Googleが今日、同社のCloud Platformに関するいくつかの発表を行った。その多くは各種のクラウドデータベースに関するものだが、同時に、コールドデータのための安価なクラウドストレージサービスNearlineのアップデートや、ディスクボリュームの高速化、Cloud Storageでユーザー自身の暗号鍵が使えること、などに関する発表も行われた。
全体としてGoogleが訴えたいのは、同社のクラウドコンピューティングサービスが、プロダクション用途に十分使えるほど成熟している、ということだ。
データベースに関するビッグニュースは、Googleのクラウドデータベースサービスのすべてが今やベータを終えたことだ。たとえばクラウド上で容易に利用でき管理もできるMySQLデータベースCloud SQLの第二世代バージョンも、9か月のベータを終了して一般公開される。
NoSQLデータベースのCloud Bigtableは、非常に大規模なデータ分析と実動負荷を誇っているが、これもやはり、今日から一般供用される。
またWebアプリケーションやモバイルアプリから便利に使えるNoSQLデータベースGoogle Cloud DatastoreのAPIも、ベータを終えた。データベース本体はかなり前から一般供用されていたが、デベロッパーはそれを、Google App Engineの一部としてしか使えなかった。でもAPIが使えるようになると、App Engineの外のアプリケーションでもこのデータベースを使える。同社によると、今ではSnapchatなども使っているCloud Datastoreは、毎月1兆リクエストを処理している。
Googleによれば、これらのデータベースサービスにはベータの期間中にいろんな機能を加えてきたが、今現在でユーザーにとって一番重要なのはSLAが提供されたことだろう。たとえばCloud Datastoreは、SLAにより99.95%の月間アップタイムを保証している。
Microsoftの旗艦的データベースサーバーをGoogle Cloudで使いたい人のために、同社はライセンス込みのSQL Serverイメージを提供している(今ベータ中)。既存のライセンスを、そのまま使うこともできる。ただしSQL Serverのイメージを動かすとGoogleの通常のインスタンス使用以上の費用が発生する。それはSQL Server Standardでは1コア1時間あたり$0.1645、SQL Server Webでは$0.011だが、SQL Server Expressは無料だ。
SQL Serverをクラウドで使うならMicrosoftのクラウドを使うのがベスト、という話になりそうだが、しかしGoogleとしては、エンタープライズユーザーを既存のアプリケーションとワークロード込みで同陣営に鞍替えさせるために、このオプションが欠かせないのだ。しかも今や、エンタープライズ顧客のあいだでは、GoogleのクラウドよりもMicrosoftのクラウドサービスの方が人気がある。
なお、ストレージに関する今日の発表では、コールドデータ用の安価なストレージサービスNearlineが速くなった。NearlineはAmazonのGlacier〔氷河!〕ストレージなどと競合するが、低価格と引き換えに可利用性の保証が低い。これまでのNearlineユーザーは、データアクセスにおいて3〜5秒のレイテンシー(遅れ)を我慢しなければならなかったが、これからは、(Googleのスポークスパーソンによると)“ほとんどリアルタイムだ”そうだ。
GoogleのPersistent Diskボリュームも速くなり、最大リード/ライト(IOPS
)が15000から25000にアップした。データベースアプリケーションだけでなく、そのほかのデータの保存にも便利である。
Googleの今日の発表声明文によると、“Google Cloud Platformをみなさまのエンタープライズデータベースワークロードのための最良のパブリッククラウドにしていくための、従来からの弊社の一貫して多大なる献身の継続において、本日は特別に大きな里程標が刻まれたことになります”、だそうだ。Googleが同社のCloud Platformに関してきわめて真剣であることの、証拠はすでに出揃っていると思うが、それでもまだ不満な人は、今日の発表の内容を見るべきかもしれない。