Facebookが大統領選直前にアルゴリズムによる一部の政治・社会問題グループ推奨を一時中止

米国大統領選挙を間近に控え、Facebook(フェイスブック)は、同サイトで最も気がかりな機能を静かに停止した。

米国時間10月28日の上院聴聞会でEd Markey(エド・マーキー)上院議員はフェイスブックのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に対し、同社のグループ推奨が人々を過激なコンテンツに差し向けていると以前からいわれているとする報告について質問した。ザッカーバーグ氏はこれに答えて、一部のグループについてはその機能をすでに無効化していると語った。これはフェイスブックがこれまで公表していなかった事実だ。

「上院議員、私たちはその予防措置として、政治コンテンツあるいは社会問題のグループの推奨を中止する策を講じました」とザッカーバーグ氏はマーキー議員に話した。

TechCrunchは、その時点でどんな種類のグループが対象であり、推奨を停止する期間はどのくらいかをフェイスブックに問い合わせたがすぐに回答はなかった。フェイスブックこの変更について、10月30日にBuzzFeed Newsで正式に認めた。

「これは投票日に備えて当社が講じた対策です」とフェイスブック広報担当のLiz Bourgeois(リズ・ブルジョワ)氏はメールで本誌に伝えた。「いつ再開するかは後日検討しますが、これは一時的なものです」。

この予防措置では、政治および社会問題のグループと対象期間中に新規作成されたグループのすべてについて推奨を無効化する。この変更でどんなグループが影響を受けるか受けないか、あるいはその判断の詳細についてフェイスブックは明言を避けた。

過激思想に注目している研究者は、ソーシャルネットワークのアルゴリズムによる推奨が人々をより過激なコンテンツへと向わせていることを長年問題視してきた。フェイスブック自身、この問題を遅くとも2016年(The Wall Street Journal記事)には認識しており、ドイツにおける過激活動に関する社内発表で、「過激なグループ入会の64%は我々の推奨ツールによる」と報告されてた。これまでの同機能の結果を踏まえ、一部の反ヘイトグループはフェイスブックの中止決定を祝福している。

「フェイスブックがこの選挙期間の予防措置として政治コンテンツと社会問題グループの推奨を中止したのは良いニュースです。これでユーザーはこの大切な時期により安全な体験ができると信じています」と名誉毀損同盟のJonathan A. Greenblatt CEOはTechCrunchに語った。「ただし来週以降、ユーザーがフェイスブックプラットフォームで過激思想に曝されないためには、いっそう多くの対策が必要です」。

フェイスブックでは、おもしろ半分で過激思想や凶暴な考えに手を出すユーザーを、アルゴリズムによる推奨が危険思想を助長し組織化する可能性のあるソーシャルグループへと誘導するおそれがある。フェイスブックが禁止する前、過激極右グループProud Boys(プラウド・ボーイズ)はFacebookグループ利用して、比較的巧妙な全国的募集活動を行っていた。ミシガン州Gretchen Whitmer(グレッチェン・ホイットマー)知事を誘拐したグループのメンバーもFacebookグループを使って組織づくりを行っていたとFBIの宣誓供述書に書かれている。

フェイスブックによる一部グループの推奨中止は一時的な決定と見られているが、最近の危険コンテンツに対する一連の制限措置は前例のないものであり、2020年選挙が再び同社を政治論争に巻き込むことを恐れてのことかもしれない。過去3カ月間だけを見ても、フェイスブックはQAnon民兵組織、およびトランプ陣営による有権者を脅迫しかねない文言に対して強固な措置を講じてきた。同社の長年にわたる無為無策や党派性と見られることへの極端な恐怖を考えると驚くべき態度の変化だ。

比較的無策だった数年間の後、現在この会社は長年培養してきた過激主義に対して部分的に厳格な態度をとっているように思えるが、来たるべき日々は同社の一連の予防ポリシーが試されるときにになるだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook大統領選挙

画像クレジット:Graeme Jennings-Pool / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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