WWDCで発表されたiOS、macOS、watchOSのおいしい部分まとめ

米国時間6月3日のWWDCの基調講演では、予想通り多くのものが発表された。そのすべてを見終わってみると、なんだかAppleは、今回取り上げた新機能の間で競争を繰り広げていたようにも感じられた。全部を2時間ちょっとのイベントに詰め込まなければならなかったのだから、それも当然だろう。

多くの人にとって、新しいMac Proが今回の発表のハイライトに見えただろう。ただしAppleとしては、ソフトウェアに焦点を当てていたのは確かだ。Appleは、ハードウェアの売り上げが伸び悩むにつれて、やはり将来はソフトウェア、サービス、そしてコンテンツにかかっているのだと、痛切に感じているはずだ。今回の基調講演では、iOS、macOS、そしてwatchOSが提供することになる新しい機能の中でもベストな部分を、解説付きで観ることができた。

驚くべきことではないが、その中ではiOS 13が最も大きな変更をもたらす。ダークモードは、いわばその中のハイライトだ。この機能のセールスポイントは、macOSなど、他のOSのものと基本的に変わらない。つまり、目に優しく、バッテリーの消費を抑えるというもの。ユーザーの設定によって、常にそのモードを使うか、太陽が沈んでいる間だけ有効にするかを選ぶことができる。

ダークモードにすると、自動的に暗い壁紙が選ばれる。とりあえずAppleの純正アプリで動作するが、やがてサードパーティ製アプリもサポートする。また、アプリ開発環境も標準的にサポートするはずだ。

Appleマップは、登場した直後には鳴かず飛ばずだったが、大きなアップグレードがずっと加えられてきた。今回の新機能で最も注目に値するのはLook Aroundだ。Googleがずっと前から実現しているストリートビューに対抗するものとなる。デモを見る限り、非常にスムーズに動作する。ただし、実際に路上のセルラーネットワーク環境でどのように動くかはわからない。しかしデモは、間違いなく印象的なものだった。

イメージングに関しては、これまでもiOSにとって重要なアップグレードのポイントとなってきた。それは今回も同じだ。写真アプリの編集機能はかなり進化している。ホワイトバランス、コントラスト、シャープネス、ノイズ除去など、プロっぽいコントロールが可能となった。

簡単に使えるフールプルーフ的な機能も加わっている。たとえば、肌の色に影響を与えずに彩度を調整する機能などだ。また、画質や色調の調整や、全体の回転など、ビデオに対して使える編集ツールも加わった。また写真アプリでは、撮影した写真の1画面の表示数、並べ方をダイナミックに変更できる。たとえば、誕生日に撮影した画像をグループ化して表示すれば、時の経過を嫌でも再認識することになるだろう。

今年の基調講演は、iPadにとって、大きな節目となるものだった。iPad用のOSが、iPhone用のiOSから分離されたからだ。ユーザーにとっては、iPadの大きな画面を活かした機能を利用できるようになることを意味する。たとえば、同じアプリのウィンドウを複数開いて、これまでとはまた違う意味のマルチタスクも可能となる。さらに、ジェスチャーによってテキストを選択したり、コピー&ペーストまでできるようにもなる。こうしてiPadOSは、パソコンの操作感覚に近づいていく。

しかし、それより何より、最もエキサイティングな新機能は、実はMac側にあった。macOS Catalinaは、DuetやLuna Displayのようなセカンドディスプレイ機能をiPadに付加する。つまり、iPadをMacの外部モニターとして利用できるのだ。この機能は、Bluetoothによる無線接続でも、USBによる有線接続でも使える。

WWDCの会場は、無線通信にとっては過酷な環境のためか、デモは有線接続で行われた。複雑な操作にも対応して完璧に動作したことは言うまでもない。iPad Proなら、Apple Pencilで描くこともできる。また、iPadのディスプレイの下部には、Touch Barのようなメニュートレイも表示される。

watchOSについても、いくつか付け加えておく価値があるだろう。中でも重要なのは、月経周期の記録、予想機能だ。この機能はiOSでも利用できるようになる。これまでとはまた違った意味での健康管理を可能とするもの。

その他、watchOSに追加される機能としては、オーディオブックをApple Watchで直接聴くための純正アプリ、内蔵マイクを使用して、聴覚障害の原因となる可能性のある騒音をユーザーに警告するNoiseアプリなどがある。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。