不正経費自動検知クラウドStena Expense、飲食店の相場価格から会議費・交際費の異常利用を検知するAI機能を追加

不正経費自動検知クラウドStena Expense、飲食店の相場価格から会議費・交際費の異常利用を検知するAI機能を追加

AI活用検知クラウドやサイバーセキュリティ技術を開発・提供するChillStackは3月15日、個人立替領域の不正経費自動検知クラウド「Stena Expense」(ステナエクスペンス)において、飲食店で会議費・交際費として使用された経費が一般的な相場金額から大きく逸脱していないかを判定・抽出する新機能の実装と提供開始を発表した。

今回の新機能では、外部APIとの連携により、飲食店で使用された経費(交際費・会議費に該当する明細)が、該当店舗の1人あたりの相場金額から大きく逸脱していないかを同社独自AIで識別・抽出する。飲食店データベースと連携したStena独自のAI識別エンジンが飲食店データベースを照合して金額の妥当性を判断するという。

不正経費自動検知クラウドStena Expense、飲食店の相場価格から会議費・交際費の異常利用を検知するAI機能を追加

Stena Expenseは、企業における個人立替経費の申請・承認データを元に、AIが自動的に不正や不適切な経費利用を検知する。経費の重複申請や交通費の水増しといった不正検出に加えて、個々の従業員の申請履歴を踏まえて判断することで、「特定個人との多頻度利用」や「特定店舗での多頻度利用」といった不適切もしくは異常と推察される経費利用も検出できる。AI技術を活用することで、人の目では不可能な時系列的・網羅的に経費申請というビッグデータの解析を行い、間接部門の生産性とガバナンス向上を実現する。

主な特徴

  • 経費の承認・チェック業務の負担を増やすことなく、全データの網羅的かつ時系列での精査が可能
  • 申請履歴・傾向を踏まえたチェックにより、経費利用の妥当性確認が可能
  • 不正・不適切・異常の根拠が表示されるため、原因・理由が明瞭
  • 経理部門・業務部門のどちらも使える分かりやすいウェブUI

2018年11月設立のChillStackは、「AIで守り、AIを守る」というビジョンを掲げ、AIで進化させたサイバーセキュリティ技術、AI自身を守るセキュリティなどの技術開発・提供を行っている。Stena Expenseをはじめ、AI技術を活用した不正検知システム「Stena」シリーズを展開している。

中小企業にクレジットカードを提供する支出管理プラットフォーム「Moss」が約97.8億円調達

ベルリンのMossが今週初めに、8600万ドル(約97億8000万円)のシリーズBを発表した。同社は中小企業にクレジットカードを提供して、支出管理が容易にできるようにする。

このラウンドによりMossの評価額は5億7300万ドル(約651億3000万円)に達した。Tiger Global ManagementがこのシリーズBをリードし、A-Starが参加した。合わせて同社の調達額は総額で1億5000万ドル(約170万5000円)近くとなった。

Mossは、支出管理のプラットフォームだということができる。ヨーロッパの競合他社は、SpendeskPleoSoldoなどだ。Mossの強みは、デビットカードでなくクレジットカードを提供していることだ。取引は各決済の数秒後にMossのダッシュボードに表示される。

カード本体だけでなく、従業員はオンライン決済のためのバーチャルカードを作ることができる。何かを買うたびに、Mossの顧客はすべての支出に0.4%の割引がある。

これなら、小さな会社でも1枚のコーポレートカードですべての経費を共有する必要がない。チームリーダーは、従業員ごとに予算を設定し、より簡単に経費を把握することができる。

従業員自身にとっても、ヨーロッパではコーポレートカードはそれほど一般的ではない。Mossに切り替えることで、従業員の経費を自己負担する必要がなくなる。Mossのカードで決済し、レシートを添付すればいい。また、カード決済ができないレストランでは、現金での経費精算もMossで行うことができる。

カード決済以外にも、すべての請求書をMossアカウントで一元管理することで、Mossに頼ることができる。Mossのユーザーは、承認ルールを設定し、ビジネス銀行口座の支払いリストをエクスポートすることができる。

最後に、Mossは、ドイツ市場で人気の会計ソフトであるDatevと統合しているため、会計業務をスピードアップすることができる。今後、このスタートアップは、製品をさらにモジュール化する予定だ。すべてを必要としないのであれば、支出管理スタック全体を使用する必要はないだろう。

Mossは、全体で25万件の取引を処理し、2万枚のカードを発行している。製品はドイツとオランダで提供されている。同社は現在、英国への進出を計画している。

画像クレジット:Moss

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

コロナ禍で売上ゼロから評価額約8265億円へ、支出管理ツールに拡大したTripActionsの314億円増資にフィンテックが貢献

新型コロナウイルス感染症パンデミック以前のTripActions(トリップアクションズ)は、航空券、ホテル、レンタカーなど、企業の出張手配に関するさまざまな側面を経費の追跡と統合する機能で知られていた。

しかし、パロアルトを拠点とする同社は、パンデミックで大打撃を受けたスタートアップの1社となった。共同創業者でCEOのAriel Cohen(アリエル・コーエン)氏によると、世界的な危機のなか、同社の収益は0ドルにまで落ち込んだという。パンデミックにともなうビジネスの減速に直面し、2020年3月には約300人の従業員を解雇したことが話題になった。

パンデミックのわずか1カ月前に立ち上げたフィンテック経費精算プロダクト「TripActions Liquid」のスケジュールを早める決断をしたのはその時だった。パンデミックの影響でどこでもデジタル化が進み、企業の従業員は突如、支出に関する意思決定をオフィスの外からするようになり、多くの業者がデジタル決済を受け入れるようになった。

「出張費だけでなく、会社における従業員の経費の使い方をすべて管理したいという顧客のニーズに応える必要があると、すぐに気づきました」とコーエン氏はTechCrunchに語った。「私たちは、企業の従業員が分散し、出張費の代わりにホームオフィス機器やバーチャルソフトウェアを経費として計上していることを知っていました。そこで、従業員が申請できる経費の種類を増やしました」。

この転換が同社にとって賢い動きとなった。現地時間10月13日、シリーズFの「成長」ラウンドにおいて、バリュエーション72億5000万ドル(約8265億円)で2億7500万ドル(約314億円)を調達したと発表した。Greenoaksがリードしたこの資金調達には、Elad Gil、Base Partners、および「すべての主要な既存のファイナンシャルインベスター」が「力強く参加した」という。既存投資家には、Andreessen Horowitz(a16z)、Zeev Ventures、Lightspeed Venture Partners、Group 11などがいる。

TripActionsは、2021年初めに1億5500万ドル(約175億円)のシリーズEを約50億ドル(5700億円)のバリュエーションで完了した。今回のラウンドをもって、同社は2015年の創業以来、合計13億ドル(約1482億円)を調達したことになるが、そのうち約7億8000万ドル(約861億円)はパンデミックの間に確保したものだ。

関連記事:法人旅行の回復を受けTripActionsが約5191億円の評価額で約161億円を調達、コロナ禍から大逆転

今回の資金調達が注目される理由はいくつかある。まず、同社が、主に「法人向け旅行」を扱うスタートアップから、より広範な支出管理会社へと拡大したことだ。これは、BREXやRampといった急成長中のフィンテック企業と同じカテゴリーに入ることを意味する。しかし、コーエン氏が考える最大の違いは、その2社が「出張とは関連性がなく」、中小企業に重点を置いているのに対し、TripActionsは大企業企業にフォーカスしていることだ。

「TripActionsが企業の旅行市場を破壊し続けているように、TripActions Liquidは従来の支出管理ソリューションに取って代わろうとしています」と同氏は話す。「グローバル規模で大企業向けに単一の統一された旅費交通費精算ソリューションを提供できる企業は他にありません」。

TripActionsは現在、Crate & Barrel、Wayfair、Pinterest、Lyft、Zoom、Toast、Amplitude、Ancestry、Box、Axios、SXSW、Glassdoor、SurveyMonkey、Lennar、Qualcommなど5000社以上の顧客を抱える。

画像クレジット:TripActions

コーエン氏は、売上高について明らかにしていないが、TripActionsの予約件数と売上高は、パンデミック前の水準を超えたという。また、管理下にある出張予算の総額は2倍以上、経費予算は同期間に1400%増加したと付け加えた。また、TripActions Liquidは過去6カ月間で、取引件数が500%以上、アクティブユーザー数が400%近く増加した。最近ではHeineken、Snowflake、Thomson Reuters、Adobeなどの顧客を獲得した。

2020年3月にレイオフを実施した際に約800人だった従業員は、現在は1500人となった。

同社は、新たな資本を主にフィンテックを活用した決済・経費管理ソリューションであるTripActions Liquidの開発強化に充て、よりグローバルに展開することを目指す。

また、最近買収したReed&Mackay(リード・アンド・マッケイ)への「より深い」投資も計画している。Reed&Mackayは、ハイエンドなサポート(TripActionsのVIPや旅費交通費を含む)を提供する代理店だ。また、TripActionsは、ビジネスの30%を占めるまでに成長したヨーロッパでのさらなる拡大も計画している。具体的には、2021年度中に英国、イスラエル、および欧州全域で150人以上の人員を増やす予定だ。

加えて「未来の働き方を目指す企業にとって必要不可欠なツール」となることを目指して、中核であるトラベルへの投資を継続する予定だ。特に、個人向け旅行予約サービスLemonade(レモネード)は、2021年度の予約件数が約10倍に増加したとコーエン氏は述べた。

「パンデミック後の経済状況の中で、企業はパワフルで合理的なトラベルソリューションを求めており、出張・経費業界では大きな変化が起きています」とGreenoaksの創業者でマネージングパートナーのNeil Mehta(ニール・メータ)氏は話す。「TripActionsは、世界の大企業の間で急速に普及しており、世界の旅行が回復する中で先頭に立つのにこれほど適した企業はありません」。

最近自らのファンドを立ち上げた投資家のElad Gil(エラッド・ギル)氏は、TripActionsを「巨大な市場の中のナンバーワン企業」と表現した。「TripActionsは順調に実績を重ねており、今後もそれは続きます」。

「企業の出張需要が回復し始めていますが、TripActionsはその機会を捉えるのに適した位置にいます」とギル氏はメールに書いた。「そして、Liquidのような新しいアドオンビジネスは、順調に拡大しています」。

同氏は、総じてTripActionsが「新型コロナに関連する旅行計画向けの賢い機能を含め、旅行体験をより良くする機能を数多く提供している」と考えている。

画像クレジット:Hamza Butt / Flickr (Image has been modified)

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

経費管理スタートアップのPleoがシリーズCで約110億円調達、新請求書支払いサービスを開始

経費管理ツールや「スマート」なカンパニー向けのMastercardを提供しているフィンテックの後発企業であるPleoは、2021年夏にシリーズCラウンドの資金調達を予定している。また今週中には、B2Bの請求書支払いサービスを開始する。

共同創業者でCEOのJeppe Rindom(ジェッペ・リンドム)氏は、電話で「私達はは2022年までの資金がありましたが、ここ数四半期で信じられないほどの勢いがあり、また多くのインバウンドからの関心が寄せられているので、夏にシリーズCでの資金調達を行い、1億ドル(約110億円)程度を調達する予定です」と語っている。

Pleoはこれまでに7880万ドル(約85億円)を調達している。前回の資金調達は2019年5月の5600万ドル(約61億円)で、主な投資家はSeedcamp、Creandum、Kinnevik、Stripes、Foundersなどだった。

PleoはDext、Soldo、Spendesk、Expensifyなどといくつかのレベルで競合している。

そしてPleoは米国時間4月21日、企業間の請求書支払いとサプライヤーの利用規約を統合し、追跡し、支払うためのプラットフォーム「Bills」をローンチした。このプラットフォームでは、国内送金を無料で行うことができる。

請求書はPleoのOCR技術を用いて自動的に処理され、重複していないかどうかを相互に参照し、真正性を確認した上で支払いが承認される。

さらに、管理者の承認管理や国内送金の無料化も実現する。

リンドム氏は「請求書の処理と請求書の有効性の確認に半分の時間を費やしていると管理者の66%が回答していることから、この複雑なプロセスを単純化し、エンド・ツー・エンドで概要を把握できるようにすることが私達の使命となりました」と付け加えた。

Pleoは、Tradeshiftの初期チームメンバーであったリンドム氏とNiccolo Perra(ニッコ・ロペラ)氏によって、2015年にコペンハーゲンで設立されだ。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Pleo経費資金調達コペンハーゲン

画像クレジット:Pleo founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter