昨年11月に開催されたTechCrunch Tokyoスタートアップバトルに出場してくれたCFOが全自動クラウド型会計ソフトfreeeのリリースを発表した。このサービスは従来の面倒な経理業務をクラウド上で行ってくれるサービスだ。
本誌では昨年12月にはシリコンバレーのベンチャーキャピタルDCMから5,000万円の資金を調達した際にも取り上げているが、ロゴのイメージが大幅に変更されたので気づかない方も居るかもしれない。特徴的だった雲の上で足を組んだおじさんのロゴは廃止され、素早いイメージのツバメに変更された。
freeeは既存の会計サービスと最終目標は同じだが、仕組みが興味深い。ユーザーの銀行やクレジットカードのWeb口座をfreeeと同期し、入出金明細を取得することでデータを解析してくれる。
解析したデータは自動的に仕訳してくれるので、Web上に履歴が残っているものならばほとんど自分で作業をする必要はない。例えば、明細に「タクシー」という単語が入っていれば、「旅費交通費」に紐づけるように単語ごとに適切な仕訳をしてくれるそうだ。
もちろん、明細によっては的確に仕訳されないこともあるだろう。CFO代表取締役の佐々木大輔氏によると、ベータ版運用時にはクライアントにもよるが、精度は7割から8割程度だったという(銀行よりもクレジットカードの方が詳しく記載されているので、クレジットカードの方が精度は高くなる)。
8割程の精度があれば、かなり経理業務の負担が軽減される。しかし、Web口座をサービスと連携することには抵抗を持つユーザーは多いだろう。そのためfreeeはこの課題をクリアしなければならない。
この点に関してはfreeeは個人情報の取扱いにおいて一定基準の安全性を確保している証拠であるTRUTe(トラストイー)による認証を取得してあるし、データ自体はファイアーウォールで遮断された場所に保存されてあるので安心して欲しいと佐々木氏はいう。
それでも、ユーザーの中には最初はWeb口座を連携せずにCSVでファイルをアップロードし、仕訳をする企業もあるだろう。だが、何度も繰り返し利用するうちにfreeeの利便性が不安に勝ち、最終的にはWeb口座を連携してくれると考えているそうだ。
総務省によると日本の中小企業における平成24年度のクラウドサービス利用率は17パーセント(米国は54パーセント)であり、佐々木氏によると、クラウド型の会計ソフトとなると利用率1パーセント程度だという。
米国ではクラウドサービス利用率54パーセントのうち、ある一定の割合は会計ソフトも含まれているというので、日本でも浸透するのは時間の問題かもしれない。
今後の展開としては、請求書の作成や管理機能、APIの提供、ネイティブアプリの開発などを予定している。
freeeは本日から6月末までは全て無料で利用でき、その後はフリーミアムモデル(無料、月額980円、1,980円)で提供される。