中小企業にHRプラットフォームを提供する独Personioが約130億円調達

2020年はどのように(そしてどこで)働くかが大きく変わり、組織はいかにうまく従業員を管理し、そのためにどのようなツールを使うか再考し始めた。米国時間1月18日、こうした難題を解決するテクノロジーを構築しているスタートアップの1つが、これまでの牽引力を強調する大きな資金調達ラウンドを発表した。

ドイツのスタートアップPersonio(ペルソニオ)は中小の事業所(従業員数10〜2000人)向けに、人材採用や従業員の教育・育成、給与支払い、勤怠管理、その他人事の主な機能をカバーするオールインワンのHRプラットフォームを展開している。同社は17億ドル(約1760億円)というポストマネーバリュエーションで1億2500万ドル(約130億円)の資金を獲得した。

シリーズDラウンドはIndex VenturesとMeritechが共同でリードし、既存投資家のAccel、Lightspeed Venture Partners、Northzone、Global Founders Capital、Picusが参加する。

17億ドルというバリュエーションは1年前の5億ドル(約519億円)から大きな飛躍だ。前年に同社は売上高を倍増させ、前回調達した資金がまだ銀行口座に残っていることから新たな資金調達は考えていなかった。

Personioは現在、欧州に3000もの中小企業の顧客を抱える。

インタビューの中で、共同創業者でCEOのHanno Renner(ハノ・レナー)氏は引き続きプロダクトの構築に調達した資金を使うと述べた。同社のプロダクトはWorkdayに少し似ているが、より小さな組織向けだ。Personioはまた、欧州での事業拡大にも資金を使う。

中小企業は相手するのに難しいセクターかもしれないが、レナー氏は新しい機会が生まれたと話した。新たな考え方を持つ中小企業セクターの人々がモダンで統合されたHRプラットフォームを持つことの価値を認識し始めた。

「我々はミッドマーケット企業のための先最端のHRプラットフォームになるべく、2016年にPersonioを立ち上げました。素晴らしい会社になることはわかっていましたが、HRが真に意味するものを把握するのは難しいかもしれないと認識しています」と同氏は話した。「しかしこれまでに当社の事業を動かしてきたものは、HRが単に重要な部分ではなく、あらゆる事業において最も重要な部分であるということの悟りだったと私は考えます」。

(1つの例として)採用、契約書のサイン、リモートによる新規従業員の教育・育成のためのツールを提供することで、ユーザーを変える魔法になる場合があります、と同氏は話した。それでも同氏は、ミッドマーケット、特にテクノロジー中心になっていない企業の多くはいまだにエクセルのスプレッドシートで、さらに驚くことにはペンと紙で作業をしていて「何年も遅れている」ことを認識している。「より効率的な方法でそうした企業のデジタル化をサポートすることで当社の事業は成長してきました」。

どのように働くかという点での変化が、HRツールの新たな購買欲につながることを望んでいるスタートアップは、Personioだけではない。Hibob(ヒボブ)のようなスタートアップも事業を大きく成長させていて、より積極的にチャンスをつかもうと資金も調達した。

Hibobはさらなるトレーニングツールを構築しようとしていて、これはPersonioも負けずについていかなければならない機能開拓レースだ。

しかし欧州マーケットには2500万社超とかなりの中小企業があり、EUの調査によると全企業の99%を占める。そうした中小企業の多くがまだHRプラットフォームをまったく導入していないという事実からして、この分野で多くのプレイヤーが大きく成長する余地はある。

「中小企業は欧州中で1億人を雇用して欧州経済を支えていますが、主に大企業にフォーカスしていたソフトウェア企業に無視されてきたセクターでもあります」とPersonioの役員を務めるIndexのパートナー、Martin Mignot(マーティン・ミグノット)氏は声明文で述べた。「Personioは中小企業のニーズを解決するテーラーメードのパワフルなツールを作り、そうした状況を変えます」。

「世界で最も成功しているSaaS企業と協業する楽しさがありました。過去5年間のPersonioの成功とマーケットの膨大なポテンシャルを考えたとき、我々はPersonioの成功して影響力を持つ事業を構築する能力をかたく信じています」とMeritech CapitalのゼネラルパートナーAlex Clayton(アレックス・クレイトン)氏は声明文で付け加えた。「ここ数年間、(CEOの)ハノ(・レナー)と数多くの素晴らしい議論を交わし、我々は今、Personioの旅に加わることに興奮しています」。クレイトン氏はまた、資金調達ラウンドの一環としてPersonioの役員メンバーに加わる。

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カテゴリー:HRテック
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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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