ピッツバーグのグーグル請負社員65名が労組結成で請負会社と合意

2年近く前、Google(グーグル)のペンシルベニア州ピッツバーグ事業所の請負業者らは、労働者の権利をより強く主張するために、全米鉄鋼労働組合(USN)に加入するための投票を行った。それは、テック業界の労働者全般で起きている組合結成への動きの早期事例だった。しかし、これまでブルーカラーやホワイトカラー労働者の間で起きてきた他の熾烈な争いと同様、交渉では双方とも徹底的に戦った。今週、ようやく何らかの具体的な結果が生まれた。

契約労働者たちは、テック業界の他企業と同様の待遇、と彼らが信じるものを要求した。当時Googleは、労働者を派遣していたITコンサルティング会社であるHCL Technologiesとの戦いを避けたがっているように見えた。

「当社は多くのパートナーと仕事をしていて、その中には労働組合員のいる会社もいない会社も数多くあります」とGoogleは最初の組合結成投票の後に語った。「他のパートナーの場合と同じく、HCLの従業員が組合を結成するかどうかは彼らと彼らの雇用者との間の問題です。当社は今後もHCLとパートナー契約を続けます」。

USWによると、ピッツバーグの労働者65名はHCLとの契約を承認した。3年契約で、労働条件、雇用保障、給与などが対象であると組合のメモに書かれている。

「HCLで働く当協会メンバーの2年近い努力と忍耐と団結の結果、合意に至った内容に私たちは誇りをもっています」とUSWのTom Conway(トム・コンウェイ)委員長が本件を伝えるリリース文で語った。「何よりも、私たちとHCLとの戦いは、あらゆる労働者に労働組合契約による保護と利益を受ける権利があることを明確に示しています」。

先週、契約完了を間近に控え、HCLは The Verge(ザ・バージ)に提供した声明で次のように語った。「この過程を通じて、HCLはUSWとの意義のある公正な議論に誠意を持って前向きに取り組んできました。従業員は望めば組合を結成できる、という彼らの権利を尊重する私たちの誓約は揺るぎません」。

しかし、USWが発行したリリースで、交渉委員会メンバーでHCL従業員のAmanda Parks(アマンダ・パークス)氏は、交渉の過程で明確な衝突があったことを指摘した。「私たちの懸念を無視したHCLは、組合結成を阻止しようと試み、失敗すると交渉手続きを引き伸ばし、その間に私たちの仕事を海外に移す報復行為にでました」とパーク氏が語った。「強力な組合と契約を得られた今、私たちは自分たちの声が届く確信を持っています」。

TechCrunchはGoogleにコメントを求めている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Googleピッツバーグ労働組合

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

労働組合への妨害でサムスン電子の取締役会議長に1年半の実刑

またもSamsung Electronics(サムスン電子)の経営陣の1人に実刑判決が出た。今回懲役1年6カ月の実刑を言い渡されたのは、サムスン電子で取締役会長を務めるイ・サンフン(李相勲)氏だ。最近の捜査でイ氏がサムスンの組合を潰そうと他のトップと共謀した「決定的証拠」が出たのだという。これが韓国の労働法規に違反するとされた。

捜査の始まりは2013年にさかのぼる。サムスンから流出した文書に社員の組合活動に対抗する方法が詳しく述べられていた。複雑な関与を明らかにするために捜査は何年にもわたったが、結局、10人以上のサムスン幹部が起訴されることとなった。

イ氏に対する起訴は一度取り下げられたが、昨年、別件でサムスンが家宅捜索を受けた際に新たな証拠が発見されたとして再度起訴された。発見された文書が容疑を裏付けたため本日の判決となったという。イ氏は控訴の見込みだ。ウォールストリート・ジャーナルが最初にこのニュースを伝えた。

サムスン電子社長で韓国系米国人のヤング・ソン(Young Sohn)氏は、先週ベルリンで開催されたTechCrunch Disruptに登壇している。これはイ氏の実刑判決が出る前だったが、他の数名のサムスン幹部はすでに有罪判決を受けていた。この問題についてTechchCrunchのマネージングエディターであるMatt Burns(マット・バーンズ)はソン氏に「何があったのか?」と尋ねた。当初ソン氏は(有罪となった幹部は)サムスン電子の社員ではなく、グループ内の他企業に属していると答え、「複雑な法律問題には答えられない。いずれにせよ(幹部らの)個人的問題だ」と述べた。

ソン氏はまた「起訴されたが有罪と証明されたわけではない」と述べた。もちろん判決が出る前であれば正しい。しかし有罪判決を受けた後はそうは言えないだろう。もちろん被告人らが控訴すればまた裁判中となる。

ただしソン氏は「規模の大小を問わず、どんな企業であれ明確な価値の基準と倫理を持つことは非常に重要だ。正しい仕事の仕方を管理職に継続的に徹底し、訓練していかねばならない」と認めた。

残念ながらここ数年、サムスンにおける価値の基準と倫理は明確ではなかったようだ。サムスンは一貫して明白に組合の結成や組合活動に敵対していたことが認定された。ソン氏がサムスンに加わったのは8カ月前であり、スキャンダルが始まった時期よりはるか後のことなので、法的、ビジネス的紛糾からサムスンを救い出し、正しい方向に舵取りをしてくれると期待していいだろう。

今回の判決で労働組合潰しに関する捜査はひと段落となるだろうが、これほど大規模な犯罪にトップが深く関わっていたのが認定されたことは、サムスンのイメージを大きく傷つけた。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Amazon、ニューヨーク市の第2本社建設を断念

Amazonは第2本社の一つをニューヨーク市内に建設することを断念すると発表した。クイーンズ区のロングアイランドシティーの第2本社計画がキャンセルされた原因は地元の住民、議員からの強い反発によるものだ。Amazonが長年反労働組合的な姿勢を取ってきたこと、また自治体のAmazonに対する税制優遇措置などが反対の理由として挙げられていた。

TechCrunchはAmazonから「候補地選定を再開する考えはない」とする長文の声明を受け取った。Amazonはバージニア州アーリントンの第2本社、またテネシー州ナッシュビルでの大型フルフィルメントセンターの建設計画を推進する。

こちらがAmazonの声明の全文だ。

慎重に考慮を重ねた結果、クイーンズ区ロングアイランドシティーにAmazonの第2本社を建設する計画を進めることを中止すると決定した。 Amazonが新本社建設にコミットするためには州政府、地方地自治体との長期にわたる良好な協力関係を築かねばならない。これには首長、議員による積極的な支持を必要とする。世論調査によれば、ニューヨーク市民の70%がAmazonの計画とそれにともなう投資を支持している。しかしながら州や自治体の多数の政治家がわれわれの進出に反対し、ロングアイランドシティーの建設プロジェクトを前進させるために必要な良好な関係を構築するつもりがないことを明らかにしていた。

このような結論となったことを遺憾に思っている。われわれはニューヨークを愛しており、そのダイナミズム、市民、文化は比類ないものと考えている。ことにロングアイランドシティーではスモールビジネスのオーナーや住民など、希望に溢れ、前向きに思考する多くのコミュニティー・リーダーと知り合うことができた。現在ブルックリン、マンハッタン、スタテンアイランドでは5000人以上がAmazonで働いており、われわれはこのチームをさらに拡大していくよう務める。

クオモ・ニューヨーク州知事、デブラシオ・ニューヨーク市長、またそのスタッフは第2本社を招致するために献身的かつ熱意に溢れる努力を払ってきた。われわれはこうした支援に深く感謝する。ニューヨークの市民を代表してクオモ知事、デブラシオ市長はAmazonの投資と職の創出を支援するために全力を挙げてきた。われわれはこうした努力に適するような感謝の言葉を知らない。【略】

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第2本社として選定された他の地区を異なり、クイーンズの場合はAmazonの計画発表と同時に地元からの反発が起きていた。反発の原因の一つはすでに不人気なビル・デブラシオ市長とAmazonの密室取引がある。ニューヨーク市のインフラは限界に近く、住宅事情も逼迫していた。さらに第2本社建設予定地が学校や公園、低所得者向け住宅と小規模な商業区域のための再開発用地だったことも助けにならなかった。

Amazonの代表者は市議会で繰り返し激しい攻撃を浴びた。「ニューヨークは組合の町だ」というスローガンを掲げる議員もいた。先週、Amazonはロングアイランドシティーの計画をキャンセルするかもしれないと報じられたが、その時点ではTechcrunchに対して「撤退の考えはない」と述べていた

しかもわずか2日前にはデブラシオ市長はミッション・クリティカルな計画だと述べていた。残念ながらこの「ミッション」は空中分解したようだ。

画像:Andrew Lichtenstein/Corbis / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+