Appleはようやくヘルスアプリケーションの著しい見落としを認め、女性にとっての利便性を改善した。 iOS 9のヘルスアプリは女性の性と生殖に関する健康状態の追跡をサポートする。そう、やっとAppleが月経追跡をiPhoneの内蔵機能にしたのだ。昨日サンフランシスコで行われたWWDCイベントで、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当SVP、Craig Federighiは、AppleのHealthKitプラットフォームのアップデートの一環としてこの件に簡単に触れた。HealthKitは、UV暴露、水分摂取、およびユーザーの定住状態に関するデータも保存できるようになる。
Appleが、総合健康管理アプリに含まれることを人口の約半分が期待するであろう機能を見過ごしていたことは、さほど驚くにはあたらない。
現在Appleで従業員に占める女性の割合はわずか30%であり、エンジニアリング職のうち女性はわずか20%だ。そしてAppleは、その多様性の欠如を補う取り組み(WWDC 2015スカラシップ拡大による女性エンジニアの増加、あるいはWWDC 2015のステージに女性幹部を登用 ― 長年にわたりキーノートスピーカーは男性だった ― さらには問題の多い従業員比率はすべて会社自身の責任であることを認めた)を進めているが、ヘルスアプリの問題は、社内の不均衡がイノベーションやテクノロジーの発展に直接影響を与え得ることを示す典型例だ。
ヘルスアプリの発表以来、同社は女性の健康問題を無視していることを広く世間から批判されてきた。The Atlanticが指摘するように、女性は何千年も前から周期を記録し続け、月経と受胎の相関を早くから理解していた。
つまり月経周期記録は、定量的自己追跡の最も古い事例の一つなのだ。
FusionのKashmir Hill記者が怒りをぶちまける:「『健康の全体像を把握する』ことを約束しているアプリが、女性の健康にとって最も重要な要素をどうして無視できるのか?」。
現在AppleのApp Storeは、このシンプルだが極めて重要な追跡機能を提供するアプリが数多くある。女性が妊娠(あるいは避妊)することを手助けするためのアプリとして、BellabeatやGlowがある他、単に生理日が近いことを知らせるアプリもあり、良くできたものもそうでないものもある。
しかし、受胎は月経追跡が有用である唯一の理由ではない。女性なら誰でも知る通り、生理不順は他の健康状態、例えばストレス、体調不良、ホルモンバランス等に影響を及ぼし、周期のタイミングはダイエット、旅行、運動、服薬、授乳その他の変化の影響を受ける。
女性の周期は、総合健康アプリにとって理想的なデータであると言っても過言ではない。
それなのにAppleは、銅摂取やセレン摂取といった比較的ニッチな追跡オプションを、月経周期のように基本的なデータ以前にサポートしてきた。
Appleは、iOS 9のHealthKitに含まれる「性と生殖に関する健康」追跡機能について詳しく語らなかったが、デベロッパー向けサイトにいくつか追加情報がある。
ここにリストされている新しいHealthKit定数には、月経追跡関連のデータがいくつか見られる。頸管粘液(増加は生殖能力の高まりを表し、ユーザーは色と濃度データを入力できる)や出血量(軽、中、重)も追跡できる他、家庭用排卵検査の結果も入力できる。
全体的に見て、AppleのiOS 9ヘルスアプリが、月経周期を主として妊娠に関連付けていることは明らかだ。それが周期追跡の重要な理由であることは間違いないが、それだけではない ― 女性がこのデータを身近に置く必要がある健康関連の理由が数多くあることは上に述べた通りだ。
それでもこれはAppleにとって正しい方向への一歩だ ― そしていつかSiriが十分賢くなって、そろそろタンポンを買う時期だと知らせてくれるようになるかもしれない。無理な願いではないと思うのだが、どうだろうか?
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)