントに適用されるとTwitterは説明している。
アカデミックリサーチトラックではユーザーのデータを正確に取得できるよう、他では利用できない演算子も利用できる。現時点では$ (キャッシュタグ)、bio、bio_name、bio_location、place、place_country、point_radius、bounding_box, -is:nullcast、has:cashtags、has:geoの演算子がある。
研究者はフィルタリングされたストリームのエンドポイントを利用する際に、スタンダードトラックでは上限25のところ、最大1000のコンカレントルールを追加することもできる。最近の検索のエンドポイントに関するクエリは、スタンダードトラックでは最大512文字のところ1024文字となる。
アクセスレベルが引き上げられるため、アカデミックリサーチのプロダクトトラックを利用したい人は最初に申請する必要だ。
申請できるのは修士課程の学生、博士号取得希望者、ポスドク、学術研究機関か大学で学部または研究の職に就いている人。明確な研究目的があり、調査によって得られたTwitterデータの利用、分析、共有に関する具体的な計画を示す必要がある。
さらに、アカデミックリサーチのプロダクトトラックで使用したデータは商用目的では一切使用してはならないとTwitterは注記している。
学術研究者はTwitterのAPIが2006年に公開されたときからこれを活用し、さまざまなテーマの研究にデータを利用してきた。例えば、公衆の会話を混乱させようとする国や政府の動き、洪水と気候変動、新型コロナウイルス(COVID-19)に関する姿勢と認識、オンラインでの健全な会話を促進する取り組みなどの研究に利用されてきたとTwitterは説明する。
しかしTwitter APIの初期バージョンでは研究者にとってデータを利用しやすくすることにはならず、TwitterはAPI v2でこの問題に対応しようとしてきた。
これまでTwitterは研究者に対して、学術研究専用のウェブサイト、他者の研究の再現と検証をしやすくする開発者ポリシーの更新、2020年4月に公開されたCOVID-19ストリームエンドポイントのような特化したエンドポイントなどを提供してきた。しかしAPI v2以前は、研究者がTwitterの制限を回避する方法を見つけ出すのではなく研究に本当に役に立つツールを作れるようにする配慮は不十分だった。
アカデミックリサーチのプロダクトトラックは2020年10月にプライベートベータのテストが開始されていた。現在は幅広く公開され、無料で利用できる。
Twitterによれば、今回のアカデミックトラックも含めプロダクトトラック全般に関してさらに高いレベルのアクセスを将来的に追加する計画だという。今回公開されたものよりもさらに多くのデータを必要とする研究者にとっては、高レベルのアクセスが可能になれば研究の役に立つだろう。またTwitterは、年間を通じて開発者が消費するデータ量に対応できるようアクセスを柔軟にすることも検討しているという。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter、API、学術研究
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(翻訳:Kaori Koyama)