Teslaが2021年「早期に」インドでEV事業開始へ、生産も視野

Tesla(テスラ)は2021年「早期に」インドで事業を開始する。テクノロジーを駆使している車メーカーTeslaが、世界で2番目に人口が多いインドのマーケットに来年参入すると確信していると述べた翌12月28日、インドの大臣が明らかにした。

Teslaの事業は2021年早期に販売で始まり、その後車の組立・生産も「おそらく」検討する、とインドの運輸大臣Nitin Gadkari(ニティン・ガッカーリ)氏がIndian Express(インディアン・エクスプレス)紙に述べた。来年の早期とはいつなのか? 絶対に来月ではない、とTeslaのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はツイートした。

同社は何年もの間、インド進出に関心を示してきた。しかし2018年のツイートで、同氏はインドの「政府規制」が障壁となっている、と述べていた。

世界の他の国でもそうだが、マスク氏はインドに数千万人のファンを抱える。ほんの一握りの人だけが2016年に1000ドル(約10万円)を払ってModel 3をプレオーダーした。後に同氏はインドの顧客への納車遅れに関してインドの規制を非難した。

「おそらく私は嘘を吹き込まれたのだろうが、パーツの30%はインドで調達したものでなければならないと伝えられ、それに応えるだけのサプライはインドには存在しない」と2017年にツイートした。

Teslaは長年グローバル展開に注力していて、今ではオーストラリア、カナダ、中国、日本、メキシコ、それから欧州各国にショールームを設置し、2013年にはオランダのティルブルフに最終組立工場を開所した。しかし同社が米国外での車両生産を開始したのは2019年だ。同年後半にTeslaは上海の工場で電気自動車の生産を開始した。同社はベルリン、そしてテキサス州オースティンにも工場を建設中だ。

米国、韓国、そして中国の企業にとってインドは世界最大の激戦地の1つとなっている。そうした企業はユーザー・顧客ベースを拡大させるために南アジアのマーケットに注目している。たとえば、ユーザーの数という点でインドを最大のマーケットとしてとらえているFacebook(フェイスブック)と Google(グーグル)は今年、インドの通信大手Jio Platforms(ジオプラットフォームズ)に数十億ドル(数千億円)規模の額を出資した。Apple(アップル)は近年、インドのスマホマーケットのシェアを拡大すべくインドでの生産を増やしてきた。インドのスマホマーケットの70%超を中国スマホメーカーが牛耳っている。

ここ何年かの間で1000以上の「古い法律」を廃止したと主張するインド政府は以前、マスク氏が指摘した悩みの種を認めていた。過去3年でインドは、電動車両への移行を促し、また石油消費を減らし大気汚染を抑制するのに役立つバッテリーの生産やイノベーションを加速させるために、車メーカーに対し数十億ドル(数千億円)ものインセンティブを提案してきた。

インドはまた、配車サービスのUber(ウーバー)とOla(オラ)に、同国で展開する車両の40%を2026年4月までに電動タイプに換えることを提案した。

今年初めにアムステルダム拠点のEtetgoを買収したインド企業のOlaは今月、インド南部のナミルナドゥ州に「世界最大のスクーター工場」を設置するために3億2700万ドル(約340億円)を投資する計画だと述べた。同社によると、工場設置で新たに1万人以上の雇用を生み出し、初期生産能力は年間200万台だ。

インドのナレンドラ・モディ首相が支援しているシンクタンクNiti Aayogが今年初めにまとめた提案書には、電動車両が広く浸透すれば、今後10年で石油輸入費用を400億ドル(約4兆1500億円)削減できるかもしれない、と書かれている。

ガッカーリ氏はインドのメディアに対し、インドが5年内に車生産の最大のハブになると期待している、と述べた。

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画像クレジット: Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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