EvernoteのDevcupと呼ばれるハッカソンにも参加しているPostach.ioがなかなか面白い。Evernoteのノートブックをコンテンツ・マネジメント・システムとしてブログを構築するものだ。提供しているのはバンクーバーのInput Logic。サービスを提供し始めて4週間ほどだがEvernoteともマネタイズについて話をしつつ、また投資家からの資金も獲得している。
Input Logicの設立は2年前のこと。UIデザイナーのShawn AdrianとプログラマーのGavin Vickeryの2名が、まずはソフトウェア開発会社として立ち上げた。そして見積書の自動作成を行うQuoteRobotの提供を開始し、その他にも契約書作成ツールなどを開発した。チームはフルタイム2名を含めて5名となり、Nest、Michael Kors、スキーリゾートのMt. Washingtonなどに、システムの提案から開発など、種々のIT系サービスを提供してきた。
しかし、今後はPostach.ioに注力していきたいと考えているのだそうだ。
Adrianによれば、本人もVickeryも当初はEvernoteを使っていなかったらしい。多くの人が使っているのは知っていたが、どちらかと言えば冷めた見方をしていたわけだ。しかしFull Stackのパートナー(この度Input Logicに20万ドルの投資を行った)であるLance Traceyの勧めにより、活用法を探ってみることにした。
「使ってみるうちに可能性に気付かされ、とくに開発担当のGavin Vickeryが深くめり込んでいくことになったのです」とAdrianは言っている。
そして両名はQuoteRobotのドキュメントなどをEvernoteで管理するようになった。そうするうちに、ドキュメントの管理ツールとしてのみではなく、直接にパブリッシュ(公開)する仕組みを作れないものかと考えるようになった。Vickeryも、自身のブログ記事を全てEvernoteで作成管理していた。直接に公開できる仕組みを作れば話が早い。そう考えたわけだ。
そんなわけでPostach.ioが生まれることとなった。
これまでにさまざまなCMSを使ってきた経験を活かし、簡単なブロギングシステムに必要とされる機能をすべてPostach.io上に実装した。たとえばテーマのカスタマイズ、RSS(Atom)のフィード機能、Disqusを利用したコメントシステム、マルチメディアコンテンツへの対応などは当然に実現されている。Evernoteに保存できるもの(画像、音声、ビデオ等)はすべて、コンテンツとして活用できるようにもなっている。
現在のところ利用できるテーマは数件程度であり、シンプルで必要最小限のものとなっている。今後は本体の機能を追加していくとともに、たとえばEvernote FoodやHelloなどの利用者のために、適したテーマを開発するなどしていきたい考えだ。機能的には、各種ソーシャルネットワークとの連携や、ウィキ機能、あるいはコミュニティ機能なども実現したいと考えている。こうした機能があれば、自分のコンテンツをいろいろな方法でアピールすることができるようにもなる。
Postach.ioを使うには、アカウントを取得してEvernoteと連携させるだけだ。連動するノートブックを指定して、保存アイテムに「published」のタグを付ける。すると当該アイテムがブログ上で記事として公開されることとなる。Evernoteの日付指定を利用して、予約投稿を行うこともできる。
ブログはyourname.postach.ioといったサブドメインで公開される。但し、プレミアム版で独自ドメインで運用することもできるようにしていく考えだ。
プレミアム版についてはまだ詳細は未定で、独自に有料版を展開していくのか、あるいはEvernoteの利用者をEvernote Premiumに転換させるアフィリエイトシステムを活用すべきかを考えている。現在のところはプロダクトの機能を充実させ、そして利用者を拡大させることに注力しているわけだ。ちなみに4月にプロダクトの発表を行なって以来、1500名の利用者を獲得しているそうだ。
言うまでもなく、競合となるブログプラットフォームは数多く存在する。Tumblr、WordPress、あるいはBloggerのような大手もあるし、Medium、Svbtle、そしてPosterousからのデータ移行を狙ったPosthavenなど、新たに登場してきたものもある。このような中、Postach.ioとしては、既に多くの利用者を集めているプラットフォームを活用するという方向性にて、差別化できるものと考えている(そうした考えを持っているのはPostach.ioだけではない。Everblogや、あるいはこちらのIFTTTレシピなども同様な狙いを持つものといえよう)。。
「Evernoteを活用する場合、コンテンツがEvernote上にあるという安心感もあります」とAdrianは述べている。「たとえば私たちのサーバーが雷に打たれて使えなくなるようなことがあっても、利用者の方々のコンテンツデータが失われてしまうようなことはないわけです」。
使ってみたいと思う人は、こちらでサインアップすることができる。
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(翻訳:Maeda, H)