顧客体験管理のSprinklrが4年ぶりに資金調達、評価額2869億円で212億円調達

ここ数年、Sprinklr(スプリンクラー)は10社ほど会社を買収し、コードベースを書き直して同社の顧客体験プラットフォームに統合することに忙しくしていた。米国時間9月9日、このレイトステージ・スタートアップは4年ぶりの資金調達を行い、評価額27億ドル(約2870億円)で2億ドル(約212億円)を獲得する注目すべきラウンドだった。

出資したのは未公開株式投資会社のHellman & Friedmanで、発行済株式の買い戻しにも3億ドル(約320億円)を投資した。SprinklrはSixth Street Growthから転換社債で1億5000万ドル(約160億円)調達したことも発表した。資金調達の世界で4年間沈黙していた会社にとって目立った行動だ。

創業者兼CEOのRagy Thomas(レイジー・トーマス)氏は今回の資金調達について「顧客体験プラットフォームの構築を終えて加速の準備が整い、そのための資金が必要になったからだと説明した。今年中の年間経常収益4億ドル達成を目指し、その先にはずっと大きなチャンスが待っている」と語った。

「これは1000億ドル(約10兆円9)規模の市場だと思っている。大手の競合相手がそのことを実証しており、今後も競争は続くだろう」と同氏は語った。大手ライバルの中にはSalesforce(セールスフォース)とAdobe(アドビ)も入っている。

トーマス氏は顧客体験管理が、かつてのCRM(顧客関係管理)のような成長をしていると見ていて、この資金を得たことで、大手の未公開株式投資会社と連携しつつ、成長を早めるための選択肢が増えると言っている。

「この市場が私たちにとって魅力なのは、銀行にお金をためて成長や革新や市場開拓やM&Aに少しばかり積極的になれることだけではなく、Hellman & Friedmanのような会社と仕事ができる機会を得られたことだ」と同氏は語った。

同社には1000社の顧客を抱えており、年間数百万ドル使っている会社もある。世界25カ所のオフィスで1900人の社員が働いていて、今後1年間で500人増やしたいとトーマス氏は考えている。そして、年間経常収益10億ドルは会社にとって現実的な目標だと信じている。

会社設立にあたり、有色人種であるトーマス氏は「ダイバシティー&インクルージョン(多様性と包括)」を会社の行動理念に盛り込み「Way」と名付けた。「我々にとってダイバシティー&インクルージョンは不可能ではない。ボックスにチェックを入れて自分を売り込むためではない。われわれのDNAに深く存在しているものだ」と同氏。

出資者であるHellman & FriedmanのパートナーのTarim Wasim(タリム・ワシム)氏はこの会社には成長する市場をリードするとてつもないポテンシャルがあると語った。「Sprinklrには、すでに巨大であり成長している顧客体験管理(CXM)市場をリードするまたとないチャンスがある。大企業がCXMをデジタル転換戦略の中心に置くことが急務であることを認識するにつれ、市場は拡大していく」と同氏は声明で述べている。

Sprinklrは2009年の創業で、これまで2016年に1億500万ドル(約111億円)をTemakek Holdingsのリードで調達したのが最後だった。過去の出資者はBattery Ventures、ICONIQ Capital、およびIntel Capitalだ。

画像クレジット:picture alliance / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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