UberのQ2売上高は29%減の約2365億円、好調の配達事業の赤字幅は縮小

米国8月6日の株式取引開始直後に米国の配車サービス大手Uber(ウーバー)は第2四半期決算を発表した。

同社の売上高は2019年第2四半期、そして2020年第1四半期に比べて減少した。投資家らは新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による減少を懸念し、同社は今年初めにどのような状況であれ同社が2020年の事業費を賄えるだけの十分な現金を持っていると投資家らを安心させるのに時間を割いていた。

第2四半期のUberの利用総額は前年同期比35%減の102億ドル(約1兆780億円)だった。その結果、売上高は22億4000万ドル(約2365億円)で、31億7000万ドル(約3350億円)だった前年同期から29%減った。純損失は、前年同期の52億4000万ドル(約5530億円)から減って17億8000万ドル(約1880億円)だった。同社は昨年上場し、その際1度限りのさまざまな非現金コストが発生した。

同社の純損失は1株あたり1.02ドル(約107円)の損失となった。決算発表に先立ってアナリストは1株あたり0.86ドル(約90円)の損失を予想していた。同社は第2四半期で黒字化を達成できなかったが、売上高は投資家らが予想していた21億8000万ドル(約2300億円)を上回った。

Uberの株価は、決算を受けて時間外取引で4%強下げている。

第1四半期との比較

2020年第1四半期に比べて決算内容がどうだったのかをみてみよう。結論をいうと、よくなかった。

2020年第2四半期にUberは、第1四半期の1株あたり損失が1.70ドル(約180円)で売上高は35億4000万ドル(約3740億円)だったと発表した。第1四半期は29億4000万ドル(約3100億円)の赤字だった。前述したように、第2四半期の1株あたりの損失は1.02ドルとなったが、一方で売上高は22億4000万ドルに減少した。ゆえに売上高は前期比36.7%減となった。

さらに見ると、Uberは第2四半期に配車サービスで7億3700万ドル(約780億円)を売り上げた。第1四半期は16億6000万ドル(約1750億円)だった。利用総額も第1四半期の157億8000万ドル(約1兆6700億円)から35%落ち込んだ。

この猛吹雪のような数字の中にいくつか良いニュースもあった。UberのFreightとEatsの事業は赤字だったが、赤字幅は減少した。

「配達」部門の調整後EBITDA(償却前営業利益)は、第1四半期の3億1300万ドル(約330億円)の損失から、第2四半期には2億3200万ドル(約245億円)の損失へと損失幅が縮小した。Uber Freightの調整後EBITDAは第2四半期に4900万ドル(約52億円)の損失で、第1四半期の6400万ドル(約68億円)よりも縮小した。

変わりつつある事業

Uberの第2四半期は変動期だった。前年同期に比べると、配達事業(以前のUber Eats部門)は調整後純収益が前年同期比162%増と大幅に伸びた。同時に、モビリティ部門(以前のRides部門)の調整後純収益は同66%減となった。

人々が外出を控えたため配車サービス事業は大幅に落ち込んだが、そうした人々はフードデリバリーを注文した。フードデリバリーへの予約のミックスシフトは配車サービスの損失をかなり埋めたが、それでも完全にではない。

かつて黒字化達成の鍵を握っていた配車サービスの第2四半期の調整後EBITDAはわずか5000万ドル(約53億円)だった。これは前年同期より4億6500万ドル(約490億円)少なく、今年第1四半期からも5億3100万ドル(約560億円)少なかった。

「モビリティの回復は明らかに公衆衛生状況次第だ」とCEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は決算会見で述べた。「アジアとインドは回復基調にある。香港とニュージーランドの利用総額は新型コロナ前の最高額を上回っていて、欧州の動向もまた期待できるものだ」

一方、米国の回復は遅れている。同社が世界中で事業を展開しているのはアドバンテージだ、とコスロシャヒ氏は指摘した。そして経済活動が再開したら人々の移動は急激に戻る、とも述べた。

配車サービスが衰えた一方で、にわかに稼ぎ頭となっている配達事業は前年同期、そして前期から赤字幅を縮小した。第2四半期の調整後EBITDA損失は2億3200万ドル(約245億円)で、前年同期の2億8600万ドル(約300億円)の損失から5000万ドル(約53億円)以上少なくなった。2020年第1四半期の配達事業は3億1300万ドル(約330億円)の調整後損失を計上した。

当然のことながら、利用減少の大半はUberの手に負えないものによる。しかしグローバルパンデミックと経済の一時停止が2019年のIPOに多大な影響を及ぼしたことが見て取れる。

Uberの第2四半期の期末残高(現金、現金同等物、短期投資)は78億ドル(約8200億円)で、前期末は90億ドル(約9500億円)だった。

画像クレジット: ANTHONY WALLACE

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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