インサイドセールス向け通話記録のpickuponが8000万円を調達、外勤営業用iOSアプリも提供

インサイドセールス向け通話記録のpickuponが8000万円を調達、営業領域向けiOSアプリも提供

pickupon(ピクポン)は10月21日、調達と融資合わせて総額8000万円の資金調達を発表した。引受先はサイバーエージェント・キャピタル、East Ventures、MIRAISE、小出 斉氏。

今回の資金調達により、会話サマリーAI電話「ピクポン」について、インサイドセールス領域・通話シーンにとどまらず、あらゆる営業領域の会話のやり取りが発生するシーンのコミュニケーションの効率化・コスト削減ソリューションの提供を目指す。その第1弾として外勤向けにスマートフォンでの通話内容を自動でテキスト化・共有できるiOSアプリの提供を開始した。

インサイドセールス向け通話記録のpickuponが8000万円を調達、営業領域向けiOSアプリも提供

iOSアプリでは、従来PCブラウザー用で提供していた機能をすべて使用可能。以下3つの機能を提供しており、インサイドセールスだけでなく外勤営業の業務効率化、入力コスト削減を実現できるとしている。

  • アプリを使った架電・受電
  • アプリ上での通話のサマリー(テキスト×音声)を作成し、顧客管理システムへ自動入力
  • 顧客の重要発言(課題感や怒りを含む発言)をSlackの指定チャンネルに通知

また9月1日よりプレリリース版を提供開始しており、すでに三菱地所ハウスネットのDX拠点「Cube i 有楽町」、営業支援ツールを開発するマツリカ、営業コンサルティングや営業向け社内情報検索サービスを手がけるBUFFなどが先行導入しているという。

ピクポンは、電話の会話内容のサマリーをAIがテキスト×音声で作成し、自動入力・共有してくれるサービス。入力を意識することなく、顧客との会話内容をチームのワークスペース(CRM・SFAなど)にシェアを行える。これにより、営業の架電シーンにおける入力漏れを防げる上、入力コスト削減や、営業活動のブラックボックス化問題を解決する。同サービスは2019年9月の提供開始以来、スタートアップ企業を中心に前月比約120%のペースでユーザー数が増加し続けているという。

インサイドセールス向け通話記録のpickuponが8000万円を調達、営業領域向けiOSアプリも提供

2018年2月設立のpickuponは、文字・印刷技術・複製技術・インターネットなどのように、世界を大きく前進させる「情報を共有するコストを大きく下げるテクノロジー」の創出を目指すスタートアップ企業。その第1弾として、音声とテキストをブリッジさせ、情報の共有コストを圧倒的に下げる会話サマリーAI電話ピクポンを開発・提供している。

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インサイドセールス向け通話記録ツール「pickupon」正式提供開始、「Senses」と連携

カテゴリー: ネットサービス
タグ: 資金調達pickupon日本

インサイドセールス向け通話記録ツール「pickupon」正式提供開始、「Senses」と連携

この数年、日本でもインサイドセールスは有力な営業手段として普及してきた。従来のフィールドセールスと比べて対面のための移動や会議室確保などのコストを省くことができ、効率のよい営業活動が進められるとして注目されるインサイドセールス。だが、効率アップの副作用として「大量のやり取りを記録することになり、情報共有の時間や手間がかかる」「正確な一次情報が共有できない」といった課題が浮上している。

今日9月11日、正式提供開始が発表された「pickupon(ピクポン)」は、インサイドセールス向けに開発されたAI搭載クラウド電話だ。電話の通話内容を音声認識を使ってテキスト化。さらに通話の中で重要なポイントをAIが自動で要約(ピックアップ)して、SalesforceなどのSFAに入力することが可能だ。通話によるやり取りを記録するコストの削減、正確な一次情報と要点の共有を支援する。

pickuponを開発するpickuponは、正式提供と同時にマツリカが展開するクラウド型営業支援ツール「Senses」との連携も発表した。pickuponは同日、エンジェルラウンドで複数の投資家から総額2000万円の資金調達を実施したことも明らかにしている。

インサイドセールスの情報共有コスト低減を目指した「pickupon」

pickuponの創業は、同社代表取締役の小幡洋一氏が岐阜県の情報科学芸術大学院大学(IAMAS)で、メキシコ人のカンパニャ氏らとともに進めていた研究プロジェクトに端を欲する。プロジェクトでは、HCI(Human-Computer Interaction)、身体拡張、メディアアート、インテグラルデザインなどを領域横断的に研究。卒業後、一度はWeb制作会社に入社した小幡氏だったが、カンパニャ氏との研究がOpen Network Labの第16期プログラムに採択されたことを機に、2018年2月に会社を設立した。

小幡氏は「情報共有のコストを下げることで、人類はここまで進化してきた」とプロダクト開発の根底にある思想について語る。「声によるやり取りから文字の発明、印刷の登場、画像や映像の複製、そしてインターネットの普及、検索システムの登場。これらは情報を共有するコストを下げるテクノロジーだ。こうしたテクノロジーが現れると、人間の進化のスピードは爆速で上がる」(小幡氏)

そうした“人類に寄与するような”テクノロジー、サービスを開発したいと考えていた小幡氏。「究極の理想は『攻殻機動隊』に出てくるタチコマ(自律行動するAI搭載の多脚型戦車。複数台が並列処理で情報を共有する)」という小幡氏は、その世界へたどり着くために「まずは情報共有のコストが大きくて困っている人たちの課題を解決しよう」と考え、インサイドセールス領域に着目した。

ちょっと“タチコマ”からの飛躍が大きいような気はするが、確かに「フィールドセールスより効率がよい」とされるインサイドセールスも、営業活動をきちんと進めるためには質のよい情報共有が求められる。そこではツールとしてSalesforceのようなSFAプロダクトが使われるのが一般的だ。しかし、効率やサポートの質を求めて電話業務を増やすことで顧客とのコンタクトポイントが増え、ツールへの入力量も多くなり、かえって効率性を下げてしまうという課題が生まれる。

「ここで情報共有の負の面が大きくなってしまうことに、ユーザーインタビューを通じて気づいた」と小幡氏は説明する。「特に事業が立ち上がったばかりのゼロイチフェイズだったり、提案型販売が求められるような難易度の高い商材を扱っていたりする場合は、顧客からのヒアリングの難易度も高く、ひいては情報共有の難易度も高くなる」(小幡氏)

そうした顧客の「情報共有の負」を解決するプロダクト、すなわち、インサイドセールス領域でのやり取りの入力コストを下げ、正確性を担保するプロダクトとして、pickuponは開発された。

pickuponでは音声認識による通話内容のテキスト化に加えて、顧客のニーズ・課題、怒っているかどうかなどをセンテンス単位でAIが抽出。通話の重要な部分が要約されるため、やり取りの内容を把握しやすくなるという。

プロダクト思想も一致した「Senses」との連携

インサイドセールスを支援するツールにはさまざまなものが出ているが、小幡氏はpickuponを「既存のツールとはキャラクターが違い、ユーザーも違う」プロダクトだと見ている。

クラウド電話の領域では「MiiTel(ミーテル)」がAIによる電話対応の可視化など、pickuponと似た機能を持つが「セールスがどう話したかに注目していて、いい感じに営業トークができるようなトレーニングに使われるのがMiiTel。これはトークスクリプトが確立していて、商材も固まっているところに向いている」と小幡氏は分析する。

対してpickuponは「顧客が何を発言したかに着目し、顧客が困っている部分は何か、センテンスをピックアップするといった使い方をする。商材をゼロイチから売る場合や、現在のセールスアプローチをドラスティックに変えたい場合などに適した、発見のツールだ」(小幡氏)と位置付ける。

マツリカのクラウド型SFA、Sensesとの連携により、SensesのGrowthプラン以上とpickuponを両方使うユーザーは、簡単な連携設定だけで通話の内容をSensesへ自動入力でき、顧客情報の自動取り込みも利用できる。pickuponではほかのツールとの連携も計画しているが、小幡氏は「Sensesとの連携は特別なものだ」と話している。

「Sensesはプロダクトとしてのフィロソフィが近く、ずっと勝手に“先輩”だと思っていた。ユーザーヒアリングをしていると、情報共有のコストに苦しみ、各社のSFAを導入しても『担当者がきちんと入力してくれない』と困っている企業は大変多い。Sensesはそうした企業にアプローチしていて、近い課題を解決しようとしている」(小幡氏)

マツリカ共同代表の黒佐英司氏は「Sensesはグループウェアや名刺管理ツールなど、幅広い連携が考えられるプロダクトだが、CTI(Computer Telephony Integration)システムとの連携はまだなかった。また、我々自身の営業活動を効率化するためにも、そうしたツールを探していた」と話しており、pickuponについて「いろいろなツールを使ってみて検討していたのだが、pickuponはターゲットとする顧客属性やフィロソフィのようなものが近いのではないかと感じた」と連携に至った経緯について説明している。

「思想はプロダクトをつくっていくので、重要だ。そこの部分が合致しているというのは、連携決断のひとつの大きな要素だった。自社の中でも使いたいツールだったというのも重要なポイント。ほかのツールと比較して音声の品質や、技術力が高いと感じた。少ないリソースの中で、速いスピードで進化し、開発されている。将来を考えたときに心強いと考えた」(黒佐氏)

小幡氏は「Sensesのユーザーと僕たちのプロダクトの相性はよいはずだ」と考えている。連携によりまずは「Sensesユーザーのうち、CTI領域で困っている人たちをこの半年ぐらいで幸せにできるよう、成果を出していきたい」と語る。

小幡氏は「将来的には、すべての情報をなめらかに共有するものをつくりたい」と話している。「対面の発話によるやり取りを共有するのは大変だとまだ思われている。CTIシステムで経営基盤をつくった上で、対面のやり取りを共有するためのプロダクトづくりに進みたい。そのプロダクトを人類にとってのタチコマ的な存在にしていき、最終的には人類がタチコマのようにやり取りできるようになればと思う」(小幡氏)