糖尿病でも諦める必要はない、ヘルシーなアイスクリームを作るN!CK’Sがスナック文化革命のために約113億円調達

スウェーデンのフードテック企業「N!CK’S」は、ヘルシーなアイスクリームを1パイントずつ作ることで、世界に挑もうとしている。

同社は中央ヨーロッパ時間10月28日、シリーズCで1億ドル(約113億円)の資金を調達したと発表した。この資金は、甘味料と原材料を独自にブレンドすることでカロリーを抑え、砂糖を添加しない健康的なスナックやアイスクリーム製品の開発に活用される。

Kinnevik、Ambrosia、Temasekが共同でこのラウンドを主導し、Gullspangが参加した。今回の資金調達により、同社の累計調達額は1億6000万ドル(約182億円)に達したと、N!CK’Sの北米CEOであるCarlos Altschul(カルロス・アルトシュル)氏はTechCrunchに語っている。

N!CK’Sは、2017年に欧州で、創業者で研究開発責任者のNiclas Luthman(ニクラス・ルースマン)氏の母親が糖尿病と診断され、そしてルースマン氏自身が糖尿病予備軍と診断されたことから始まりました、とアルトシュル氏は語った。

「彼は、体に良いソリューションを提供するフードサイエンスがあまりないことを認識していました」と同氏は付け加えた。「彼は、食べ物を変えるのと、食生活を変えるのとでは、食べ物を変える方が簡単だと考えました」。

欧州では同社は、アイスクリーム、スナックバー、コンフェクショナリー製品を製造している。しかし、N!CK’Sは「文化を変えるためのプラットフォーム」であるスナックブランドだと、アルトシュル氏は語る。また、同社の研究開発に根ざしたイノベーションと素材が、競合他社との差別化につながっているという。

この2年間、同社は忙しい日々を過ごしてきた。2019年末、N!CK’Sはアイスクリームで米国に進出し、そのカテゴリーでは1店舗あたりのセールス速度でトップに立っている、と同氏は付け加えた。また、Perfect Day独自の動物由来成分を含まない乳たんぱく質と植物性代替脂肪を使用した、ヴィーガン乳製品ラインを発売した。

同社が2020年にスタートした直販(D2C)事業は、7月以降、D2Cアイスクリームデリバリー分野でトップの座を維持していると、アルトシュル氏は述べている。2021年、同社はケトプロテインバーのラインを立ち上げた。まずはD2CとAmazon(アマゾン)のチャネルで販売開始し、年末までに小売店に展開する予定だ。

2020年から2021年にかけて、N!CK’Sを取り扱う小売店は米国では4500店舗から6700店舗に拡大し、英国ではWHSmithとの提携により拡大した。

今回の資金調達によりN!CK’Sは、欧米での店舗数の倍増、人材の増員、マーケティング、新製品の発売に向けた研究開発への投資など、同社の目標を加速させていきたいと考えている。

Kinnevikの投資ディレクターであるMagnus Jakobson(マグナス・ヤコブソン)氏は、彼は数年前から食品分野への投資を行っており、現在起こっている持続可能性と健康という複数の追い風が需要を喚起し、川上でのブランド構築能力があるため、この業界は魅力的であると述べている。

同氏は今を「エキサイティングな時期」と考えており、特に最初は自力で実現したN!CK’Sのこれまでの牽引力は「印象的」であり、その戦略は現在、他の食品技術パートナーを引き付けている、という。

ヤコブソン氏はこう述べた。「人々の生活や食べ物の消費の仕方は変化しており、それが新しいブランドの構築を可能にしています。Oatly(オートリー)、Beyond(ビヨンドミート)、Impossible(インポッシブルフーズ)といった企業が業界をリードしてきましたが、今では技術面での躍進や、スタンドアロンブランドで消費者にアプローチする新しい方法が見られるようになりました。中でもN!CK’Sは非常にエキサイティングなもので、業界の黎明期にあっても期待されています」。

画像クレジット:Nick’s

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)