中国では半導体技術の独立性を高めることが求められており、それにともない投資家たちはさまざまな種類のチップスタートアップを追い求めている。深圳のファブレスチップデザイン企業であるMoffett AIは、新たにシリーズAの出資を受けた。同社は正確な金額を公表せず「数千万ドル(数十億円)」とだけ述べている。
このラウンドは、CoStone CapitalとGreater Bay Area Homeland Development Fundが主導した。後者のファンドは、中国が香港、マカオ、深圳、および広東省南部のいくつかの都市を統合する壮大なプロジェクトであるGBA(大湾区)経済圏のスタートアップを支援するために設立された金融ビークルだ。
シリーズAラウンドに参加した他の投資家には、Co-Power、Grand China Capital、深圳市政府が「次のHuawei(ファーウェイ)、Tencent(テンセント)、DJIを探し出す」ために設立した戦略的ファンドであるShenzhen Angel Fund of Funds(FOF)が含まれる。2020年3月に実施されたMoffettの前回のラウンドは、1億元(約1600万ドル、約18億円)でクローズされた。
自律走行車からビデオストリーミングのレコメンデーションまで、人工知能は私たちのデジタルライフに欠かせないものとなっている。AI機能の需要が急増しているため、コンピューティングパフォーマンスに負担がかかり、MoffettやFoxconnが出資するKneron(クネロン)のようなAIアクセラレーションを提供する企業が切望されるようになっている。
Moffettは、ニューラルネットワークモデルから冗長情報を取り除き、最終的に処理の高速化につなげるプロセスである「スパース化」と呼ばれる技術を用いて、同社のAIチップを差別化することを約束している。同スタートアップは新たな資金を、同社のスパース技術を利用するパートナーやクライアントの「エコシステム」の拡大と、TSMCが製造する最初のチップ「Antoum」の量産に充てる予定だ。
同社は、このチップのスパース率は32倍で、その処理能力は「国際的なフラグシップ製品」の5~10倍になると主張している。
Moffettは深圳に本社を置き、北京、上海、そして2018年に設立されたシリコンバレーのオフィスにも研究開発チームを置いている。このスタートアップは、カーネギーメロン大学のAI研究者や、Intel(インテル)、Qualcomm(クアルコム)、Marvel(マーベル)、Oracle(オラクル)などに所属していた半導体のベテランたちによって運営されている。
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画像クレジット:Moffett AI
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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)