ビジネスの「財務コントロールセンター」を構築を目指すシンガポールのVolopayがシードラウンド2.2億円を調達

シンガポールを拠点にビジネスのための「財務コントロールセンター」構築を目指すスタートアップVolopay(ボロペイ)は米国時間1月18日、シードラウンド投資210万ドル(約2億1800万円)を調達したことを発表した。このラウンドはTinder(ティンダー)の共同創設者Justin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏が主導し、Soma Capital、CP Ventures、Y Combinator、VentureSouq、Razorpayの創設メンバーなどのエンジェル投資家が参加している。

この資金は人材雇用、製品開発、戦略的提携、Volopayの海外展開に使われる。2020年1月末には、オーストラリアでの事業を立ち上げる計画だ。現在はSmart Karma、Dathena、Medline、Sensorflow、Beamなど約100社のクライアントを有する。

2019年、Rajith Shaiji(ラジス・シェイジ)氏とRajesh Raikwar(ラジェシュ・レイクウォー)氏が共同創設したVolopayは、2020年、Y Combinator(ワイ・コントリビューター)のアクセラレーター・プログラムに参加した。最高経営責任者のシェイジ氏は、起業前、いくつものフィンテック企業に勤めていたが、特に複数の国に分散した経理部門にまたがる事業経費の照合方法に不満を募らせ、Volopayを立ち上げた。シェイジ氏とレイクウォー氏はともに、多くの企業、特にスタートアップや中小企業が、サブスクリプションや業者への支払いなど何種類もの経費の追跡に苦労する様子を見てきた。

Volopayのクライアントは、ほとんどがテック産業に属する従業員15〜150名の企業だ。Volopayのプラットフォームには、複数通貨対応の法人カード(VISAが発行)、国内および海外の銀行振り込み、自動支払い、経費管理ソフトウェア、会計ソフトウェアといった機能が組み込まれ、為替手数料や出費の照合が迅速に行える。

展開を促進するために、VolopayはAirwallex(エアーウォレックス)のAPIを導入している。その法人カードでは、テック企業の三大出費項目だとVolopayがいうソフトウェアのサブスクリプション、ホスティング、海外出張で最大2%のキャッシュバックが受けられる。また2020年11月には、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中は中小企業を流動的な対応で支援する法人カードのためのカード部門を創設した。

クレジットカードや運転資金貸付のような従来型の信用取引と比較すると、VISA法人カードでも受けられるVolopayの信用枠は、クレジットの利用額に応じた固定料金構造を持つ魅力的なものになっているとシェイジ氏はいう。つまり、企業はいくら借りるかを事前に把握できるため、キャッシュフローの管理が楽になる。Volopayが提供している平均的な与信枠はおよそ3万ドル(約310万円)だ。

2020年7月にTechCrunchが取材して以来、Volopayは同プラットフォームでの総資金フローが前月比70%の伸びを見せているとシェイジ氏は話す。同社はまた2つの新機能もローンチした。クライアントが低い為替レートと安い手数料で国内外の送金が行える請求書支払い機能と信用供与だ。この請求書支払い機能は、現在、Volopayの総支払い額のおよそ40%を扱っている。一方、クレジット商品はカード利用額の30%を占めている。

シェイジ氏はTechCrunchに対して、Volopayがオーストラリア進出を決めたことを話してくれた。シンガポールよりもずっと大きな市場であることに加えて、「オーストラリアの中小企業は、有償ソフトウェアを利用した内部業務の効率化や事業の拡大に非常に慣れている」ためだ。さらに、現在のところオーストラリアには、Volopayのような支出管理とクレジットの両方を中小企業に提供する業者がないとも彼は指摘している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Volopayクレジットカード資金調達

画像クレジット:Volpay

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(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

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