SlackとAtlassianが連携を強め、製品の統合をさらに進める

テック企業間の「パートナーシップ」の多くはプレスリリースの内容を大きく超えることはなく、大して身の入らない共同販売の試みのようなものだったりする。2018年にAtlassianがチャットサービスをSlackに売却したとき、両社は新しいパートナーシップを作っていくと述べた(Atlassianのブログ)。Atlassianがチャットのサービスを終了し、多くの人がその真の意味を懐疑的な目で見ていた。

それ以降、両社のコラボレーションについてはあまり聞こえてこなかった。しかし米国時間8月13日、両社はこれまで取り組んできた深い統合、特にSlack内での統合について発表した。

画像クレジット:Atlassian

この2年間でSlackとAtlassianは11のプロダクトの統合をリリースし、現在では毎月のアクティブユーザー数はおよそ100万人となっている。最も多く使われているのはJiraとの統合で、Atlassianが2020年5月に買収したHalpがそれに続く。

Atlassianは毎月4200万件のJiraの通知をSlackに送っており、その数は増え続けている。

両社の統合の要は、Slackのダイレクトメッセージでも公開チャンネルでもプライベートチャンネルでも、Atlassian製品へのディープリンクをリッチに展開できることだ。この展開の機能はまもなくSlackのデフォルトの機能となり、Atlassianのユーザーになっていなくても展開したものを見られるようになる。

Slackの事業開発および経営企画担当VPであるBrad Armstrong(ブラッド・アームストロング)氏は「現時点では、Jiraのユーザーでない場合、あるいはユーザーであっても認証はしてはいない場合、Jiraのリンクをチャンネルに送信すると単にリンクだけが表示される。展開の利点を活用することはできない。そこで、ログインしているかどうかに関わらず、さらにはAtlassianの顧客であるかどうかに関わらず、展開したものを誰でも見られるよう取り組んでいる」と述べている。

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両社はプロダクト間を容易に切り替えられるようにすることについても緊密に連携してきた。例えばJiraのユーザーであればSlackでリンクをクリックでき、Atlassianのアカウントにログインしていない状態であれば自動でログインされるようになる。両社は連携をさらに進め、Slackから来たユーザーには自動でJiraのアカウントを作成できるようにする。

アームストロング氏は「ユーザーでなくても、リンクをクリックすればSlackからのマッピングでJiraのユーザーアカウントを自動で作成してプロビジョンし認証するので、即座にJiraのユーザーとしてSlackのコンテンツの一部を共同作業で利用できるようになる」と説明する。

このようにして、SlackがAtlassianのプロダクトスイートにアクセスするためのパスポートのようなものになると両社は説明している。そうなれば、新規ユーザーもこれまでよりずっと簡単に使い始めることができるはずだ。

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Atlassianのプロダクトパートナーシップ責任者であるBryant Lee(ブライアント・リー)氏は「おそらく想像がつくと思うが、使い始めることは大変だ。役割やチームの規模など異なる要素がたくさんあるので難しい。認証の問題もあり、検出した情報を展開するには何が実践されているのかを理解する必要がある。しかし我々が見ているのは、単にプロダクトではなく人とプロダクトと実践だ。つまり我々は、人を理解して最適化しようとしている」と述べた。

こうした新たな統合はまもなく公開されるが、さらに両社は共同マーケティングの取り組みも拡大し、まずはSlackを利用したいAtlassianユーザーに対して50%の割引を提供する。

Slackの共同創業者でCEOのStewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)氏は「我々はこの2年間、パートナーシップを成功させるための強固な基盤を作ってきた。その結果、ともに顧客獲得に大いに弾みをつけ、影響力のあるプロダクトの統合を成し遂げてきた。SlackとAtlassianの戦略的な提携により、両社は開発者チームに最適なテクノロジースタックになった」と述べている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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