最近のFacebookのモットーは「素早く動いてぶち壊せ」ではなく、「最後に動いて頂いてしまえ」になっているらしい。
Facebook傘下のInstagram Storiesは1日当りアクティブ・ユーザー2億人を達成した。このサービスはSnapchatのクローンだが、今やユーザー数はSnapchatが株式上場の際に明らかにした1億6100万人を大きく上回る。
Instagram Storiesは昨年8月にスタートし、10月には1億人、1月には2億人を記録している。そして今回2億人だから、規模が拡大しても成長は鈍化していない。この間、InstagramはSnapchatのもっとも進歩したテクノロジーを遠慮なくコピーしてiOSとAndroidアプリのアップデートを通じて世界に公開してきた。
ちょうど1年前、SnapchatはAR〔拡張現実〕テクノロジーを用いた3D Stickerを公開した。動画内の対象にテキストを貼り付けると、対象の動きにつれて拡大されたり縮んだりする。これに対抗して、今日(米国時間4/13)、InstagramはPinning〔ピンする〕と呼ばれるクローン機能を追加した。動画中に3Dで自由にスタンプ〔ステッカー〕やテキストを貼り付けられるほかに、タイムラインをスクラブしてビデオの画像を前後に動かし、スタンプなどをピンする位置を正確に決めることができる。ビデオでそのやり方をデモしている。
Instagramは私の取材に答えて、Pinningは「ビデオにおける標準的なリージョン・トラッキング・テクノロジーを用いている。われわれはユーザーの多くが頻繁にビデオで生活のさまざまな場面を共有していることに気付いた。そこで以前から好評なスタンプ機能をビデオにも拡張しようと考えた。これによってビデオで撮影された場面にさまざまな個性を加えることができるはず」と述べた。
InstagramにはSnapchatのScissorsとほぼ同様の機能もある。昨年12月にInstagramに追加されたこの機能は画像の一部を切り抜いてカスタム・スタンプに利用できるようにするものだ。InstagramのSelfie StickersはStickersのタブからカメラを開きセルフィーを撮り、ぼかしや縁取りを選んで自分の顔を貼り付ければよい。ただし既存の画像からは切り抜きができないで注意。
Instagramはまた地理情報を簡単にペーストできるGeostickers〔ジオステッカー〕のカバー地域を東京、マドリッド、ロンドン、シカゴに拡張した。この機能もSnapchatのコピーだが、先月ニューヨークとジャカルタを対象に公開されていた。 Snapchatと同様、最近利用したスタンプがトレイのトップに表示される。またInstagramがとうとうハンズフリー録画機能をサポートした。録画ボタンを押し続けている必要がなくなった。カウンターに秒数が表示されるのでどの時点でVサインを出せばいいかも判断できるのだろう。
InstagramがSnapchatをコピーするスピードはますます速くなっているようだ。
- Stories:Snapchatは2013年10月、Instagramは2016年8月(2年10ヶ月後)
- 位置情報:Snapchatは2014年6月、Instagramは2016年3月(1年9ヶ月後)
- ARスタンプ:Snapchatは2016年4月、Instagramは2017年4月(1年後)
- カスタム・スタンプ:Snapchatは2016年12月、Instagramは2017年4月(4ヶ月後)
現在SnapchatにあってInstagramにない大きな機能はアニメ化されて動くマスクだが、MSQRDの買収によりFacebook Messengerはすでにこの機能を備えている。一方、Instagram StoriesはSnapchat全体よりも多くのユーザーを集めていることが明らかになったので大規模なキャンペーンを考えている広告主にとっていっそう魅力的な媒体となったはずだ。
木曜日にInstagramがSnap風の自動的に消えるダイレクト・メッセージ機能をリリースしたとき、Snapの株価はわずかに下がった。今日、Instagram StoriesがSnapを規模で追い越したというニュースが伝えられるとSnapの株価は1.25%下がった。
Snapchatの成長率はInstagram Storiesがスタートしたときに82%ダウンした。上場以後最初の四半期決算の発表を来月に控えるSnapに対して、ユーザーの拡大を取り戻せるかどうかに投資家の注目が集まっている。新しい情報共有プラットフォームとしてSnapchatが生き延びてInstagramとの競争を続けることがでるかどうかは成長率にかかっている。これが低いままだとウォールストリートの懸念は一気に高まるだろう。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)