MITのコンピューターサイエンスと人工知能研究所が、歩行速度を95から99%の精度で測定する方法を考案した。それは、ウェアラブルや体につける測定器具は使わない。その技術は、チームが“WiGait”と呼ぶワイヤレスの信号を利用し、それを家の中でルーターのような装置から送信して、一定時間内の歩行速度と歩幅を調べる。
このWiGaitシステムは屋内で使用し、目立たない場所にセットアップできる。ユーザーは、いちいち腕輪などの充電を要する器具を思い出して身につけなくても、そのままでいつでも自分の歩行を測れる。歩行速度の測定は臨床研究に大いに役に立ち、健康状態の予測予言に利用できることが、最近ますます立証されつつある。また歩幅の変化は、パーキンソン病などの診断に役に立つ。
WiGaitはそのほかの体調診断方法に比べて、体に何もつけないし、カメラのような気になる器具も使わないから有利だ。たとえば歩幅測定にカメラを使うと、副産物としてプライバシーの心配が生ずる。患者は歩行距離を測るセンサーなどがない方が気楽だし、自分を見張っているカメラがあるより、WiGaitのように壁に目立たないアンテナがある方が余計な緊張をしない。
この開発は、長期的な介護や老人医学にとって大きな診療的意義がある。この二つの分野は、人間の長寿命化と社会の高齢化とともにますます重要だ。この技術のいちばん良いところは、一度セットアップすれば、患者の適応努力に伴うストレスがゼロであることだ。ウェアラブルだと、この適応努力がいつもたいへんである。