日本のスタートアップであるBHIが、本日10月20日よりLINEでメールの送受信やタスク管理ができるチャットボット「SwingBot」をリリースする。LINE上で動作するパーソナルアシスタントによって、非実用的で重要度の低い情報を自動的に省き、重要度の高い情報だけを届けることが目的だ。
SwingBotの機能はLINEで直接メールの送受信をする機能と、タスク管理機能だ。
LINEで直接メールの送受信、タスク管理も
Gmailやキャリアメールを受け取ると、チャットボットがLINEで通知してくれる。メールアプリに移動することなくLINE上で直接メールに返信することも可能だ。BHI株式会社のCEOである日昔 靖裕氏によれば、「チャット上で直接メールの送受信ができるのは、これが世界初」だという。
もう一つのメイン機能であるタスク管理機能では、Googleカレンダーなどのサービスと統合することでチャットボットがその日の予定やタスクを教えてくれる。「今日の予定は?」などと質問することでチャットボットが回答したり、「〇〇をタスクに追加」と伝えれば、LINEから直接タスクを追加することが可能だ。
既存サービスとの連携でチャットボットの精度アップ
スケジュール管理ができるチャットボットのx.aiなど、最近ではプロダクティビティ系のチャットボットが次々に誕生している。そのような状況のなかで、SwingBot独自の強みとは何だろうか。それは、BHIが提供する既存サービスのSwingmail(メールアプリ)とSwingdo(タスクアプリ)の存在だ。
メールアプリのSwingmailでは、メールとFacebookメッセージ、TwitterのDM、アプリ経由でかけたFaceTimeなどの通話履歴を全部まとめて見ることができる。他のメールアプリとの違いは、コミュニケーションする相手ごとにアプリ横断的にすべての履歴を管理することができるという点だ。現在、Swingmailは連携アカウントが計10万、メール総数は6000万通という実績を持っている。Swingmailについては過去にTechCrunchでも紹介している。
Swingmailの特徴の一つに、重要度の高いメールを自動で認識するという機能がある。例えば、Swingmailでは「ユーザーがその相手とすでに連絡を取っている」という事実によってメールの重要度を認識するようになっている。このSwingmailと連携してSwingBotを利用することで、チャットボットが重要度の高いメールだけを通知することが可能なのだ。
また、タスクアプリのSwingdoではタスクと位置情報が紐づけられている。これにより、ユーザーの現在位置情報をもとにボットが自動的にタスクの優先順位を変更し、それを通知するということが可能になっている。「将来的には、他社と連携してユーザーの位置をもとにレストランをオススメしたりなどの機能が可能になると考えている」と日昔氏は話す。
つまり、「過去を管理するSwingmail、未来を管理するSwingdo」があるからこそSwingBotが生きてくるのだ。「SwingBotがもつ一番の参入障壁とは、私たちはすでにサーバーサイドで複数のサービスを同期をして、リアルタイムで通知をするという形をすでに構築しているということなのです」。
また、既存サービスを運用するなかで、当初の想定とは違ったユーザーから受け入れられていることが分かったと日昔氏が教えてくれた。
「最近受け入れられているのが、キャリアメールを捨てられない人達。それと、最近ではMVNOに乗り換えた人たちが結構いて、そこで付与されたメールをSwingmailで連携するという例が多いです。これは、30代の主婦などのユーザー層です」。
既存サービスが必ずしもフリーランサーなどの「仕事をするユーザー」だけでなく、主婦層などにも受け入れられているという点を考えれば、どちらかと言えばプライベート用のチャットという感が強いLINEで動作するSwingBotも広く受け入れられる可能性は高いだろう。
こうしたユーザー層のさらなる取り込みを目指し、Swingmailでは最近、mineo、Y!mobile、 楽天メールなどのMVNOメールとの連携も可能になった。同社は今後もMVNOとの連携を進めていくとしている。
海外へも積極的に展開
既存サービスのSwingmailでは、北米やイギリス、オーストラリア、北欧などの海外にも積極的に展開してきた。今回リリースするSwingBotについても、「言語の問題があるので英語圏に限られてしまうが、海外展開は積極的に狙っていきたい」とのこと。また、それに併せて他のチャットアプリへの対応も進めていく。まずは10月第4週目にSlack、12月にはFacebook Messenger版をリリースする予定だ。
SwingBotは「年内に20万アカウントの獲得」を目標としており、「そこまでくれば、サブスクリプション型や広告型のマネタイズも見えてくる」と日昔氏は語る。
既存サービスおよびSwingBotの更なる拡大のため、同社は11月に資金調達を予定している。