ケープタウンを拠点とするクラウドソーシングのスタートアップZindiは、創業以来アフリカ中のデータサイエンティストのデータベースを構築してきた。
複雑な問題を解決するために、AIと機械学習を使用する1万2000人の人材がそのプラットフォームには登録されているが、現在同社は、新型コロナウイルス(COVID-19)へのソリューションに対して賞金を提供しようとしている。
Zindiは、新型コロナウイルスの蔓延と混乱を食い止めることに焦点を当てた、オープンコンペティションを行っており、4月にはハッカソンを開催する予定だ。AI4Dが主催する現在のコンペティションは、データを使用して新型コロナウイルスの世界的な広がりを予測することができるモデルを、今後3ヶ月の間に作成することを、サイエンティストたちに課している。
コンペティションは 4月19日まで受付しており、提案されたソリューションはこの先の実際の数値で評価され、勝者は 5000ドル(約55万円)を受け取る。
このコンペティションは、差し迫った民間または公共部門の課題を集約し、解決策を求める人と問題解決者をマッチングさせることができるプラットフォームを構築するという、Zindiのビジネスモデルに合致している。
2018年に設立されたこのアーリーステージベンチャー企業は、企業、NGO、政府機関がデータ指向の課題を中心とした、オンラインコンテストを開催することを可能にしている。
Zindiのビジネスモデルは、アフリカ内外の著名な企業からの注目を集めている。これまでにコンテストを主催してきた企業として、Microsoft、IBM、そしてLiquid Telecomなどの名前を挙げることができる。南アフリカ政府やユニセフといった、公共部門の関係者も、交通安全や農業改革など、さまざまな課題に向けてZindiを利用している。
ZindiのCEOであるCelina Lee(セリーナ・リー)氏は、この新型コロナウイルスのような状況を正確に予想していたわけではないが、今回の事態は、彼女が南アフリカ人のMegan Yates(ミーガン・イェーツ)氏ならびにガーナ人のEkow Duker(エコウ・ダッカー)氏と、Zindiを共同設立した理由の1つなのだと考えている。
アフリカのデータサイエンスの専門知識を応用して、新型コロナウイルスのような複雑な健康危機の問題を解決できる能力の提供こそが、Zindiの存在理由だと、リー氏はケープタウンからの電話でTechCrunchに説明した。
「オンラインプラットフォームとして、Zindiは、データサイエンティストたちを、アフリカ全体および世界中から大規模かつ安全に、自宅から動員できる有利な立場にいます」と彼女は言う。
リー氏は、得られた知見によって、アフリカがエピデミックや病気の被害者であり、また発生源であると考える人が多くなったと説明した。「私たちは、アフリカが実際に、世界のソリューションに貢献できることも示したかったのです」。
新型コロナウイルスの登場によって、Zindiはその創業者、スタッフ、そして世界にも影響を及ぼしている問題を緩和するために利用されている。
南アフリカは3月20日に新型コロナウイルスのためにロックダウンが行われたために、リー氏はケープ・タウンで屋内避難を行いながら、TechCrunchと連絡を行った。Zindiの創業者は、新型コロナウイルスが世界的に広まったために、ニューヨーク在住の義理の家族や、サンフランシスコの家族も同様の状況で暮らしていると説明した。
リー氏は、同社が提供するチャレンジが、新型コロナウイルスの蔓延と共に、アフリカの国々が活用できるソリューションを生み出すことができると考えている。「ケニア政府は、ICTセクターの企業を参画させたタスクフォースを開始したばかりです。なので、関心を寄せて貰えるのではと思っています」と彼女は言う。
また4月からは、Zindiは新型コロナウイルスに焦点を当てた、6回の週末にわたるハッカソンを開始する。
アフリカでの新型コロナウイルスの現況を考えると、それはタイムリーなことかもしれない。大陸の国別感染者数は、3月上旬には1桁台だったが、先週には急増している。これを受けて世界保健機関(WHO)の地域責任者であるMatshidiso Moeti(マティシディソ・モティ) 博士 が、アフリカ大陸でのウイルス感染の急速な拡大に警告を発することになった。
3月25日の時点でのWHOの統計 によれば、サハラ砂漠より南の地域には1691人の新型コロナウイルス症例が確認され、29例のウイルスに関連した死亡が確認されている(先週の3月18日の時点では症例は463人、死者は10人だった)。
アフリカでの新型コロナウイルスの流行を受けて、各国やZindi のようなスタートアップは、より広範な対応の一環として、アフリカ大陸のテック企業を巻き込むように訴えている。ガーナ、ナイジェリア、ケニアの中央銀行とフィンテック企業は、世界保健機関がウイルスの蔓延の経路として注意を促した現金ではなく、モバイルマネーの利用を促進するための対策を採用している。
大陸最大のインキュベーターであるCcHubは、新型コロナウイルスとその社会的および経済的影響を抑制することを目的とした、技術プロジェクトのファンディングと公募を開始した。
アフリカ全土を覆うeコマース企業Jumiaは、医療施設や従事者に物資を配送するために、同社のラストマイル配送ネットワークの提供をアフリカの各国政府に対して申し出ている。
ZindiのCEOであるリー氏は、同社の開催する新型コロナウイルス関連のコンペティションが、政策立案者たちがウイルスの蔓延と戦うための追加の手段を提供できることを期待している。
「今開催中のものは、うまくいけば、病気の広がりを予測し、国の高リスク地域をより正確に予測することができるように、政府に対して情報を提供することができるようになるはずです」と彼女は語った。
画像クレジット: Sam Masikini via Zindi
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(翻訳:sako)