AT&Tの電話回線利用者はAlexaで通話が可能に

Amazon(アマゾン)は、米国時間9月9日、AT&Tと提携し、AT&Tの電話回線利用者がAmazon EchoスマートスピーカーなどのAlexa(アレクサ)対応デバイスを通じて電話の発信と受信ができるようにする新機能を発表した。これが可能になると、Alexa対応デバイスを持つ利用者は、音声アシスタントのAlexaに電話をかけるよう、またはかかってきた電話に出るよう声で命じることができるようになる。電話機が手の届かないところにあっても、携帯電話のバッテリーが切れていても電話ができる。

「AT&T calling with Alexa」(AlexaでAT&T通話)と呼ばれるこの機能は、まずAlexaのユーザーアカウントでの設定が必要となる。

利用したい人は、Alexaアプリの「Settings」(設定)から「Communication」(コミュニケーション)を開き、「AT&T」を選択してから、画面に表示される指示に従い携帯番号をリンクさせる。

リンクが完了すれば、AT&Tの利用者は例えば「Alexa、ジェシカに電話して」または「Alexa、XXX-XXX-XXXXにかけて」(Xには実際の番号を入れる)のように言うだけで電話がかけられる。

電話がかかってきたときは、Alexaは「ジェームズから電話です」のように知らせてくれる。電話を取りたいときは「Alexa、出て」と言えば、Alexa対応機器で相手と通話ができる。

かかってきた電話に出る方法はいくつかある。

Alexaで受ける電話は朝の9時から夕方5時までの仕事時間内のみというように、定型アクションで設定できる。また、「Alexa、出かけるね」などのフレーズを言うことで、そのデバイスでのAT&Tからの電話にを受けないようにする定型アクションを作ることも可能だ。さらに、Alexaアプリでアウェイモードをオンにすれば、家を離れるときに手動でこの機能を無効にできる。

この新機能は、AT&Tの「NumberSync」(番号同期)サービスを使うことで、スマートウォッチ、タブレット、コンピューター、そして今後はAlexa対応デバイスでも利用できる。これは対象となるAT&Tモバイルプランに含まれているため、別途料金はかからない。

Amazonによれば、「AT&T calling with Alexa」は、iPhoneやSamsung Galaxyをはじめとする、AT&T対応の数々のHD Voice携帯電話でも、AT&Tの料金後払い契約の利用者なら使えるという。

この機能を享受できるのは米国のAT&T利用者のみだが、発信だけなら、米国内に留まらず、メキシコ、カナダ、英国への通話でも利用できる。

ほかのキャリアに同様の機能を広げる可能性について、アマゾンは何も語らなかったが、利用者の意見を受けて、将来的にこの機能を発展させてゆくとのことだ。

Alexaをコミュニケーションツールとして利用する機能は以前にもあった。

同社はすでに、Alexa対応デバイスを、家庭内のインターホンと電話を掛け合わせたような存在にする試みを行っている。Drop-In(ドロップイン)という機能では、家の中の別の場所にいる家族の様子を確かめることができる。また、Announcements(アナウンスメント)を使えば、「ご飯が用意できたよ!」のようなメッセージを配信できる。これらに対して、Alexa-to-Alexa Calling(Alexa対Alexa通話)やAlexa Outbound Calling(Alexa外部通話)などは、他のAlexaユーザーや、米国、英国、カナダ、メキシコのほとんどの固定電話および携帯電話の番号に、Alexa対応デバイスまたはAlexaアプリを使って無料通話ができるというものだ。

しかし、これらのサービスでは、かかってくる電話を受けることができず、911などの緊急通報用電話はかけられないため、既存の電話と完全に置き換えるのは不可能だった。

Alexa対応デバイスに合わせて、これまでの携帯電話の使用習慣を変えるというのは、ちょっと難しいように思える。大抵の人は、家の中でさえ、携帯電話を肌身離さず持ち歩いているからだ。

だが、Alexaを実際の電話番号と結び付ける手段を提供することで、Alexaから電話をかけてみようと思う人は増えるかも知れない。

またこの機能は、すぐに電話に出られない高齢者や、緊急事態、歩いて電話を取り入って出ることが困難な要支援者や障害者には有用に思える。

残念ながら、このサービスの利用には、まだ大きな問題点が残されている。迷惑電話だ。現代は、不快なロボットコールやスパムが
大変に多い。高度な迷惑電話ブロックサービスなどで自衛していない限り、これらにいちいちAlexaで対応する手間は、その利便性を台無しにしてしまう。

Amazonは、この新機能は本日よりアメリカ国内で利用可能になると話している。

画像クレジットAmazon

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(翻訳:金井哲夫)