米商務省がファーウェイへの禁輸をさらに強化、エンティティリストに38組織追加

米国時間8月17日朝、米商務省は中国のハードウェア大企業であるHuawei(ファーウェイ)が米国のテクノロジーを利用することを禁ずるため禁輸リストをアップデートすると発表(米商務省リリース)した。詳細は本日中に発表される。新しいリストも2020年5月に発表されたリストとほぼ同様の内容で、各種の抜け穴を塞ごうとしたものだ。ファーウェイは米国のテクノロジーにアクセスするため世界中で禁輸をかいくぐろうとしており、商務省はファーウェイを米国のテクノロジーからシャットアウトするために国際的な「もぐらたたき」を続けている。

リスト発表後、商務省の高官は「これは5月の規則を改正したもので、ファーウェイが禁輸命令を骨抜きにしようとする試みに対処したものだ」と述べた。これまで第三国の子会社は米国発のテクノロジーを利用したチップを購入することができた。商務省の狙いはファーウェイを米国発のテクノロジーから完全に遮断するこだ。もともと商務省の意図はそこにあった。

Wilbur Ross(ウィルバー・ロス)商務長官は今朝の声明で次のように厳しく指摘した。「中国共産党によって策定された目標を達成するためにファーウェイと海外子会社は米国企業が製造し、あるいは米国企業が開発したテクノロジーを利用した先進的半導体を入手するための努力により力を入れている。我々は米国発のテクノロジーに対するアクセスを禁じて以後、ファーウェイグループは第三者を通じて米国発のテクノロジーを入手し続けた。これにより米国の安全保障と国益が脅かされるに至っている。今回の措置はファーウェイにそのような抜け道を許さないという米国の決意を示すものだ」。

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またMike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官はファーウェイについて「監視国家を作っている中国共産党の手先であり、常に米国の規則を破ろうとしてきた」と歯に衣着せぬ表現で指摘した。

ポンペオ長官は「我々は中国共産党が米国市民のプライバシーを侵害し、ビジネス上の知的所有権を利用し、世界の次世代コミュニケーションネットワークの信頼性を侵害することを許さない。これは単なる理念ではない。米国合衆国政府機関はこの目標を達成することを行動によって裏付けている。司法省はファーウェイが米国で開発されたテクノロジーの知的所有権の窃盗、違法行為の共謀、通信詐欺、金融詐欺、組織的不法事業、対イラン経済制裁の回避を支援したなどにより(容疑者の引き渡しを)要求している」と述べている(米商務省リリース)。

ファーウェイは新規則に対してまだコメントをしていない。ただし同社はこれまで中国共産党と直接の関係があることやスパイ行為については否定を続けてきた。トランプ政権によりファーウェイに対する措置は大きく強化されたが、米国は長年に渡って同社の行動を厳しく監視してきた。

ちょうど1年前に制定された禁輸対象を列挙した「エンティティリスト」に、今回のアップデートでファーウェイ関連企業として21カ国38組織が追加された。Fox Businessのインタビューでロス長官は5月の禁輸規則に対しファーウェイがハードウェア、ソフトウェア双方で抜け穴を探す努力を続けていたことを指摘した(The New York Times記事)。このソフトウェアというのはGoogle(グーグル)が開発したAndroid OSと各種アプリを指すものだろう。

ロス長官は FOX Businessに対して「(5月の)禁輸規則によりファーウェイはサードパーティーをダミーに利用するなど脱法の道を探ることとなった。新規則では米国発のあらゆる装置とソフトウェアは禁輸の対象であり、利用には個別に許可が必要であることを明確化している」と述べた。

【Japan編集部追記】Huawei Technologies Japan K.K.は現行エンティティリスト(PDF)に掲載されている。

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米商務省は世界のファーウェイ関連企業46社を制裁リストに追加

カテゴリー:ハードウェア

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米商務省は世界のファーウェイ関連企業46社を制裁リストに追加

米国時間8月19日、米商務省(DoC)はHuawei(ファーウェイ)の世界各地のグループ企業46社を制裁対象リスト(エンティティリスト)に加えたことを発表した。この措置は即日発効する。このリストにはすでにファーウェイおよび関連企業多数が列挙されている。

また商務省はこの発表で一時的一般ライセンス(TGL、Temporary General License)を3カ月延長すると発表した。TGLは個人および企業にファーウェイおよび関連会社向けに一部のプロダクトの輸出を認める措置だ。TGLは対ファーウェイ取引禁止の「限定的例外」とされ、90日後に失効する。

プレス向け声明でウィルバー・ロス商務長官は次のように述べた。

我々は引き続き消費者に対してファーウェイ製品を利用しないよう呼びかけていくが、消費者が不利益を被らないようにするためにはさらに時間が必要だと判明した。同時に商務省はファーウェイに対する米国からの輸出が制裁リストおよび一時的一般ライセンスが目的とする精神に反したものとならないようモニターしていく。

もちろんファーウェイは中国政府とのセキュリティ問題での密接な関係やスパイ行為の実行について当初から否定してきた。 最近、ウガンダとザンビア政府のスパイ行為への協力が報じられ、ファーウェイグループの中国政府との密接な関係に改めて懸念が向けられていた。 こうしたセキュリティ上の問題が米国政府のファーウェイ製品の輸入やファーウェイへの技術移転の禁止措置の背景にある。

商務省は次のように声明している。

商務省はファーウェイについて調査した結果、同社の活動は米国の国家安全保障および外交上の利益に反するものと結論し、同社はエンティティリストに加えられた。原因となるファーウェイの行為には イランを利する経済サービスの提供を禁じた国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act)に違反する行為の共謀、対イラン制裁措置を破ったことに対する捜査を妨げた司法妨害罪など多数の明白な不法行為が含まれる。

米国のハード、ソフトへのアクセスを失うことはファーウェイにとって大打撃となる。例えば、ファーウェイが開発していることが明らかになったHarmonyOSは当面モバイルOSとしてAndroidを代替するものではなかった。これらの努力は長期的にGoogleなどの米国のテクノロジーから独立を目指す長期的努力の一環であるようだ。

Update:ファーウェイは商務省の決定に対する声明を発表し、「我々は米国商務省の決定に強く抗議する。この決定が行われたタイミングは明らかに政治的な動機が背後にあることを示すものであり、安全保障には無関係だ」と述べた。

画像:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

【Japan編集部追記】エンティティ・リストの内容は商務省記事の冒頭のリンク(PDF)に記載されている

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

トランプ政権が連邦政府のファーウェイとZTEの製品・サービスの購入禁止へ

トランプ政権は米連邦政府のすべての機関がHuawei(ファーウェイ)、ZTE、他2社の製品およびサービスを購入することを禁止する。米政府は安全保障上の脅威だとして対して中国に貿易制裁を加えてきた。今回の措置はこれをさらに一歩進めた。

ホワイトハウスの行政予算管理局の広報担当者であるJacob Wood(ジェイコブ・ウッド)氏は昨年議会で承認された「国防権限法を完全に遵守する」」と述べた。国防権限法(NDAA2019)は米国の軍事予算を定めるもので、この中で中国に対する広汎な制裁を実施すべきことが要求されている。国防権限法は上下両院の圧倒的多数で可決された。

CNBCがウッド氏のコメントを最初に報じた

国防権限法の要求を受けてホワイトハウスが公布する新しい規則は8月13日に発効するものと見られる。この規則によれば連邦政府書記官諸機関は中国の有力テクノロジー企業であるファーウェイ、ZTE、Hytera(ハイテラ)、Hikvision(ハイクビジョン)の製品やサービスを購入することが禁じられる。これらの企業は創立以来中国政府と密接な関係を保ち、中国のためのスパイ活動を働く恐れがあるとして警戒されていた。国防権限法2019は2020年8月までに連邦政府がこれら4社と契約することを禁じる規則の制定を求めている。トランプ政権は1年前倒しで実施することになる。

ただし「安全保障上の脅威に当たらない」と判断された場合、連邦政府はケースバイケースで取引を承認することができる。

ファーウェイは以前から中国政府のためにスパイを働いたことはないしそのような能力はないと主張してきた。しかし政府、議会を含めて多くの専門家は同社は5G中継設備などのネットワーク機器は米国の通信インフラを中国のスパイ活動の下に置く危険性があると指摘している。ファーウェイはこうした批判を根拠がないものとして強く否定している。しかし英国政府は同社のテクノロジーは安全保障上極めて危険という判断を公表した。この問題が最初に注目されたのは.2012年に下院司法委員会が暫定的に安全保障上の脅威と認定したときだった。

ファーウェイの広報担当者であるChase Skinner(チェース・スキナー)氏は「予想されたことだ」としながらも「今後も法廷で異議を申し立てていく」とコメントした。

取材に対してZTEはからはコメントがまだない。

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グーグルとファーウェイの共同開発スマートスピーカーが対中制裁でボツに

トランプ政権の制裁措置で日の目を見ることがなくなったHuawei(ファーウェイ)関連のデバイスの情報はこの後何週間、それどころか何カ月にもわたって聞こえてくるだろうと思う。例えば、われわれはファーウェイはGoogle(グーグル)と提携してスマートスピーカーの開発を進めていたが、禁輸措置にともなう大混乱の中に消えたという情報をつかんだ。

実際このデバイスは9月にベルリンで開催されるIFAトレードショーに出品されるはずだったが、ご存知のようなことで流れてしまったとThe Informationが伝えている。当然がら情報をもたらしたファーウェイ社員は匿名だ。

これはグーグルのパートナー関係全体の中で考える必要がある。同社はサードパーティーのハードメーカーと提携することで各種のスマートアシスタントを家庭に普及させる足がかりとしてきた。中でも中国は重要な市場で、実際、この5月にはスマートスピーカーの市場規模として米国を抜いたという。中国のハードメーカー、Lenovo(レノボ)はスマートクロックのディスプレイを製造している。

長年の疑惑、非難の後、ファーウェイはとうとう米国の貿易ブラックリストに載せらることになった。このためGoogleとのビジネスにも急ブレーキがかかった。禁輸リストにはAndroid(これは一時的に猶予期間が設けられているが)をはじめ、まだ発表されていない各種のデバイス、プロジェクトも含まれることになる。

ファーウェイはAndroidとGoogle Playストアに代わる独自のモバイルエコシステムを開発しているという情報も流れた。将来の方向はともかく、当面は制裁措置は同社の収益に壊滅的打撃を与えている。

ファーウェイもグーグルもこの件に対するコメントを控えた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleがファーウェイに対してAndroidのサポートを中止へ

トランプ政権のHuawei(ファーウェイ)制裁が広い範囲に長期にわたって影響を与えることは間違いない。

当面、ファーウェイ以外の関係者は米国と中国の間で立場を明らかにし、いわば橋を焼き落とことを避けようと慎重に行動している。ここでGoogleがはからずも注目を浴びてしまった。競争の激しいスマートフォン業界にあって、Android OSと多数の有力アプリの提供者であるGoogleの決定は影響が大きい。

米国時間5月20日夜のReuters(ロイター)の報道によれば、Googleは脱ファーウェイに向けて措置を取り始めたという。事情に通じた情報源が5月19日にロイターに語ったところでは、Googleはオープンソースライセンスでカバーされる部分を除き、ファーウェイへのハード、ソフトのサポートを停止した。これによりAndroidのアップデートの提供はすでに停止された。Android OSそのものはオープンソースなので利用できるが、Googleからのサポートはなくなる。

ファーウェイは明確な立場を示さずに済む方法を探っているようだ。同社も対策を検討している。スマートフォンはハードウェアとソフトウェアが密接に連携する非常に複雑な世界で、無数のコンポネントが世界中から調達されている。貿易摩擦が激化するにつれ、アメリカの対イラン禁輸措置に違反して制裁を受けた中国のZTEが一番大きな不利益を被っている。

ファーウェイは「この制裁は関係者全員に不利益なものだ」と反論しており、自給自足体制を確立する計画を発表して挑戦的な姿勢を崩していない。同社は米中関係の緊張の高まりを避けられないものとみて対処するつもりのようだ。しかしGoogle、Qualcomm(クアルコム)など米企業のテクノロジーなしにこうした強硬姿勢が維持できるのか疑問をもつ専門家もいる。

【Japan編集部追記】記事内で引用されているロイターの報道によれば、「ファーウェイの次世代スマートフォンは中国国外では最新のAndroid OSだけでなくGoogle Payへもアクセスできなくなる」とのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook