IoT猫トイレのハチたまがマネックスなどから2億円調達、健康状態の自動判定機能を実装、そして世界へ

カメラや体重計、Wi-Fiを搭載した猫用IoTトイレ「toletta」を開発・販売するハチたまは12月25日、プレシリーズAラウンドで2億円超の資金調達を発表した。

マネックスベンチャーズなどを引き受け先とする第三者割当増資で累計調達額は4億円となる。主な引き受け先は以下のとおり。

  • マネックスベンチャーズ
  • 羽立化工
  • 横浜キャピタル
  • 山口キャピタル
  • ひびしんキャピタル
  • シグマクシス

今回の調達資金は、猫の健康状態を自動判定するアルゴリズムと獣医師連携システムの開発強化に当てられる。同社は今後海外展開に向けてのシリーズA調達も予定しており、国内だけでなく海外の投資家からの資金調達も予定しているという。

なお、出資先の1社として公表されている羽立化工は、tolettaの金型成形から製造までを手掛けている、静岡県湖西市を拠点とするプラスティック加工会社だ。

ハチたまは、2015年3月に設立されたぺット関連サービスを提供するスタートアップ。現在、猫用のIoTトイレとしてtoletta2を販売している。toletta2では、AIによる猫の顔判定、体重測定、トイレの回数、滞在時間、尿量・尿回数のほか、専用スマートフォンアプリとの連動により、動画撮影、AI状態判定、獣医師相談、カレンダー・メモ、フードレコメンドなどの機能が利用できる。ねこの利用頭数は2000頭、健康データの件数は100万件を突破している。

今後開発を強化する猫の健康状態を自動判定するアルゴリズムについて同社は、正社員として勤務している獣医師の知見と、toletta2で記録できる、猫のトイレ動画や尿量、体重などデータを分析して異変を知らせるアルゴリズムを開発するとのこと。膀胱炎など猫が罹患しやすい泌尿器科系の疾患の早期発見に役立てたいとしている。同機能は2020年2月末のリリースを予定している。

獣医師連携システムについては、現在一部のユーザーがテスト中の獣医師とのLINE相談サービスを拡充・強化する計画だ。現在、toletta2で取得したデータを基に、猫を見守るためのコンサルティング業務を進めており、前述の健康状態の自動判定機能と併せて、猫の健康状態を飼い主と獣医師でしっかり見守る体制を整える。

【編集部注】私は5歳の雷蔵(アメリカンショートヘア、オス)と共に生活しており、toletta1からのユーザーで、現在toletta2も利用中だ。

スマートキッチン・サミット・ジャパン 2018開催――デモスペースは大混雑、飛び入りプレゼンも

デジタル事業のコンサルティング企業、シグマクシスと食産業のスペシャリスト、シアトルのNextMarket Insightsがミッドタウン日比谷でスマートキッチン・サミット・ジャパン 2018を開催した。8月9日の2日目に参加できたので簡単にご紹介したい。昨年のスマートキッチン・サミットに比べ講演者、参加者、デモ、いずれも倍以上に増え、食のデジタル化、スマート化がメインストリームになりつつあると実感した。

クックパッドはAWS、SHARP、LIXILなどパートナー企業10社を発表しOiCy事業を本格化させることを発表した。OiCyはクックパッドに集まった膨大なレシピをアルゴリズムによって標準化し、スマートキッチン家電と連携させていく試みだという。パナソニックも社内ベンチャー、「ゲームチェンジャー・カタパルト」がさらに前進していることを発表した。

このカンファレンスはNextMarket Insightsがスタートさせたもので、アメリカ発のカンファレンスらしくグローバルな視点が特長だ。今年も機械学習を利用した生鮮食品トラッキングサービスのChefling、オンライン・レシピ・アシスタントのSideChefのファウンダーとクックパッドの吉岡忠佑氏によるパネルではNext MarketのCEO、Mechael Wolf氏がモデレーターとなってさまざまな意見を聞き出していた。SideChefのKevin Yu氏が「データ処理はもちろん重要だがさらに重要なのはユーザーのエンゲージメント」だとして吉岡氏らも賛同した。

Yu氏によればEU市場は日米市場よりセグメントが細かく、いっそうきめ細かいローカライズが必要だという。われわれ日本人はヨーロッパが言語、文化とも非常に多様であることを忘れがちだが、現実にビジネスをする上では重要なポイントになるはず。

しかし今年のSKSでは日本の大企業、ベンチャーのスマートキッチン事業が大きく勢いを増していると感じた。ランチブレークのデモスペースは朝の電車なみに混み合っていて、デモの手元を見るには頭上に流されたライブ映像を見るしかないほどだった。デモではパナソニックの社内ベンチャーで開発された「おにぎりロボット」が面白い。パナソニックで「ごはんひとすじ」で来たという担当者の説明によれば「外はしっかり、中がふわり」というおむすびの理想形を作れる装置だという。

 

ちなみにライブストリーミング用のデジタル一眼のプラットフォームにTechCrunch Japanでも最近紹介したDJI Roninジンバルが使われていた。

セッションの合間に飛び入りのプレゼンを募ったところ、主催者の予想を超えてたちまち5、6チームが登場した。「ひっこみ思案で黙り込んでいる」という日本人のステレオタイプはスマートキッチンに関しては過去のもののようだ。とかく後向きといわれがちな行政からも農水省、経産省、総務省から若手官僚が登壇した。総務省の岸氏が「数字だけみていくのではダメ。まず明るい未来のビジョンを作り、そこに到達するためにどういう具体的な方策があり得るか考えるのでなければ」と力説していたのが印象に残った。

 

最後に昨年に続いて、外村仁氏が登壇。外村氏は元Apple Japan、元Evernote Japan会長などを歴任したシリコンバレーの連続起業家であるだけでなく食のエバンジェリストでもあるというスーパーマン。外村氏はAnovaの低温調理ヒーターの最新版を会場で紹介しながら、食がますますスマート化、サイエンス化しているグローバルなトレンドに日本が遅れかけていることに注意を促し、「これはやっていけないコトなのかもしれないと、自己規制してしまうのが一番いけない。最初から明示的に禁止されたこと以外は全部やっていいんです。どんどんやりましょう」とベンチャー・スピリットを力強く応援した。

 

カンファレンスの詳しい内容についてはシグマクシスのサイトFacebookページに詳しく紹介されている。Facebookページにはスピーカー、参加者全員の写真も掲載されている。