議会の反トラスト法委員会の、新たに任命された議長に呼び出されたら、いよいよ心配すべき時が来たと覚悟すべきだろう。
ニューヨークタイムズ紙に掲載された論説で、ロードアイランド州選出のDavid N. Cicilline議員は、連邦取引委員会に対し、反トラスト法に抵触する可能性がないかどうか、Facebookの活動を調査するよう求めた。Cicilline氏は、同社が密かな報酬と引き換えに10代の若者のデータを収集していたというTechCruchの独自の調査報告や、その他のスキャンダルを論拠としている。
「何か悪事が明らかになるたびに、Facebookは否定、中身のない約束、謝罪キャンペーンを順番に繰り返します」と、Cicilline氏は書いている。「それでも、何も変わりません。だからこそ私は、反トラスト法と、商業および行政法に関する下院小委員会の委員長として、Facebookの行為が反トラスト法に違反しているかどうかの調査を求めます」。
Cicilline氏の論説は、本来は有効な規制機関であるはずのFTCに圧力をかけることを狙ったものだ。それが現在までFacebookに対して何もできていないために、「重大な信頼性の危機に直面している」と、Cicilline氏は非難している。またCicilline氏は、FTCに対して行動を促す一方で、同じ論説では、Facebookの行為の何が特に問題と考えているのかについて、洞察に満ちた見解を提示している。ちなみに、Cicilline氏が今年、反トラスト法と商業および行政法に関する下院司法の小委員会の有力メンバーに選出された際に、元ニューヨーク市長のBloomberg氏は、彼のことを「ハイテク業界に関する最も強力な人物」と讃えた。
その委員会は、今やハイテク大企業の解体を主軸に据えるまでに関心を高めつつある民主党によって率いられている。そして、シリコンバレーを牛耳る独占的な黒幕に対して、反トラスト法に沿った行動を起こすための強力なメカニズムになり得るものと考えられている。
「何年もの間、プライバシー擁護団体は、Facebookが同意した契約に基づく責務を果たしていない可能性があると、その委員会に警告してきました。委員会は、命令を遂行させることができなかっただけでなく、FacebookによるWhatsAppとInstagramの買収を阻止することもできませんでした。Facebookの支配の拡大を許してしまったのです」と、Ccilline氏は書いている。そして、その巨大企業に何らかの打撃を与えるには、数十億ドル規模の罰金が必要だとしている。先月にもレポートしたように、FTCは数十億ドル規模の罰金を検討していると伝えられているものの、そのような大金による懲罰は、まだ実行に移されていない。
同議員は、Facebookの「略奪的な買収戦略」も問題にしている。将来競合しそうな企業を、脅威となる以前に買収するものだ。それにより、イノベーションが妨げられることになる。Cicilline氏はまた、競合しそうな製品からのAPIアクセスを制限するという同社の決定は、このソーシャルメディアの巨人の「反競争的行為の証拠」だとみなしている。
Cicilline氏は、Facebookがプライベートメッセージング機能を実現するために、自社のいくつかの製品を統合するというマーク・ザッカーバーグ氏の最近の発表を、もはや当然のごとく皮肉に満ちた目で見ている。それは「反トラスト法の施行を妨げようとする危険な権力の掌握」だとしている。2020年の大統領選挙に向けて、反トラスト的な向かい風が勢いづくであろうことを考えると、そうした見通しは、Facebookが今後直面しなければならないことを、はっきりとわれわれに垣間見せてくれる。
「米国の半トラスト法の関連機関は20年以上に渡って重大な独占状態を追求してきませんでした。その間に、企業の集中と独占の脅威は、歴史的レベルに達してしまったのです」と、Cicilline氏は書いている。
「厳格な施行が、長い間先送りにされてきたことは間違いありません」。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)