Instagramを使って、上手に写真を撮れる人はかなりいるようだ。ただ、面白い動画を撮るとなると、また別の話になる。しかしこれまでは、誰もがInstagramを使って動画撮影をする必要があった。そのおかげで動画はみなお遊びレベルのものであるという前提もあったわけだ。ところが先日公開されたInstagram 4.1からは、ビデオのアップロードができるようになった。つまり、プロフェッショナルが高性能カメラで撮影して、高価格な機材を用いて編集し、それを投稿するということもできるようになったわけだ。「お遊び」で許される時代は終りを迎えることになる。
リリースされたのはiOS版およびAndroid版で、Android 4.0 Ice Cream Sandwichに対応したり、ビデオの傾きを修正したりする機能が追加された。しかし多くの人の興味をひいたのは、やはりビデオアップロード機能だろう。競合サービスを展開しているVineでは一部ブランドなどに編集ビデオのアップロードを許可してはいるようだが、一般利用者はVineを使ってビデオを作成する必要がある。
アップロード機能の提供により、Instagram Videoには面白みだけではなく、完成度が求められるようになるかもしれない。これまではInstagramでもVineでも、さまざまな編集技法を駆使した思い通りの作品をアップロードするということはできなかった。しかしこれからは、秒数さえ15秒以下であるならば、思う存分に編集作業を加えたものを投稿できるようになる。過去の作品から良いところを抜き出すというのもありだろうし、またプロモーションビデオのようなものを作ることもできるだろうし、またYouTubeビデオのリミックスなども作成できる。
また、編集作品をアップロードできるようになったことで、ブランドの参入も増加していくだろう。多くの場合、手をあまりかけていないチープな感じのするビデオで、ブランド紹介をすることは忌避される傾向にあるからだ。これからはInstagram用のブランドビデオでも大手エージェンシーに作成を依頼するようなこともできる。15秒という時間は、短いテレビコマーシャルと同じ時間であり、双方で流用するような動きも生まれるかもしれない。つまりInstagramやFacebookの広告プログラムを利用せずとも、Instagram上でテレビCMを流したりもできるわけだ。
広告はともかく、Instagram上で美しいビデオ作品を見ることができるようになるのだろうか。それは間違いなかろう。それは良いことかもしれないが、そうした「高品質」ビデオが増える中で、アマチュアは従来のような「素人ビデオ」の投稿を続けるだろうか。投稿をやめてしまう人も出てくるかもしれない。
Instagramはもともと「簡単さ」(simplicity)を強調してサービスの提供を行なってきた。しかし決して「シンプル」ではない各種編集作業を受け入れることにより、築き上げてきたコミュニティを2つに割ってしまうことになり、そして素人衆をVine世界に追いやってしまうという危険性もあるかもしれない。
[Image Credit: AP Photo/Marcio Jose Sanchez]
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(翻訳:Maeda, H)