インド通信大手AirtelがAxis Bankと提携クレジットカードの提供開始

Airtel(エアテル)はインド時間3月7日、クレジットカードの発行を開始すると発表した。これは、Google(グーグル)が投資するインドのテレコム事業者である同社が、世界2位のインターネット市場で提供するサービスを拡大するために、金融サービスへの進出を試みる最新の試みだ。

ビリオネアのSunil Mittal(スニル・ミタル)氏が経営する同ネットワークは、国内3位の民間銀行であるAxis Bank(アクシス銀行)と戦略的パートナーシップを結び、両社が「これまでに例のない試み」と謳うクレジットカードを共同発行すると発表した。

Airtel Axis Bankクレジットカードは、事前承認済みの即日融資やBNPL後払いサービスを顧客に提供し、Airtelサービスの請求書の支払いや、Airtelアプリでの取引に対してリワードを与えると両社は述べている。

このカードはAirtelの加入者のみに提供され、インドの小規模な市町村の顧客にリーチすることを目指しているとのこと。Airtelは、インドで3億4千万人以上の加入者を集めている。

このパートナーシップの一環として、Axis BankはAirtelのC-PaaSプラットフォーム(ストリーミング、通話マスキング、コンタクトセンターソリューションなどのサービスを含む製品スイート)、さらに「さまざまな」サイバーセキュリティサービスを利用開始する予定だという。また、両社はクラウドやデータセンターサービスでの協業も検討するとのこと。

Airtelが金融サービスへの参入を試みるのは今回が初めてではない。この急成長分野にはライバルの大富豪Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏のJio Platformsも注目し、同レベルの成功を収めたことがある。

Airtelはデジタル決済銀行を運営しているが、なかなか市場に浸透していない。同社は近年、ARPU(ユーザー1人当たりの平均売上高)を改善するためにプレミアムサービスの拡大も推し進めており、この件に詳しい3人の関係者によると、2年前にPaytm(ペイティーエム)に決済事業の売却を持ちかけたという。

インドのクレジットカード市場は、深刻なレベルでサービスが行き届いていない。同国には10億近い銀行口座が存在するにもかかわらず、クレジットカードを持つインド人は3000万人にも満たない。

Tiger Global(タイガー・グローバル)が支援するSlice(スライス)やSequoia Capital India(セコイアキャピタル・インド)が支援するOneCard(ワンカード)など数多くのスタートアップが、インドでより多くの人にクレジットカード機能を提供しようと試みている。Flipkart(フリップカート)やAmazon(アマゾン)、そしてライドヘイリングのスタートアップOlaなど多くの大企業も、それぞれの顧客向けに提携クレジットカードを立ち上げている。ちなみに2022年2月にTechCrunchが報じたように、OneCardは、シンガポールのTemasekから、プネに本社を置く同スタートアップの評価額が10億ドル(約1153億円)以上になると思われるラウンドで資金調達の交渉中であるとされる。

フィンテックのベテラン経営者であるHimanshu Gupta(ヒマンシュ・グプタ)氏はこう述べている。「このようなクレジットカードでの提携は、基本的にパートナーの流通を活用するもので、この場合、Airtelがそれにあたります。Airtelは大規模なプレミアムユーザーベースを抱えており、Viのシェア低下により、その力はさらに強まっています」。

「ユーザーがカードを取得した後、他の場所での買い物のほとんどをこの方法で支払うようになれば、インターチェンジや延滞料からも収益を上げる機会があります。ですから、これは成功する提携カードになると期待できます」。

しかし、その成功のためには、いくつかの課題に対処する必要があると彼はいう。

「Airtel-Axisのような銀行提携クレジットカードの課題は、銀行のクレジットカードスタックが比較的古く、若い世代のニーズにはあまり柔軟でないことです。また、Airtelは大きなユーザーベースを持っていますが、ほとんどのユーザーは3カ月に一度、プリペイドチャージをするためにAirtel Thanksアプリを利用していると思われるので、ユーザーの生活における表面積は非常に限られています」。

「そのため、現実には、Airtelがそのような商品をクロスセルする機会は限られています。最近の新しいフィンテックカードのスタートアップは、より消費者のニーズに合った製品を作ることができ、一般的に銀行やテレコム事業者が得意でないユーザー獲得のために、よりスマートなマーケティングを使うことができます」。

7日の発表は、Googleが2022年初めに、Airtelに10億ドル(約1153億円)もの投資を行い、キャリアである後者と協力して「革新的なアフォーダビリティプログラム」を開発し、スマートフォンメーカーとの提携を模索し、安価な携帯電話を生産するとした発表に続くものだ。

Bharti Airtel(インド・南アジア)の社長兼CEOであるGopal Vittal(ゴパール・ヴィッタル)氏は声明の中でこう述べた。「Airtelは、ワールドクラスのデジタルサービスを顧客に提供する努力の一環として、強力な金融サービスポートフォリオを構築しています」。

このエキサイティングな旅でAxis Bankと力を合わせることができ、大変うれしく思っています。このウィンウィンのテレコム事業者と銀行の提携により、Airtelのお客様はAxis Bankのワールドクラスの金融サービスポートフォリオと限定特典を利用でき、Axis BankはAirtelの強力なデジタル機能と深い販売網から利益を得ることができます」。

画像クレジット:Debarchan Chatterjee / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

「組み込み型バンキング」の新たなフィンテックスタートアップとして登場したIntergiro

「Embedded commerce(組み込み型商取引)」は、PayPal(ペイパル)のようなものから始まり、長年を経てStripe(ストライプ)のような製品に進化した。しかし「Embedded Finance(組み込み型金融)」はフィンテックの新しい波として登場し、Contis(コンティス)、Solaris(ソラリス)、Swan(スワン)、Stripe Treasury(ストライプ・トレジャリー)などがこの分野に参入している。確かに、a16zのAngela Strange(アンジェラ・ストレンジ)氏が、2019年に「すべての企業がフィンテック企業になる」と宣言したことを思い出すかもしれない。また、組み込み型金融の市場は2030年までに約7兆2000億ドル(約827兆円)もの価値になるという予測もある。

Intergiro(インタージロ)は過去5年間、個人出資によるブートストラップのスタートアップ企業として、ステルスモードで運営を行ってきたが、現在の組み込み型バンキングの波に乗って事業を公開した。同社はほぼすべての種類の企業が銀行サービスを提供できる「金融クラウド」を自称している。

共同設立者でCEOを務めるNick Root(ニック・ルート)氏は、大学でコンピュータサイエンスを専攻し、ロンドンの銀行で12年間勤務しながら、CTO、COO、CFO、CEOを歴任した後、Intergiroを設立した。

筆者による独占インタビューの中で、ルート氏は次のように語った。「私たちのツールを使っているエンジニアは、金融商品を構築するために、あちこちのプロバイダを飛び回ってつなぎ合わせる必要がありません。チェックアウトから、複数通貨のウォレット、SWIFT(国際銀行間通信協会)や地方銀行との電信、Visa(ビザ)やMastercard(マスターカード)のネットワークまで、金融のバリューチェーン全体にアクセスできます。このオールインワンのアプローチは、製品開発者にとってより便利であるだけでなく、まったく新しい製品体験を可能にします」。

それは数年前、ルート氏が新しい種類の銀行サービスを構築したいと考えたことが始まりだった。そこで同氏は、伝統的な手法でそれを実現するために、Intergiroのチームを結成したが、最終的には暗号資産市場も視野に入れていた。Intergiroは2014年頃に(別の名前で)設立され、2017年に形を変えて、2019年にクローズドベータの展開を開始した。しかし、一般公開されたのは2021年になってからだった。TechCrunchのような大手メディアに詳細を語ったのは今回が初めてだ。

その仕組みは以下の通りだ。企業はデジタルフォームでIntergiroに参加する。KYCが承認されると、B2BおよびB2B2CのAPIスイートにアクセスできるようになり、構築を開始できる。企業は独自のフロー(給与計算、照合、請求書の支払いなど)を自動化したり、金融商品を自社のアプリに組み込むことができる(チェックアウト、ウォレット、カードなど)。また、この2つのプラットフォームをさまざまな方法で組み合わせることも可能だ。例えば「クローズループ」のカード決済システムを構築したり、暗号資産取引アプリを開発したりすることもできるだろう。アクワイアラ(加盟店契約会社)であり、アカウントプロバイダーであり、カード発行者である同社は、独自のカードスキームを持っているため、マーケットプレイスや暗号資産取引所(例えば)は即時決済の恩恵を受けることができる。収益は、カード決済による入金、FX取引、カード決済による出金(インターチェンジ)から得る。

Intergiroは自らを、市場でカードアクワイアラ(カード加盟店契約会社)、カードイシュア(カード発行会社)、FX、銀行口座を提供し、B2BとB2B2Cの両方のプラットフォームで市場に参入する数少ない、もしかしたら唯一のプロバイダーであると主張する。「当社は、単なる最上位の技術レイヤーではなく、規制や技術のスタックをすべて所有しています」とルート氏はいう。

「テクノロジーがどのようにして誕生したかを考えてみてください。どのようにしてIntel(インテル)がチップを概念化したか、Google(グーグル)がインターネットのリンクを概念化したか、Facebook(フェイスブック)がソーシャルグラフを概念化したか。同じようなことが今、金融の世界でも起きています。そしてそれは、あらゆる消費者との相互作用に浸透していくでしょう。つまり、予想もしなかったような製品でお金が動くようになるのです」と、ルート氏は筆者に語った。

現在、Intergiroの顧客数は約2000件で、毎月約200件のペースで増加しているという。サービス開始以来、そこでは約25億ユーロ(約3270億円)の取引が行われたことになる。ストックホルムを拠点とするこのスタートアップは、現在140人のリモートスタッフを雇用している。

画像クレジット:Nick Root, Intergiro

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾン、VISAカード決済の継続にグローバルで合意

米Amazon(アマゾン)とVISA(ビザ)が、英国などでの決済手数料をめぐる対立を解決したとReutersが報じた。Amazonの広報担当者は「VISAとグローバルな合意に達し、すべての顧客がAmazonでの買い物でVISAのカード決済が継続利用できるようになった」とReutersに述べた。

Amazonは、クレジットカード取引にかかる手数料が高いことを不服として、1月19日から英国でのVISAの取り扱いを停止すると脅し圧力をかけていた。EUではカード発行会社の手数料に上限が設けられているため、欧州の他の地域には影響がなかったが、ブレグジット後の英国でMastercardとVISAの両カード発行会社が手数料をつり上げたのだ。英国の規制当局は最近、これらの値上げを調査すると発表した。

決済市場におけるVISAの優位性を考えると、Amazonがその脅しを実行に移すことはないと思われた。案の定、期限の少し前に、Amazonは結局VISAカードの受け入れを継続すると発表し「VISAと緊密に協力して可能な解決策を検討している」と述べていた。

Amazonは、他の地域ではVISAカードの使用を禁止したり、取り扱い停止の圧力をかけたりはしていなかったが、オーストラリアとシンガポールでVISAを使用する顧客には「サーチャージ」として追加の取引手数料を請求していた。この手数料は現在取り消されており、VISAとAmazonはこの問題をすべて解決したようだ。VISAの広報担当者は、声明で次のように述べている。「今回の合意には、今日(米国時間2月17日)からAmazonのすべてのサイト・ストアでVISAが継続利用できるようになることに加え、新製品や新技術への取り組みについて共同で取り組むコミットメントが含まれています」。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Matt Cardy / Getty Images

原文へ

(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

アップル、iPhoneで非接触型決済を可能にする「Tap to Pay」機能を発表

Apple(アップル)は、iPhoneを非接触型決済端末にする新機能「Tap to Pay」の導入計画を発表した。同社によると、2022年後半に米国の事業者はiPhoneとパートナーが対応したiOSアプリを使ってApple Payやクレジットカード、デビットカードといったその他の非接触型決済を受け付けられるようになる。

この機能は、iPhone XS以降のモデルで利用できる。iPhoneを使ったTap to Payは、決済プラットフォームやアプリの開発者が、顧客の決済オプションとして自社のiOSアプリに組み込むことができる。Stripeは、新しいShopifyアプリでTap to Payを顧客に提供する最初の決済プラットフォームとなる。Appleによると、別の決済プラットフォームやアプリは2022年後半に加わる予定だ。

Tap to Payの提供が始まれば、事業者は対応するiOSアプリを通じて非接触型決済を利用できるようになる。会計時に、顧客にiPhoneまたはApple Watchを事業者のiPhoneに近づけてもらうと、NFC技術を使用して支払いが安全に完了する。非接触型決済を受け入れるために追加のハードウェアは必要ない。Appleはまた、iPhoneでのTap to Payでは顧客の決済データは保護され、この機能を通じて行われる取引はすべて暗号化されるとしている。

同社は、Apple Payはすでに米国の小売店の90%以上で利用されており、この新機能を使って顧客はよりシームレスに精算できるようになるとしている。Tap to Payは2022年後半に米国内のApple Storeの店舗でも導入される。Appleは、決済プラットフォームやアプリ開発者と緊密に連携し、米国内のより多くの事業者にTap to Payを提供する。Tap to Payは、American Express、Discover、Mastercard、Visaなど多くの決済ネットワークによる非接触クレジット / デビットカードで利用できる。

Apple PayおよびApple Wallet担当副社長のJennifer Bailey(ジェニファー・ベイリー)氏は「デジタルウォレットやクレジットカードで支払いをする消費者が増えている中、iPhoneでのTap to Payは、安全かつプライベート、そして簡単に非接触型決済を受け入れ、iPhoneのパワー、セキュリティ、便利さを活かした新しい精算体験を企業に提供します」と声明で述べた。

Appleによると、Tap to Payは今後リリースされるiOSソフトウェアのベータ版で、参加する決済プラットフォームとそのアプリ開発者パートナーが利用できるようになる。

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

近くiPhone単体を非接触決済端末として使える可能性、iOS 15.4で提供開始か

近い将来、小規模ビジネスはハードウェアを追加することなく、iPhoneを使って支払いを受け付けられるようになるかもしれない。Bloombergによると、Apple(アップル)は今後数カ月のうちにソフトウェアアップデートを通じてこの機能の提供を開始する可能性があり、おそらく2022年春にリリースされるiOS 15.4の最終バージョンで提供されることになるだろうとのこと。Appleはスマホを決済ポータルに変える技術を開発したことで知られるカナダのスタートアップ、Mobeewaveを2020年に買収しており、その頃からこのサービスに取り組んできたと言われている。

Mobeewaveの技術は、外部ハードウェアの使用を必要とするSquare(スクエア)のようなサービスとは異なり、アプリと携帯電話のNFCだけで動作する。ユーザーは請求したい金額を入力するだけ、顧客はクレジットカードを端末の背面にタッチするだけでよい。AppleはBloombergからのコメント要請を拒否したため、iPhoneに内蔵される機能が同じように動作するかどうかは不明だ。

また、Bloombergの情報筋は、この機能がApple Payの一部としてブランド化されるかどうかについては言及できなかった。ただし、この機能を開発しているチームは、AppleがMobeewaveを買収して以来、同テック大手の決済部門と協力してきたと報じられている。Appleが既存の決済ネットワークでサービスを開始するかどうかも、現時点ではわかっていない。

Mobeewaveは、買収される前にSamsung(サムスン)と提携し、後者の携帯電話をコンタクトレス決済端末にした。この機能をカナダで試験的に導入し、Samsung POSと名付けられた同社のPOSサービスをカナダで広く展開したこともある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

中小企業にクレジットカードを提供する支出管理プラットフォーム「Moss」が約97.8億円調達

ベルリンのMossが今週初めに、8600万ドル(約97億8000万円)のシリーズBを発表した。同社は中小企業にクレジットカードを提供して、支出管理が容易にできるようにする。

このラウンドによりMossの評価額は5億7300万ドル(約651億3000万円)に達した。Tiger Global ManagementがこのシリーズBをリードし、A-Starが参加した。合わせて同社の調達額は総額で1億5000万ドル(約170万5000円)近くとなった。

Mossは、支出管理のプラットフォームだということができる。ヨーロッパの競合他社は、SpendeskPleoSoldoなどだ。Mossの強みは、デビットカードでなくクレジットカードを提供していることだ。取引は各決済の数秒後にMossのダッシュボードに表示される。

カード本体だけでなく、従業員はオンライン決済のためのバーチャルカードを作ることができる。何かを買うたびに、Mossの顧客はすべての支出に0.4%の割引がある。

これなら、小さな会社でも1枚のコーポレートカードですべての経費を共有する必要がない。チームリーダーは、従業員ごとに予算を設定し、より簡単に経費を把握することができる。

従業員自身にとっても、ヨーロッパではコーポレートカードはそれほど一般的ではない。Mossに切り替えることで、従業員の経費を自己負担する必要がなくなる。Mossのカードで決済し、レシートを添付すればいい。また、カード決済ができないレストランでは、現金での経費精算もMossで行うことができる。

カード決済以外にも、すべての請求書をMossアカウントで一元管理することで、Mossに頼ることができる。Mossのユーザーは、承認ルールを設定し、ビジネス銀行口座の支払いリストをエクスポートすることができる。

最後に、Mossは、ドイツ市場で人気の会計ソフトであるDatevと統合しているため、会計業務をスピードアップすることができる。今後、このスタートアップは、製品をさらにモジュール化する予定だ。すべてを必要としないのであれば、支出管理スタック全体を使用する必要はないだろう。

Mossは、全体で25万件の取引を処理し、2万枚のカードを発行している。製品はドイツとオランダで提供されている。同社は現在、英国への進出を計画している。

画像クレジット:Moss

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

英アマゾン、「英国で発行されたVisaカードの取り扱いを停止する」との脅迫を撤回

Amazon(アマゾン)は、決済手数料をめぐる論争で、英国でのVisa(ビザ)カード決済のサポートを終了すると公に脅していたが、撤回したようだ。

同社は現地時間1月17日、Amazon.co.ukのユーザーに電子メールを送り、1月19日に予定されていた「見込まれる変更」が、同日から実施されないことを知らせた。

ただ、AmazonとVisaが手数料について持続的な条件に達したかどうかはまだ明らかではない。

「Amazon.co.ukでのVisaクレジットカードの使用に関して予定されていた変更は、1月19日には行われなくなりました。当社は、顧客がAmazon.co.ukでVisaクレジットカードを使い続けられるような潜在的な解決策について、Visaと緊密に連携を取っています」と、Amazonは英国のユーザーに宛てた電子メールに書いている。

「Visaクレジットカードに関連する何らかの変更を行う場合は事前にお知らせします」と続け「それまでは、Visaクレジットカード、デビットカード、Mastercard、American Express、Eurocardを現在同様に使い続けることができます」と付け加えた。

AmazonとVisaにコメントを求めたところ、この動きを認めたが、それ以上の詳細については説明しなかった。

Amazonは、今のところ何も変わらないというユーザーへの簡潔な声明以上のコメントを却下した。

Visaの広報担当者も「潜在的な解決策」が実際に何を意味するのかについては詳しく説明しなかった。「Amazonの顧客は、我々が合意に達するために緊密に協力している間、1月19日以降もAmazon.co.ukでVisaカードを使用できます」と記した声明の中で、手数料に関する交渉が続いていることを暗に示している。

2021年末にAmazonは英国のユーザーへの電子メールで、Visaのクレジットカード決済に課す高い決済手数料を理由にVisa決済のサポートを終了し、Amazon.co.ukでの買い物の支払いに代替手段を用意するよう警告していた。

関連記事:英Amazonで1月19日から英国発行Visaクレジットカードが使えなくなる

その際の大量の電子メール送信というやり方は、Amazonが自社の市場パワーを利用してVisaからより良い条件を引き出そうとしたように思われた。

それが功を奏してVisaにクレジットカード手数料を引き下げさせることができたのか、それともAmazonが英国の買い物客に大きな混乱をもたらす瀬戸際から一歩下がることにしたのかは不明だ。

後者であれば、Amazonはすでに、Visaベースの支払い方法に依存する英国のユーザーに、近い将来、同社のサイトで買い物を続けられるかどうか、数カ月にわたって不安を与えていたことになる。

Visaは2021年11月に、Amazonが「将来的に消費者の選択肢を制限すると脅している」ことを残念に思うと述べ「消費者の選択肢が制限されて得をする人はいない」とも主張していた。

Visaは当時、Visaカード保有者が英国で発行されたVisaクレジットカードを引き続きAmazonのウェブサイトで使用できるよう、解決に向けてAmazonとともに取り組んでいると述べていた。

それから数カ月経ったが、Amazonが英国発行のVisaカードの利用を停止する期限が迫っている中でも交渉は続いているようだ。

Amazon.co.ukでのVisa決済の手数料上昇は、英国のEU離脱と関連している。ブレグジットにより、英国と欧州経済領域 / EU間の取引で課される手数料の上限が撤廃されたからだ。

しかし、この問題はおそらく、Amazonが英国のビジネスをどのように構築しているかという点にも関わっている。同社は、英国の顧客にEU拠点の法人を通じて請求し、英国のウェブサイトを通じて計上した収益をルクセンブルグの欧州本社に移しているためだ。

City AMの2021年8月のレポートによると、Amazonはこの企業構造によって、かなり高額な英国の税金の支払いを免れることができたという。しかし、同じ「利益移転」構造によって、AmazonはVisa「税金」をかなり多く負担しているようだ(というか、負担してきた……)。

画像クレジット:David Ryder/Stringer / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

忘れ物トラッカーTile内蔵クレジットカード「三井住友カードTile」登場、Bluetoothでスマホと接続しアプリで紛失位置確認

忘れ物トラッカーTile内蔵クレジットカード「三井住友カードTile」登場、Bluetoothでスマホと接続しアプリで紛失位置確認

忘れ物トラッカー「Tile」機能を搭載したVisaカード「三井住友カードTile」が登場しました。

「三井住友カード Tile」は、Bluetoothでスマートフォンと繋がるクレジットカードです。Tile機能を搭載しており、スマートフォンとカードの接続が切れた位置(=紛失位置)をTileアプリで確認可能。また、同カードを財布に入れておけば、財布を落とした時もTile機能を使って財布ごと見つけられます。忘れ物トラッカーTile内蔵クレジットカード「三井住友カードTile」登場、Bluetoothでスマホと接続しアプリで紛失位置確認

物理スイッチとスピーカーも内蔵。Tileアプリの操作でカードから音を鳴らしたり、逆にカードのスイッチを押せばスマートフォンの音を鳴らせます。部屋やバッグの中でカードやスマートフォンが見つからない場合でも、このスイッチを押せば音で見つけやすくなります。忘れ物トラッカーTile内蔵クレジットカード「三井住友カードTile」登場、Bluetoothでスマホと接続しアプリで紛失位置確認

Tileはスマートスピーカーにも対応しており、スマートスピーカーに呼びかけてカードの音を鳴らすといった使い方も可能です。

一般的なクレジットカードの薄さ(0.76mm)で上記機能を実現するため、超薄型バッテリーを内蔵。1000回以上の屈曲テストもクリアしています。忘れ物トラッカーTile内蔵クレジットカード「三井住友カードTile」登場、Bluetoothでスマホと接続しアプリで紛失位置確認

新開発のEMVチップは充電端子も兼ねており、付属の専用充電器でフルに充電した場合、最長半年間利用できます。万が一充電が切れた状況でも、クレジットカード機能の利用に影響はありません。

忘れ物トラッカーTile内蔵クレジットカード「三井住友カードTile」登場、Bluetoothでスマホと接続しアプリで紛失位置確認「三井住友カード Tile」は、12月16日より初回1500枚の先行予約を開始し、1月中旬以降に順次発行予定。1500件を超えた予約がある場合は抽選となります。

(Source:ソフトバンクC&SEngadget日本版より転載)

Antがグループ収益の約4割占めていた小口融資事業にメス、中国の「分割」命令から約1年

2020年12月、中国政府はAnt Group(アント・グループ)に対し、史上最大の新規株式公開となる可能性があったIPOを中止した後、その事業を「是正」するためのガイドラインを示した。その中で規制当局は、Antにクレジット事業の見直しなどを求め、金融機関を監督するのと同じ一連の規制を受けるようにした。言い換えれば、Antはもはや「テック」企業と称して自由奔放に活動できないということだ。

関連記事:中国政府がジャック・マー氏のフィンテック帝国Ant Groupの「修正」計画を発表

それから約1年後、Alibaba(アリババ)系列のフィンテック企業である同社は、人気の高い消費者向けクレジット商品の再編をほぼ終えたことを示した。

2020年に提出された同社の目論見書によると、クレジットローン商品は2020年6月までの6カ月間でAntの収益の40%近くを占めていた。2つの主要商品は、仮想クレジットカードのように機能する、消費者の日常的な支出のために2014年に発売された「Huabei(花唄、ホワベイ)」と、その1年後、より大規模な消費トランザクションのためのクレジット商品として導入された「Jiebei(借唄、ジエベイ)」だ。

旧モデルでは、Antがオリジネートしたローンを、第三者である銀行などの金融機関が引き受けるという形をとっていた。同社の目論見書によると、2020年6月時点で、プラットフォームを通じて組成されたAntのクレジット残高の約98%は、パートナーの金融機関が引き受けるか証券化されている。

Jiebeiは2つのブランドに分割されたと、今週初めに複数のユーザーが報告している。Antの主力金融サービスアプリであるAlipay(アリペイ)では、サードパーティの銀行が提供するクレジットラインは「Xinyong Dai(信用贷=クレジットローン)」と呼ばれている。一方、規制当局の要請を受けて設立されたAntの消費者金融会社が提供するクレジットラインは、「Jiebei」ブランドのままである。

Huabeiも同様に再編を開始し、どのローンが銀行から独立して提供され、どのローンがAntの消費者金融会社から提供されているかをユーザーに示すようになった。Huabeiは、日常的な「少額」取引に焦点を当てていくと、Weibo(微博、ウェイボー)への投稿で述べている

「ブランドの差別化に伴い、クレジットローンサービスを申し込むユーザーは、ブランドの混同を避けるために、クレジットプロバイダーに関するより多くの情報を得ることができます」とも。

Huabeiはまた、中国人民銀行(中央銀行)が監督するデータベースに消費者の信用情報を提出していることにも言及している。同社は9月に消費者信用会社を設立した後、このルーチンを開始した。消費者信用会社は銀行と同様に、中央銀行に信用評価データを報告する必要がある。

画像クレジット:Ant Group

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

英Amazonで1月19日から英国発行Visaクレジットカードが使えなくなる

Amazon(アマゾン)がVisa(ビザ)との闘いをエスカレートさせている。2022年1月19日から、Amazonは英国で発行されたVisaクレジットカードの取り扱いを停止する。英Amazonの顧客にこの変更がメールで伝えられ、クレジットカード取引にともなってVisaが高額な手数料を課していることが理由であるとされている。Amazonの利用者は年末年始の買い物にはVisaクレジットカードを使うことができるが、その後はVisaデビットカード、またはMastercardやAMEXなど他のクレジットカードに切り替える必要がある。

Amazonの広報は発表の中で以下のように述べている。

カード利用にともなうコストは、お客様にベストプライスを提供しようと努力している企業にとって常に障壁です。こうしたコストは技術の進歩にともない減少してしかるべきですが、実際にはコストは下がらずむしろ上がっています。Visaの利用手数料が依然として高額であることから、残念ながら当社のAmazon.co.ukでは英国で発行されたVisaクレジットカードの利用を2022年1月19日に停止します。お客様は引き続きVisaデビットカードを含むすべてのデビットカード、およびVisa以外のクレジットカードを利用してAmazon.co.ukでショッピングをしていただけます。決済に関する状況が世界中で急速に変化する中、当社は今後もお客様のために革新を続け、世界中の当社ストアで速く、安く、包括的な支払い方法を追加し推進していきます。

一方Visaの広報は「Amazonが今後消費者の選択を狭めると脅しをかけていること」に失望していると述べ「消費者の選択が限られている場合に、勝者はいない」とした。Visaはさらに、カード会員が「2022年1月にAmazonが課す制限を受けることなく」ウェブサイトで英国発行のVisaクレジットカードを使い続けられるようにAmazonとの間で解決に取り組んでいると述べた。ちなみに、Amazonと他のクレジットカード企業との関係はもっと良好だ。英Amazonは現在、消費者向けクレジットカードでMastercardと、ビジネスカードではAMEXと提携している。

AmazonとVisaはお互いから有利な条件を引き出そうとして闘いを公開しているのかもしれない。Amazonはここ数カ月間、Visaに圧力をかけてきた。シンガポールのAmazonサイトでは9月15日からVisaクレジットカードでの購入に0.5%の追加料金を課し、その1カ月半後にはオーストラリアでもVisaでの購入に追加料金を課すようになった。どちらの場合もAmazonは、Visaクレジットカード以外の支払い方法を追加した顧客に対し、ギフトカード(30シンガポールドル / 約2500円、20オーストラリアドル / 約1600円)を提供した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Håkan Dahlström Photography / Flickr under a CC BY 2.0 license.

原文へ

(文:Mariella Moon、翻訳:Kaori Koyama)

オンライン小売業者の偽チャージバック対策をAIで支援するJusttが計80億円を調達して登場

チャージバック軽減に取り組むテルアビブ拠点のスタートアップJustt(ジャスト)は現地時間11月16日、総額7000万ドル(約80億円)となる資金調達でステルス状態から登場した。

2020年2月にRoenen Ben-Ami(ロエネン・ベン・アミ)氏とOfir Tahor(オフィール・タホール)氏によって創業されたJusttは、オンライン小売業者に代わってチャージバック異議を完全に自動化する、と話す。同社は最近、コネチカット州グリニッジを拠点とするOak HC/FTがリードしたシリーズBラウンドで5000万ドル(約57億円)を調達した。このラウンドは、2月にZeev Venturesがリードした1500万ドル(約17億円)、2020年11月にF2 Venture Capitalがリードした500万ドル(約5億7000万円)の資金調達ラウンドに続くものだ。Justtの戦略的個人投資家には、PayPalの元社長David Marcus(デイビッド・マーカス)氏、Square Capitalの元代表Jacqueline Reses(ジャックリーン・ローズス)氏、DoorDashの幹部Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏などがいる。

以前AcroChargeという社名だったJusttは、年間経常収益(ARR)が2020年9月に比べて900%増加していると話す。従業員数は1年前の3人から110人超に増加している。同社は、シリーズBでの評価額については明らかにしなかった。

知らない人のために説明すると、チャージバックとは、クレジットカード会社が小売業者に対して、不正な取引や問題のある取引の損失を補填するよう要求することだ。Justtは、自社開発した人工知能を用いて、世界中の小売業者が偽のチャージバックに対処できるようにすることを目指している。

偽のチャージバックは「フレンドリー詐欺」とも呼ばれ、消費者がクレジットカードやデビットカードへの請求に不正に異議を唱えることで、金融機関が支払いをキャンセルし、小売業者が損失を被る。JusttのAI駆動の技術は、不正なチャージバックにフラグを立てるように設計されている。不正なチャージバックは通常、異議の85%以上を占め、年間1250億ドル(約14兆円)超の損失につながっているとJusttは話す。同社は、カードプロセッサーを統合している各小売業者に合わせたシステムを構築し、不正なチャージバック請求を否定する証拠を収集してその情報を小売業者に代わってクレジットカード会社に提出する。

最終的には、フィンテックのユニコーン企業Melioや、ブロックチェーンベースの決済会社Wyreなど、大企業を中心とした企業の社内チャージバック軽減プログラムに置き換わることを目指している。Justtは顧客のために月に1万件以上のチャージバックを処理している。

「チャージバックシステムは基本的に不正なものですが、多くの業者はその損失を単にビジネスのコストと捉えています。Justtではもっと良い方法があると信じています。eコマースの販売業者は、この古めかしいシステムを乗り越えるために誰かの助けを必要としているのです」とCEOで共同創業者のタホール氏は話した。

タホール氏は、Chargehound、Chargeback.com、Midigatorなど同業他社と自社は異なると考えている。これらの企業は技術的ツールを提供しているが「それでも顧客はテンプレートの作成や証拠の収集に必要な専門知識を備えた社内チームを維持する必要がある」。

「これらのシステムは、最適化と成功率の向上を顧客のチームに依存しており、Justtのようなフルサービスのソリューションは提供していません」とタホール氏は指摘する。

他の競合他社はフルサービスを提供しているが、顧客のチャージバック処理を支援するためにオフショアチームを使って証拠作成を手作業で管理していると同氏は主張する。

「技術的な要素がないため、オフショアチームは一般的なテンプレートに頼ってしまい、パフォーマンスの低下を招いています」。

同氏によると、Justtは調査チームが小売業者の精算プロセス、利用規約、確認メール、チャージバック理由コードなどを分析し、よりカスタマイズされたサービスを提供する点が異なるという。

同社のビジネスモデルは、潜在的な顧客のリスクを最小限に抑えるように設計されている。顧客の売上が回収されない限り、顧客には何の請求もない。

「我々のビジネスモデルはすべて成功に基づいています。統合費用や案件ごとの費用は一切ありません。当社が手数料を請求するのは、小売業者が取引詐欺の減少によって実際に節約できた場合のみです」とタホール氏はTechCrunchに語った。

Justtが設立されたのは、パンデミックによってオンライン取引が急増し、それにともなって不正なチャージバック行為が急増した時期だった。

「それ以来、当社のソリューションに対する需要はうなぎのぼりです。これは、オンラインビジネスやオンライン取引の一般的な成長と、経済的圧力、サプライチェーンの問題、配達遅延など特定のプレッシャーによって引き起こされたもので、不正取引の取り消しの増加に拍車をかけています」とタホール氏は話した。

同社は、新たに得た資金を製品開発、販売、マーケティングに「重点的」に投資する予定で、ここには販売とマーケティングの業務を米国と欧州に拡大することも含まれている。また、2022年にはイスラエルの研究開発部門の人員を3倍に増やすことも予定している。

タホール氏は「今回の資金調達により、ニューヨーク市に米国本社を設置し、西海岸のオフィス開設の準備を行うなど、北米市場への積極的な進出を計画しています。また、市場機会に応じて、欧州地域へのサービス提供にも投資していきます」と述べた。

Oak HC/FTのパートナーMatt Streisfeld(マット・ストリスフェルド)氏によると、Justtでは取引後に発生する不正なチャージバックによって失われた60〜80%の収益を取り戻すことができる。

eコマースブームでは不正チャージバックによる企業のリスクが高まっているにもかかわらず、不正なチャージバックを特定して追跡し、異議を唱え、失われた収益を回収するシステムを導入しているブランドはほとんどない、とストリスフェルド氏は指摘する。

「ほとんどのブランドは、これらの損失を単に帳消しにしています。これは持続不可能でコストのかかるアプローチであり、小売業者が新たな方法を模索する中で、Justtは今後5年間で記録的な普及を遂げるはずです」と同氏は電子メールに書いた。

画像クレジット:Justt

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

零細企業にハードウェア不要のカード決済を提供するNomodが3.8億円を調達

新興国の零細企業は、いくつかの理由でデジタル決済の利用にいまだに苦労している。1つには、そうした企業の多くはその規模ゆえに、世界のさまざまな決済システムから除外されていることがある。また、プロバイダーからハードウェアを調達するには費用がかかることも挙げられる。

英国を拠点とするフィンテックNomodは、追加のハードウェアなしに携帯電話でカード決済を受け付けるプラットフォームを提供することで、これらの零細事業者がカード端末を回避できるようにしている。同社は5000万ドル(約57億円)の評価額で340万ドル(約3億8000万円)のシード資金を調達した。

創業者でCEOのOmar Kassim(オマール・カシム)氏がTechCrunchに語ったところによると、加盟事業者ベースを獲得し、金融オペレーティングシステムを構築するのに、決済は同社のフライホイールとして機能する。

加盟事業者に対して、口座、カード、地域の決済ネットワーク、融資へのアクセスを提供するというのが同社の計画だ。この一連のサービスは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バングラデシュなど、Nomodが大きな加盟事業者基盤の構築を目指している主要市場では不可欠だ。

例えば、サウジアラビアでは、法人100万社超のうち銀行融資を受けられるのはわずか3%だ。アラブ首長国連邦では、ビジネス用の銀行口座を開設するのに半年近くかかる。また、バングラデシュでは、中小企業にとってカードPOSのハードウェアは非常に高価だ。

Nomodを使えば、加盟事業者は携帯電話にNomodをダウンロードして、対面での支払いや顧客からの支払いリンクを処理することができ、決済問題に対処できる。

顧客はVisa、Mastercard、American Express、Union Payなどのさまざまなカードを利用できる他、NFCやQRコードによる非接触型の決済も可能だ。また、加盟事業者は135種類以上の通貨で課金することができる。

「加盟事業者はいま、Nomodをインストールして3、4分でサインアップし、決済リンクを使った対面およびオンラインでの決済の処理を始めることができます」と、カシム氏はTechCrunchに語った。

オマール・カシム氏(NomodのCEO)

Nomodは、MENA(中東・北アフリカ地域)およびGCC(湾岸協力会議)地域の加盟事業者の獲得にフォーカスしてきたが、カシム氏によると、このプラットフォームはグローバル展開しており、欧州、米国、オーストラリア、アジアの40カ国以上からサインアップできるようになっている。

同社はナイジェリアと南アフリカの加盟事業者とテストを行っていて、近い将来、両市場でのサービス開始を見込んでいる、とカシム氏は話す。

「カードの受け入れはかなり均質な行為である、というのが当社の考えです。オーストラリア、インド、あるいはどこでやろうが、場所はあまり関係がありません。我々は、多くの市場で並行して行うことができると考えており、現在44カ国の加盟事業者が当社のプラットフォームを利用できるようになっています」。

今のところ、米国、英国、アラブ首長国連邦の加盟事業者はそれぞれの国の通貨(ドル、ポンド、ディルハム)で決済することができる。

しかし、南アフリカのように通貨の変動がある市場では、Nomodは多少のFXコストを適用している。カシム氏によると、このような市場で大幅に受け入れられれば、Nomodは加盟事業者のためにプラットフォームを最適化し、現地通貨での決済を開始するという。

YCの経歴によると、Nomodは自らを「Square(スクエア)からハードウェアを除いたもの」と表現しているが、2010年にStripe(ストライプ)がサービスを開始して以来、決済がどのように進化してきたかを考えると、この名前は示唆に富んでいるとカシム氏は確信している。

同氏によると、950億ドル(約10兆円)規模の企業が新たに立ち上げるとしたら、ハードウェアは必要ない。しかし、同氏の考えは、ほとんどの企業がウォレットやトークンを使ってフィンテック取引を行っているアラブ首長国連邦のような新興市場での決済の仕組みに基づいている。Nomodは、対面での決済を受け付けるStripeのリストにあるパートナーの1社だ。

「一部のプラットフォームでは、オンライン取引の約60~70%がApple Payによるものとなっています。最近では、消費者が積極的にデバイスにトークンを付けて決済していることも明らかになっています」。

Nomodの前に、カシム氏はeコマースのマーケットプレイスプラットフォームJadoPadoを運営し、中東・北アフリカ地域でAmazon(アマゾン)と競合するNoon(ヌーン)に売却した。

その後、いくつかのコンサルティング業務に携わり、フィンテックとネオバンクの波が英国を襲ったことに注目して、2018年にサイドプロジェクトとしてNomodを立ち上げた。それは、Stripeのアカウントを持っている人なら誰でも、対面での支払いができるシンプルなアプリだった。

このアプリを運営することで、カシム氏は将来の決済のあり方について2つの大まかなアイデアを得た。1つ目は、消費者向けのフィンテックでは、プラスチックカードがデジタルトークンやネイティブウォレットに取って代わられること。また、加盟事業者を対象としたフィンテックでは、従来のハードウェアからソフトウェア主導のソリューションへと移行するということだ。

「世界を見渡しても、決済のための有力なモバイルソフトウェアソリューションは現在ありません。だからこそ、支払いの受付のためのWhatsAppやTelegramのようなもの、あるいは決済リンクやサブスクリプションのようなものでの対面ソリューションを構築することにチャンスがあると感じています」。

2021年3月に正式にサービスを開始して以来、Nomodは約4500の加盟事業者を獲得した。同社によると、その総処理額は11.5倍に増え、ランレートは年700万ドル(約8億円)になっている。

Y Combinatorの夏季クラスを卒業したばかりのNomodは、Global Founders Capitalがリードした投資を獲得した。このラウンドにはKingsway Capital、Goodwater CapitalなどのVCや、DST Globalのパートナーを含むシリコンバレーや世界のエンジェル投資家たちが参加した。

画像クレジット:Nomod

原文へ

(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nariko Mizoguchi

Flexbaseが建設業界初のクレジットカードを発表、最大60日間の無利子融資

Flexbase(フレックスベース)は、最大60日間の無利子融資を提供する、創業者らによると業界初のクレジットカードを発表し、建設業の資金調達の常識を覆している。

Flexbaseは、建設業者や建設業界向けの自動決済ツールを開発している会社で、中小企業を対象にするためにZaid Rahman(ザイド・ラーマン)氏とHadi Solh(ハディ・スルフ)氏によって設立された。

ラーマン氏とスルフ氏は建設業を営む家庭で育ち、食卓で資金繰りの悩みを聞かされていた。ドバイで建設会社を経営していたラーマン氏の父親は、数百万ドル(数億円)の請求書を顧客が支払ってくれなかったとき、心臓発作を起こした。ラーマン氏とスルフ氏は、企業が資金に容易にアクセスしてキャッシュフローの問題を回避できるよう、Flexbaseを設立した。

「ほとんどの建設会社は、破産するか、あと一歩のところまで来ています」とラーマン氏は話す。「その理由の1つは、ほとんどの顧客が期日通りに支払うことを好まないからです。銀行が建設会社を嫌うのも理由の1つです。これは、そのようなキャッシュフローの問題があるためであり、建設会社は短期的な資金を得ることがなかなかできません。建設会社の倒産が多いのもそのためです」。

Flexbase Cardは、建設会社であればどの会社でも申し込むことができ、ヒューストンで先行してサービスを開始している。しかし共同創業者によると、Flexbase Cardと他のFlexbaseツールを併用することで、会社の財務データをより深く理解することができ、より大きな額の融資を受けることができるようになるという。

60日間の融資は、支払いを受けるまでに通常100日以上かかる業界にとって「ゲームチェンジャー」だとスルフ氏はいう。その理由の1つは、一般的な請求書が1〜2ページであるのに対し、建設業の請求書は50〜100ページにも及ぶことがあり、その中には州や郡のコンプライアンスに関する書類も含まれている。1枚でも欠けていると、請求書全体が却下されてしまうこともある、とラーマン氏は話す。

Flexbaseは経費管理を自動化することで、売掛金と買掛金の間の時間を短縮し、支払いまでの時間を50日短くすることができる。

「資金面で建設会社を他の企業と同じように評価することはできませんが、引き受けを行うことで、当社は建設会社がビジネスを成長させるのに十分な信用を提供しています」とラーマン氏は付け加える。「我々は、建設会社がプロジェクトの種類や顧客基盤を拡大するために、2分で十分な信用を提供しています」。

画像クレジット:PM Images / Getty Images

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

世界中からの移民の人たちが金融サービスを利用できるよう支援するZolveが約45.5億調達

米国の移民が金融サービスを利用できるようにすることを目的としたネオバンキングのスタートアップ企業であるZolve(ゾルブ)は、サービスの展開を開始するにあたり、新たな資金調達ラウンドで4000万ドル(約45億5000万円)を調達したことを米国時間10月27日に発表した。

関連記事:母国の信用履歴利用を可能にする銀行取引プラットフォームZolveが15.8億円調達

DST Global(DSTグローバル)のパートナーが、ベンガルールに本社を置くこのスタートアップのシリーズA資金調達ラウンドを主導した。今回のラウンドでは、Tiger Global(タイガー・グローバル)、Alkeon Capital(アルケオン・キャピタル)、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、Accel(アクセル)といった既存の投資家に加え、設立10カ月の同社を2億1000万ドル(約238億9600万円)と評価し、過去最高の5500万ドル(約62億5800万円)を調達した。


毎年、何万人もの学生や社会人が、高等教育を受けるため、あるいは仕事のために、インドから米国へと旅立っている。新しい国で数カ月過ごした後でも、現地の銀行からクレジットカードを発行してもらうのに苦労したり、その他のさまざまな金融サービスを利用するために割高な料金を支払わなければならなかったりする。

インドで注目されている起業家で、前職のスタートアップをライドハイリングの大手Ola(オラ)に売却したRaghunandan G(ラグナンダン・G)氏は、2021年の初めにインド人のためにこの問題を解決しようと決心した。

Zolveは2021年9月、2000人の顧客(それと、7万人を超えるウェイティングリストがある)にクレジットカードを提供したが、すぐに2つの気づきがあったとTechCrunchのインタビューで述べている。

それは、顧客がZolveのサービスを幅広く利用し、期限内に支払いを済ませているだけでなく、オーストラリア、英国、カナダ、ドイツなど他国から移住してきた人々の需要も有機的に取り込んでいたことだという。

「私たちの基本的な価値提案は、クレジットカードです。クレジットカードの他に、現地の銀行口座とデビットカードがあります。私たちは、お客様が自分の銀行口座にお金を預けることを想定していませんでした。入金されるとしても、数百ドル(数万円)、数千ドル(数十万円)程度だろうと考えていました。しかし、実際には何万ドル(数百万円)ものお金を預けて、この口座をメインの銀行口座として使っている人がいるのです。現在、私たちは200万ドル(約2億2000万円)の預金があります」と同氏は語ってくれた。

Zolveは、このような初期段階での人気を受けて、2022年早々には複数の国からの移民の人たちにサービスを拡大する予定だ。

Zolveは現在、米国とインドの銀行と提携し、保険料や保証金を支払うことなく、消費者がシームレスに金融商品を利用できるようにしている。Zolveがリスクを引き受けることで、海外の銀行がZolveの顧客にサービスを提供できるようになった。

Zolveは、インドの銀行と協力することで、個人を明確にし、保険責務を請け負うことができた。Zolveは現在、このモデルを他の国の顧客にも適用することを計画している。

ラグナンダン氏によると、Zolveは幸運にも希望する投資家を見つけ、参加してもらうができたという。DST Globalのパートナーの多くは移民であり、新たに加わった3人の投資家も、同じような分野で活動するいくつかのスタートアップ企業を支援してきたことを教えてくれた。

「お客様のニーズに合った公正な金融商品へのアクセスは、人々の生活に直接的かつ意味のある影響を与えます。Zolveに投資し、米国やその他の市場で世界水準の金融サービス商品や体験を移民の人たちに提供するというラグナンダン氏のビジョンを支援できることを大変うれしく思います」。と、LightspeedのパートナーであるBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は語っている。

「Zolveは、特に顧客の獲得と利用において急速に成長していますが、これはチームの実行力とZolveがターゲットとする顧客層の大きなニーズを反映したものです。今後の展開に期待するとともに、Zolveの将来の成功を確信しています」と述べている。

また、Zolveは積極的にチームを拡大する予定であると述べている。同社の従業員数は、2021年の初めにはわずか5名だった。その後、100人に増え、現在はいくつかの役割を担う150人の採用を検討している。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

モバイルウォレットでの支払いを「クレジットカードと同じくらい簡単に」、Citconが34億円調達

モバイルウォレットによる決済を提供するCitcon(シトコン)は、Norwest Venture PartnersとCota Capitalが共同でリードしたシリーズCラウンドで、3000万ドル(約34億円)の調達を完了した。

この資金調達には、Sierra VenturesとSonae IMも参加した。サンノゼを拠点とするCitconの、2015年の創業以来の調達額は約5000万ドル(約57億円)となった。

Citconのミッションは単純明快で、創業者でCEOのChuck Huang(チャック・フアン)氏によると、事業者が「現在の伝統的なクレジットカードによる支払処理と同じような簡単さ」で、モバイルウォレットや代替通貨による支払いを受けられるようにすることだ。

Citconの創業前、フアン氏はVisa(ビザ)のリードシステムアーキテクトとして4年間勤務し、モバイルペイメントゲートウェイやカードに基づく特典交換プラットフォームなど、複数の製品のシステムアーキテクチャーの設計・開発を担当していた。

Citconは、消費者と事業者の双方にとって「より使いやすく、より安全で、より安心な」非接触型のショッピングおよび支払い体験を、モバイルペイメントが提供するという前提のもとに立ち上げた。それは、新型コロナウイルスの大流行により非接触型決済が急増する前のことだった。

明らかに、Citconは正しいことをしていると言える。2021年が終わろうとしている今、同社の年換算決済額は約10億ドル(約1140億円)で、前年比300%以上の伸びを示している。フアン氏によると、収益も同じ割合で増加している。

Citconの決済技術は、東芝、Oracle、Cegid、Shopify、SAPなどのPOSシステムや電子商取引システムと統合されており、複数の企業が導入している。また、L’Oréal、Tumi、Texas Instruments、Macy’s、Panda Expressなど、3万社以上の事業者のサイトや拠点に導入されている。

Citconは、Apple PayやGoogle Payにはないものを提供しているとフアン氏はいう。

「当社はソフトウェアベースなので、Apple PayやGoogle Payとは異なり、ウォレットに連携させる銀行カードやクレジットカードは必要ありません」と同氏は説明する。「我々は、モバイルと代替決済手段(APM)の両方に対応する統一されたAPIを持っています」。

従来の決済インフラは、モバイルウォレットを受け入れるように設計されていなかったため、事業者は多くの実装に対応しなければならなかった、とフアン氏は話す。Citconは事業者のために単一のAPIへ統合するため、事業者は世界100種類以上のモバイルウォレットを受け入れることができる。

フアン氏によると、ソフトウェアベースのウォレットによる決済のトレンドは、ここ2〜3年の間に世界中で加速した。Citconはその流れに乗ろうとしている。

「中国はほとんど現金を使わない社会で、人々はこの種のウォレットを多用しています。世界中でも勢いを増しています」とフアン氏はTechCrunchに語った。例えば、米国ではPayPal(ペイパル)の子会社であるVenmo(ベンモ)と提携し、ユーザーにCitconのソフトウェアウォレットを提供している。また、Klarna(クラーナ)と提携し「今買って、後で払う」ウォレットを用意した。

Citconは今後、新たな資本を活用し、現在100人の従業員を増やし、グローバルに事業を拡大していく予定だ。同社は、すでに米国、カナダ、ヨーロッパ、アジアに拠点がある。「急速な」海外展開を目指しており、特にラテンアメリカとアジア太平洋市場に注目している。

Norwest Venture PartnersのパートナーであるPriti Youssef Choksi(プリティ・ユセフ・チョクシ)氏は、Citconのリーダーシップチームに最初にひかれたと話す。同氏は、フアン氏と社長兼COOのWei Jang(ウェイ・ジャン)氏を、決済の世界における「思想的リーダー」と評した。2人はともに中国出身で、米国内でモバイルウォレットがどのように発展していくかについて、国際的な視点をもたらすことができると指摘する。

「これは重要なことです。なぜなら、米国と海外の両方で、モバイルペイメントを中心にいくつかの重要なテーマが収束しつつあるからです」と同氏はメールに書いた。1つには、モバイルウォレットがクレジットカードを抜いて世界で最も広く使われる決済手段となっていることがある。モバイルウォレットの利用者数は、2020年の28億人から2025年には48億人になると見込まれている。

「米国では、新しいウォレット(暗号資産、今買って後で支払うプラットフォーム、ネオバンクウォレットなど)が若い消費者の間で人気を集めていることや、パンデミックの影響で消費者や事業者が非接触型の決済に向かっていることから、急速にシェアを拡大しています」とチョクシ氏は付け加えた。

また、同氏は、ウォレットや事業を展開する国を巡るコンプライアンス上の課題を解決してきた同社の能力にも感心している。

「これは、米国および世界中で、決済フローが規制当局の監視下にあることを考えると、特に重要なことです」と同氏は語る。

Cota CapitalのパートナーであるBen Malka(ベン・マルカ)氏は、Citconが世界と米国の両方で代案入札型の利用動向を注視していると話す。

「まだ初期段階にあると考えていますが、さまざまな種類の決済を可能にする非常に大きな市場機会があると思います。我々は、チャックと彼のチームに感銘を受けました。彼らは決済業界での深い経験と、グローバルな決済企業を構築するための適切な洞察力を持っています」。

画像クレジット:Citcon founder and CEO Chuck Huang

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tiger GlobalがインドのフィンテックSliceへの約110億円超の投資を主導する交渉を開始

インドのクレジットカード市場でシェアを拡大しようとしているフィンテックスタートアップSlice(スライス)への投資を、知名度の高い投資家たちがこぞって追い求めている。

Tiger Globalは、ベンガルールを拠点とするこのスタートアップの1億ドル(約110億円)を超えるラウンドをリードするための交渉を進めていると、この件に詳しい情報筋が語った。

Insight Partners、Ribbit Capital、Greenoaksなど、他の多くの企業もこのスタートアップに関わっていると情報筋は語っているが、この件が非公開であることから情報筋は匿名を希望している。

交渉は続いていて、条件は変更される可能性があると情報筋は付け加えた。

これまでのラウンドで約3000万ドル(約33億円)を調達し、2021年初めのラウンドでは2億ドル(約224億円)を下回る評価を受けたSliceはコメントを控えた。Sliceの投資家にはBlume Ventures、Gunosy Capital、Better Capitalが名を連ねている。

Tiger Globalもコメントを却下した。

現在、インドの何億人もの人々が銀行口座を持っているにもかかわらず、クレジットカードを持っているのは約3000万人にすぎない。インドのほとんどの人がクレジットカードを持つことができず、また、クレジットカードを持つことができる人でも、登録が面倒で時間がかかり、それに見合う報酬が得られないため、わざわざクレジットカードを持とうとしない。

Sliceは、従来のフルタイムの仕事に就いていない人でもカードを取得しやすくし、登録プロセスも迅速に行えるようにした。この2年間で、Sliceはインド最大のカード発行会社の1つに成長した。

また、潜在的な顧客を獲得するために、積極的に動いてもいる。Sliceは9月、インドの潜在的な獲得可能な最大市場規模である2億人の人々を開拓するために、デフォルトの限度額を2000インドルピー(約2990円)に設定したカードを発行した。

今週初めの別の発表では、Sliceは9月に11万枚のカードを発行したと述べた。元Flipkart社員のRajan Bajaj(ラジャン・バジャージ)氏が設立したこのスタートアップには300万人以上が登録しており、会員の平均年齢は27歳だという。

また、バジャージ氏のLinkedInや同社の採用案内によると、同社はブロックチェーン上のアプリケーションを模索している。先週、同社は新入社員に安定した給与と福利厚生付きの週休3日制を提供し、他の機会に取り組みたい、あるいは他の好きなことをしたいと希望する人材を採用することを発表した。

Tiger Globalはここ数四半期の間に、インドで最も積極的なグロースステージの投資家として台頭してきた。2021年、インドでは20社を超えるスタートアップを支援し、その多くを憧れのユニコーン・クラブに押し上げている

画像クレジット:CBインサイツ

インドのスタートアップは2021年9月までの四半期に519件の取引を記録したと、調査会社のCB Insights社が10月7日に発表した。同四半期のスタートアップ企業の資金調達額は99億ドル(約1兆1110億円)で、2020年全体では103億ドル(約1兆1560億円)だったという。Sequoia Capital Indiaは、同四半期中、世界第2位のインターネット市場であるインドで最多となる33件の投資取引を行った。

画像クレジット:Slice

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

日本のチャレンジャーバンク目指すナッジが次世代型クレジットカード「Nudge」の一般受付を開始

日本のチャレンジャーバンク目指すナッジが次世代型クレジットカード「Nudge」の一般受付を開始

日本におけるチャレンジャーバンク(新規に銀行免許を取得し金融サービスを提供する企業)を目指すナッジは9月2日、「少額包括信用購入あっせん業者」の登録が完了し、第1弾サービスとなる次世代型クレジットカード「Nudge」(ナッジ)の一般受付を同日開始したと発表した。Android版およびiOS版アプリが公開されている。

登録少額包括信用購入あつせん業者とは、2020年6月改正・2021年4月施行の割賦販売法により新設された登録事業者のこと。極度額(きょくどがく)10万円以下の範囲内でクレジットカード発行などの包括信用購入あっせん業を営める事業者となっている。

事前・事後チェックによる過剰与信防止措置を前提に、従来の包括支払可能見込額調査に代わるビッグデータやAIなど、先端的な技術を活用した与信審査手法が認められている。「クレジットカード番号などの適切な管理」といったセキュリティ面に関しては、従来の信用購入あっせん業者との規制面での違いはない。

次世代型クレジットカード「Nudge」(ナッジ)

サービス第1弾のNudgeは、申し込みや発行手続き・各種問い合わせなどがスマホアプリで完結可能(無料で発行できるカードのデザインは3種類)。利用状況などアプリでリアルタイム管理が可能で、不正利用や使い過ぎを防止しできる機能も採用。プリペイドカードとは異なり事前の入金は不要で、都度チャージの手間や、利用時の残高確認・使い残しの心配もない。

またすべてのカードにIC機能を搭載しており、世界中のVisa加盟店で利用が可能。日本を含む世界約200の国・地域で展開されている「Visaのタッチ決済」もサポート。

利用金額の返済は月に1度の口座引き落としではなく、好きなタイミングでセブン銀行ATM(全国2万5000台以上)から実施可能で、引き落とし日の口座残高を心配する必要がないという。また、最短で決済の翌日から返済が可能。月の途中で利用枠が足りなくなっても、返済後即時に利用枠が回復する。

なおNudgeでは、Visaブランド対応や与信システム構築、クレジットカードの製造・発行に関してはクレディセゾンおよび凸版印刷、 TISとの協業により実現。ATMからの返済についてはセブン銀行との提携により実現している。また、eKYCはLiquidの最新ソリューションを活用しているという。

好きな「クラブ」を選び、好みのチームやアーティスト、クリエーターを応援

Nudge利用者は、Nudgeと提携する企業や団体が開設する「クラブ」を選択することで、好きなチームやアーティスト、クリエーターを応援できる。

また普段の買い物でNudgeカードで支払いを行うことで、クラブからの特典を受け取られる。特典は、主にクラブに関連した画像や動画・音声データなどで、将来的にはNFT(非代替性トークン)形式での提供も検討しているという。

サービス開始時点で開設予定となっているクラブは、約20クラブ。アスリート・スポーツチーム系では、「ブラウブリッツ秋田(サッカー)」「アースフレンズ東京Z(バスケットボール)」「岩手ビッグブルズ(バスケットボール)」「福島レッドホープス(野球)」「堀口恭司(総合格闘技)」「チームケンズ(トライアスロン)」など。またアーティスト・クリエーターでは、「MILIYAH Loveheart Club」がある。「D.D.マーケット」などのECサイト、「A-TOM」のような地方創生プロジェクトなども用意されている。日本のチャレンジャーバンク目指すナッジが次世代型クレジットカード「Nudge」の一般受付を開始

サービス開始以降に開設予定のクラブには、「ラスカル(キャラクター)」「ラグナドール(オンラインゲーム)」などがあるという。今後もクラブ開拓を進め、利用者と提携先(スポーツチームやアーティストなど)双方に新たな金融体験を提供することを目指すそうだ。

2020年2月設立のナッジは、「ひとりひとりのアクションで、未来の金融体験を創る」をミッションとし、チャレンジャーバンク事業を通じて、日本におけるフィナンシャルインクルージョン(金融包摂)を実現していくことを目指している。

【コラム】Apple Cardをめぐる米国の法執行はどのように間違ったのか

編集部注:本稿の著者Liz O’Sullivan(リズ・オサリバン)氏は、企業のモデルリスクとアルゴリズムのガバナンスを自動化するプラットフォームParityのCEO。また、Surveillance Technology Oversight ProjectやCampaign to Stop Killer Robotsに対して、人工知能に関するアドバイスを行っている。

ーーー

アルゴリズム正義の支持者たちは、UHGApple Cardのような企業に対する法的調査によって、いわゆる「裁判の日々」を迎え始めている。Apple Card訴訟は、定量化可能な公正性という新たな分野において、現在の反差別法が科学的研究の急速なペースに追いついていないことを示す好例である。

Appleとその引受会社が公正貸付違反を犯していないと判断されたのは確かかもしれないが、今回の判決は、あらゆる規制区域で機械学習を利用している企業に対する警鐘となり得る、明確な警告を提示した。経営陣がアルゴリズムによる公正さをもっと真剣に受け止め始めない限り、彼らの前途は法的な問題と評判の低下に満ちたものになるだろう。

関連記事:Apple Cardプログラムは公正貸付法に違反していないとNY州金融サービス局が報告

Apple Cardに何が起きたのか

2019年後半、スタートアップのリーダーでありソーシャルメディアで著名なDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハインマイヤー・ハンソン)氏は、Twitter上で重要な問題を提起し、大きな反響と称賛を巻き起こした。「いいね!」やリツイートが5万件近くある中、同氏はAppleと引受パートナーのGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)に対し、同じ金銭的能力を持つ同氏と同氏の妻に付与される信用限度額が異なる理由を説明するよう求めた。アルゴリズムの公正性のフィールドに立つ多くの関係者にとって、私たちが提唱する問題がメインストリームになるのを目にすることが重大な分岐点となり、結果的にニューヨーク州金融サービス局(DFS)からの照会に結実した。

DFSが2021年3月に、ゴールドマンの引受アルゴリズムについて、1974年に制定された女性やマイノリティを差別融資から保護する厳格な金融アクセス規則に違反していないと結論づけたことは、一見したところ、信用引受会社にとって心強く思えるものかもしれない。活動家にとっては残念な結果だが、財務部門のデータチームと密接に協力している私たちにとっては驚く結果ではなかった。

金融機関向けのアルゴリズムアプリケーションの中には、試行のリスクが利益をはるかに上回るものがあり、信用引受もその1つだ。貸付の公正性に関する法律は(古いものであれば)明確かつ厳格に施行されるため、ゴールドマンが無罪となることは予測できた。

とはいえ、ゴールドマンのアルゴリズムが、現在市場に出回っている他のすべての信用スコアリングおよび引受のアルゴリズムと同様、差別化していることは疑いの余地がない。また、仮に研究者がこうした主張を検証するために必要なモデルやデータへのアクセスを許可されたとしても、これらのアルゴリズムが崩壊することはないだろう。私がこれを知っているのは、ゴールドマンのアルゴリズムを検証するための方法論をニューヨーク州DFSが部分的に公開したからであり、ご想像の通り、その監査は、今日の最新のアルゴリズム監査人によって保持されている標準には遠く及ばないものだった。

DFSは(現行法の下で)Apple Cardの公正性をどのように評価したか

DFSは、Appleのアルゴリズムが「公正」であることの証明として、ゴールドマン・サックスが申請者の性別や配偶者の有無などの「禁止された特性」を利用していたかどうかを最初に検討した。これはゴールドマンにとってパスするのは容易だった。人種、性別、婚姻状況をモデルの入力に含めていないからだ。しかし、いくつかのモデル特性が、保護されたクラスの「プロキシ」として機能し得ることは、何年も前から知られている。

50年間の判例に基づくDFSの方法論では、この問題を検討したかについて言及されていないが、検討されなかったことは推測できる。もしそうであれば、信用スコアと人種との間に強い相関関係があることがすぐに判明するはずだ。それに関連して、一部の州では損害保険への利用を禁止することを検討している。プロキシ特性は最近になって研究の焦点になったばかりであるが、科学がいかにして規制を凌駕してきたかを示す第1の例を提供するものだ。

保護された特性がない場合、DFSは、内容は類似しているが、異なる保護クラスのユーザーに属する信用プロファイルを調査した。不正確な感じがするが、申請書で性別を「フリップ(反転)」させた場合に信用供与の決定にどのような影響があるかを明らかにしようとした。男性申請者の女性バージョンも同じ扱いになるかということだ。

直感的には、これは「公正」を定義する1つの方法のように思える。機械学習の公正性の分野には「フリップテスト」と呼ばれる概念がある。これは「個人の公正性」と呼ばれる概念の多くの尺度の中の1つであり、まさにそのように聞こえる。筆者は、AI専門の大手法律事務所bnh.aiの主任研究員であるPatrick Hall(パトリック・ホール)氏に、公正貸付の事例を調査する上で最も一般的な分析について尋ねた。DFSがApple Cardを監査するのに使用した方法を参照して、同氏はそれを基本回帰、または「フリップテストの1970年代バージョン」と表現し、不十分な法律について第2の例を提示した。

アルゴリズム的公正性のための新しい語彙

Soron Barocas(ソロン・バロカス)氏の独創的な論文「Big Data’s Disparate Impact」が2016年に発表されて以来、研究者たちは哲学の核となる概念を数学的な用語で定義することに熱心に取り組んできた。いくつかのカンファレンスが開催され、最も注目すべきAIイベントで新たな公正性の道筋が示された。この分野は高度成長期にあり、現在のところ法律が追いついていない状況だ。しかし、サイバーセキュリティ業界に起きたように、この法的猶予は永遠には続かないだろう。

公正な貸付を管理する法律は公民権運動から生まれたもので、制定以来50年以上の間にあまり進展が見られなかったことを考えると、DFSの軟式監査は容認できるかもしれない。法律上の前例は、機械学習の公正性に関する研究が本格的に始まるずっと前のものだ。もしDFSが、Apple Cardの公正性を評価するという課題に適切に対処できるように装備されていれば、過去5年間に花開いたアルゴリズム評価のための堅牢な語彙を使用することができただろう。

例えばDFSの報告書は、Joy Buolamwini(ジョイ・ブオラムウィニ)氏、Timnit Gebru(ティムニット・ゲブル)氏、Deb Raji(デブ・ラジ)氏による、2018年に発表された調査の中の有名な規準「equalized odds」の測定については触れていない。同氏らの論文 Gender Shades」では、顔認識アルゴリズムが明るい肌の被験者よりも暗い女性の顔で間違った推測をすることが多いことを証明しており、この推論はコンピュータービジョンだけでなく、予測に関するさまざまなアプリケーションにも当てはまる。

均等オッズは、Appleのアルゴリズムに対して問うべきものだろう。どのくらいの頻度で信用力を正確に予測しているか。どれくらいの頻度で間違った推測をしているか。性別、人種、あるいは障害ステータスの異なる人々の間でこれらのエラー率に違いがあるか。ホール氏によると、これらの測定は重要だが、法制度を完全に体系化するには新しすぎるという。

もしゴールドマンが、現実世界の女性申請者を常に過小評価していたり、黒人の申請者に対して実際に適用されるべきものよりも高い金利を設定していたりすることが判明すれば、こうした十分なサービスを受けていない人々が、全国規模でどのような悪影響を受けるかは想像に難くない。

金融サービスのCatch-22(落とし穴)

最新の監査人であれば、判例によって指示された方法では、マイノリティのカテゴリー内でのセクション間の組み合わせに対する公正性の微妙な差異を捉えることができないことを認識している。この問題は、機械学習モデルの複雑さによってさらに深刻化している。例えば、あなたが黒人で、女性で、妊娠している場合、あなたが信用を得る可能性は、それぞれの包括的な保護されたカテゴリーの結果の平均を下回るかもしれない。

マイノリティのサンプル数は定義上セット内のより少ない数であることを考えると、これらの過小評価されたグループは、その独自性に特別な注意を払わない限り、システムの全体的な監査から利益を享受することはないだろう。このことから、最新の監査人は、各グループの個人の人口動態を明確に把握した上で結果を測定できる「認知による公正性」アプローチを採用する傾向にある。

しかし「Catch-22(落とし穴)」が存在する。金融サービスやその他の厳格に規制された分野では、監査人は最初から機密情報を収集することができないため「認知による公正性」を利用できないことが多い。この法的制約の目的は、貸し手が差別されないようにすることにあった。運命の残酷なねじれの中で、これはアルゴリズムによる差別を覆い隠し、私たちに法的不備の第3の例を与える。

この情報を収集できないという事実は、モデルが十分なサービスを受けていないグループをどのように扱っているのかを知る上で障害となっている。それがなければ、私たちは実際的に真実であることを証明できないだろう。例えば、専業主婦は両方の配偶者の名前ですべてのクレジットベースの購入を実行するわけではないため、より薄い信用ファイルを確実に持っている。マイノリティのグループは、ギグワーカー、チップを受け取る労働者、または現金ベースの業界に属する傾向が極めて高く、マジョリティにはそれほど一般的ではないことが証明されているような所得プロファイルの共通性がもたらされることが考えられる。

重要な点として、申請者の信用ファイルにおけるこれらの相違は、必ずしも真の財務責任や信用力につながるものではない。信用力を正確に予測するには、その方法(例えば信用スコア)がどのようにブレークダウンするのかを把握する必要があるだろう。

AIを使用する企業にとってこれは何を意味するのか

Appleの例で言えば、同社が時代遅れの法律で守られている差別に対抗するために、信用ポリシーの帰結的なアップデートを行ったという話に希望に満ちたエピローグを挙げる価値がある。AppleのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は声明の中で「業界が信用スコアを計算する方法に公正性が欠けている」ことを即座に強調した。

関連記事:アップルが配偶者とティーンエージャーのための「Apple Card Family」発表、ジェンダー差別疑惑を払拭

新しいポリシーでは、配偶者や親が信用ファイルを結合して、信用ファイルが弱い方が強い方の恩恵を受けられるようにしている。これは、世界に構造的に存在する差別を実際に減らす可能性のある措置を先を見越して考えている企業のすばらしい例だ。Appleはポリシーを改訂するにあたり、今回の調査の結果として導入されるかもしれない規制に先んじた。

これはAppleにとって戦略的に有利な点と言える。なぜなら、ニューヨーク州DFSはこの分野を支配する現行の法律が不十分であることに徹底的に言及しており、規制のアップデートは多くの人が考えているよりも間近かもしれないからだ。金融サービス監督官Linda A.Lacewell(リンダ・A・レイスウェル)氏の言葉を借りれば「現在の形での信用スコアリングの利用と、融資における差別を禁止する法律や規制は、強化と近代化を必要としている」。規制当局と協働した筆者の経験では、これは今日の当局が極めて熱心に追求していることだ。

米国の規制当局が、自動化と数学における平等に向けた堅牢な語彙を活用して、AIを統制する法律の改善に取り組んでいることは間違いない。連邦準備制度、OCC(通貨監督庁)、CFPB(消費者金融保護局)、FTC(連邦取引委員会)、連邦議会は、ペースが遅くとも、アルゴリズムによる差別に対処することに意欲的である。

その一方で、アルゴリズムによる差別が横行していると信じるに足る十分な理由が存在する。その主なるものとして、業界がここ数年、学術界の言葉を取り入れるのに消極的だったことが挙げられる。企業がこの新しい公正性の分野を活用できず、ある意味で保証されている予測的差別を根絶できないことに対する言い訳の余地はほとんどない。EUは、今後2年以内に採択される予定のAIに特化した法案に同意している。

機械学習の公正性の分野は急速に成熟しており、毎年のように新しい手法が生み出され、無数のツールがそれを助けている。この分野は今になってようやく、ある程度の自動化によってこれを規定できる段階に達しつつある。標準化団体は、米国の法律の採択が遅れている場合でも、これらの問題の頻度と深刻さの低減に向けたガイダンスを提供し、積極的に関与している。

アルゴリズムによる識別が意図的であるかどうかは、違法性を有する。そのため、医療、住宅、雇用、金融サービス、教育、または政府に関連するアプリケーションで高度な分析を使用している場合、誰もが知らずにこれらの法律に違反している可能性がある。

センシティブな状況下でのAIの無数のアプリケーションについて、より明確な規制ガイダンスが提供されるまでの間、業界はどのような公正性の定義が最善かを自力で判断する必要がある。

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

原文へ

(文:Liz O’Sullivan、翻訳:Dragonfly)

日本のチャレンジャーバンクを目指すナッジが資金調達、次世代型クレジットカード「Nudge」今夏発行予定

日本のチャレンジャーバンクを目指すナッジが資金調達、次世代型クレジットカード「Nudge」今夏発行予定

日本におけるチャレンジャーバンク(新規に銀行免許を取得し金融サービスを提供する企業)を目指すナッジは8月11日、第三者割当増資による資金調達を行うと発表した。引受先は、共同リード投資家のSpiral CapitalとHeadline Asia、既存投資家のジェネシアベンチャーズなど。2月発表の第三者割当増資と合わせて、累計調達額は10億円超となった。また2021年秋ごろの最終クローズに向けて、国内外の投資家や事業提携先との協議を継続する。

2020年2月設立のナッジは、「ひとりひとりのアクションで、未来の金融体験を創る」をミッションとしており、サービス第1弾となる次世代型クレジットカード「Nudge」の発行を2021年夏開始予定という。これは、Android・iOSアプリから簡単に申し込める、使いすぎ防止機能などを備えた提携カード。提携企業や団体が開設する「クラブ」を選んで、カードを使うごとに好きなチームやアーティストを応援できる「クラブ機能」もある。AIを活用した独自の審査手法により。学生や非正規社員、兼業・副業、フリーランスなどでもカード発行が可能になるとのこと。また、利用金額の返済は月に1度の口座引き落としではなく、好きなタイミングでセブン銀行ATM(全国2万5000台以上)から実施可能。

「新たな価値観と行動様式をもつ金融機関のあり方」を模索しつつ、未来の金融体験を作り上げると語るナッジは、現在、チャレンジャーバンクになるために必要な各種事業者登録の準備を進めている。今回の資金調達には、一般向けサービス開始を見据えた関係者向けのクローズドベータサービスの開始と、体制強化を図る目的がある。また、サービス運用体制、顧客ニーズに合わせた機動的な機能増強、サービス開発、人員採用に継続的に取り組んでゆくという。さらに、社外取締役2名を増員して「金融機関に相応しいガバナンスの強化」も行うとしている。

関連記事
年間ユニークユーザー数1580万人の後払い決済サービス「NP後払い」をテレビ通販「ショップチャンネル」が導入
個人向け銀行ローンマッチングの「クラウドローン」が累計1.56億円調達、オリコとの事前審査の連携開始も発表
みんなの銀行とピクシブが連携、「ピクシブ支店」(仮称)独自銀行サービスでクリエイターの創作活動を支援
マイナンバーカード活用のデジタルIDソリューション「xID」がセブン銀行アクセラレータープログラムで採択
ディーカレットが67億円調達、民間発行デジタル通貨と企業独自のスマコン実装が可能なプラットフォーム開発目指す
ウォレットアプリのKyashが約47億円調達、チャレンジャーバンクへの進化目指す

カテゴリー:フィンテック
タグ:クレジットカード(用語)チャレンジャーバンク(用語)ナッジ(企業・サービス)FinTech / フィンテック(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

フィンテックUpgradeがビットコインリワード付きのクレジットカードを発行

フィンテックスタートアップのUpgrade(アップグレード)は米国時間7月21日、新しいクレジットカードを発行する。Upgrade Bitcoin Rewards Cardは、Visa(ビザ)ネットワーク全体で機能する古典的なVisaクレジットカードだ。しかし、支払いのたびに1.5%のビットコインリワードを得ることができる。

Upgradeは、ビットコインリワード付きのクレジットカードを発表した最初の会社ではないが、広く利用できる最初のカードだ。申し込みが承認されれば、すぐにバーチャルカードを使い始めることができる。

BlockFiは、2020年12月にビットコインリワード付きの独自のクレジットカードを発表した。その後すぐにGeminiも追随した。しかし、いずれのカードもまだ広く利用できない。数週間前、BlockFiはウェイティングリスト上の人々を招待し始めた。そのため、一般での利用開始はすぐにやってくるはずだ。

関連記事:Geminiがビットコインリワード付きのクレジットカードを発表

Upgrade Bitcoin Rewards Cardは、クレジットスコアに応じて500〜2万5000ドル(約5万5000〜275万円)の信用枠を提供する。Apple Pay(アップルペイ)とGoogle Pay(グーグルペイ)に対応している。Upgradeの他のクレジットカードと同様に、月々の手数料、遅延損害金、返品手数料はない。

画像クレジット:Upgrade

基本的にこの新しいカードは、Upgradeの既存のクレジットカードとほぼ同じように機能する。しかし、すべての購入に対し、1.5%をキャッシュバックではなく、ビットコインで受け取ることができる。特定のカテゴリー、パートナー小売業者、ポイントシステムはない。シンプルで上限のないキャッシュバックプログラムだ。

8.99〜29.99%の利率が設定されているが、Upgradeは、毎月の料金を24〜60カ月で返済できる分割払いプランにまとめることを推奨している。分割払いにすると、固定金利で毎月均等に支払うことになる。

「Upgrade Cardカードは、すでに年換算で30億ドル(3300億円)以上のクレジットを消費者に提供しました」と、共同創業者でCEOのRenaud Laplanche(ルノー・ラプランシュ)氏は声明で述べた。「今日から、誰もがUpgrade Bitcoin Rewards Cardに申し込み、他のUpgrade Cardと同様に手頃で責任あるクレジットを享受することができ、さらにビットコインを所有することで潜在的な上振れと楽しみを得ることができます」。

同社は、ビットコインリワードのためにNYDIGと提携している。今のところ、ビットコインを使って多くのことができるわけではない。持ち続けるか売却するかを選ぶことはできる。例えば、自分のビットコインを他のウォレットに移す方法はない。リワードを売却する場合は、1.5%の取引手数料がかかる。

また、このカードは50州すべてで利用できるわけではないことも留意すべき点だ。ハワイ、インディアナ、アイオワ、ルイジアナ、ネブラスカ、ネバダ、ニューハンプシャー、ノースカロライナ、ワシントン、ウェストバージニア、ウィスコンシンの各州およびコロンビア特別区の顧客は、現時点ではUpgrade Bitcoin Rewards Cardに申し込むことができない。

再びUpgradeは、トップ・オブ・ザ・ファネル戦略として、製品のポートフォリオを多様化している。クレジットカードの種類の多様化が、この先、より多くのパーソナルローン獲得ににつながるはずだ。

公平を期すためにいうと、Upgradeは、毎月の残高支払い時にリワードを受け取ったら、債務を返済することを奨励している。しかし、同社は、個人がパーソナルローンを必要するときにいつでも同社のことが浮かぶような顧客関係を築きたいと考えている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:BitcoinクレジットカードUpgrade暗号資産

画像クレジット:Upgrade

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi