今日(米国時間8/21)午前Facebookは、民族や宗教などにもとづいて広告対象を差別あるいは排除する誤った使い方を防止するために、同サービスの広告ターゲティングシステムを改訂すると発表した。同社はFacebookプラットフォーム上から、誤用により差別的広告を配信する可能性があるターゲティングオプション5000項目以上を削除したと述べた。
このニュースは、ごく最近米国住居・都市開発省(HUD)がFacebookに対して新たな告発状を提出し、同サービスは家主や住居販売業者が公正住宅法に違反することを 助長していると糾弾したことを受けたものだ。同省はFacebookの広告設定は広告主が特定の層をターゲットすることを可能にすることで法を無視していると指摘した。
「Facebookが収集した膨大な個人データを使って広告主の差別を助長することは、人を門前払いするのと同じことだ」と住宅・都市開発省のAnna María Farías次官補(公正住宅・機会均等担当)は同省が発行した声明で言った。
Facebookはこれに対して、こうした行為は同サービスの広告ポリシーで禁止されており、今後もHUDと協力して苦情に対応していくと答えた。
そして本日Facebookは、誤用の恐れのあるターゲティングオプション5000項目以上を削除すると発表した。
「これらのオプションは、特定の商品やサービスに興味のある人々に広告を届ける正当な方法として使用されてきたが、濫用のリスクを最小限にすることの方が重要であると判断した」と同社のブログ記事は説明している。Facebookは、削除されたオプションの一覧を提供していないが、宗教および民族に関係する項目であることは明記している。
また同社は、Ads Managerツールを使って米国の広告主に対して新たな認定を行うことを発表した。このツールの下では、広告主が住宅、雇用あるいはあるいは貸付の広告を掲載する場合、Facebookの差別禁止ポリシーに従っていることを正しく登録しなければならない。広告主は認定を受けるためにポリシーを理解するとともに入力フォームを通じてポリシーに同意する必要がある。
Facebookはこの認定のしくみはいずれ他の国々にも適用され、他のツールやAPIを通じて利用できるようになると言った。
今年Facebookは、差別的広告を掲載前に見つけるためにシステムを改訂し、広告レビュワーを増やすとともに機械学習技術を利用すると 発表した。さらに、広告主がキャンペーンを作成する前に、差別禁止ポリシーに関する警告を表示する新しいプロンプトを導入した。
しかし、これはは単に広告主が一定のオプションを選んで広告対象者をターゲティングする、ということではない——問題は、ターゲティングを使って特定の対象者を排除していることだ。Facebookは4月に、数千個のカテゴリーを人種、民族、性的指向および宗教に関連する項目を使った排除ターゲティングの対象から外した。
しかし同社はその広告ターゲティングツールが悪用される可能性について数年来批判されてきた。
たとえば2016年にFacebookは、住宅、雇用および貸付関連の広告で「民族親和性」に関するターゲティングオプションを 停止した。これはProPublicaのレポートが、これらのツールは住宅および雇用の違法な差別的広告に利用される可能性があると指摘した後のことだった。後にFacebookは、より明確なメッセージを発信するとともに、広告ポリシーを改訂 し、違法広告を識別するツールのテストを開始した。
また同社は最近、広告主が政治的信条、性別、宗教などに関連する興味分野に基づいてユーザーをターゲットすることを許しているとして 非難の的となった。これらのカテゴリーは現行の欧州データ保護法の下で「機密情報」として取り扱われている。同社は当時、ユーザーが自らの広告嗜好を管理できることについて説明してこれに応じた。
本日Facebookは、今後数ヶ月かけて広告ターゲティングをさらに改訂し、ツールの精緻化を進めると語った。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook )