2021年3月、小さな帽子をかぶった宇宙人の24×24ピクセルの1組のポートレートがそれぞれ約750万ドル(約8億2000万円)で販売されたのは、Beeple(ビープル)がNFTを6900万ドル(約75億7000万円)で売却したというニュースが全米の新聞の一面を飾る数時間前のことだった。
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この宇宙人のポートレートは片方が売れてからもう片方が売れるまで20時間ほどしかかからなかったのだが、Beepleのオークションのようにメディアをにぎわせることはなかったが、片方がデザインソフトウェアのスタートアップFigma(フィグマ)のCEOであるDylan Field(ディラン・フィールド)氏によって販売されたため、テックメディアで少し取り上げられた。販売後のクラブハウスでの会話で、フィールド氏は、ブロックノイズのように角ばった輪郭で描かれているこの作品が、今から1世紀後には「デジタルアートのモナリザ」になることを願っていると述べた。
Punk #7804、最近4200イーサ(販売時点で約8億2000万円)で販売された
ピクセルで作成された宇宙人のポートレートは、CryptoPunks(クリプトパンク)と呼ばれるNFTプラットフォームで所有されていた。NFTの世界では、このプラットフォームはかなり古い時代のもの、つまりほぼ4年以上前のものだ。登録されている1万体のパンクはすべて手順通りに作成され、プロジェクトが開始された2017年には無料で配布されていた。
それ以来、これらの画像の取引を中心に築かれた経済は、少なくとも数カ月前までは、小さいながらも情熱的なコミュニティとともに成長してきた。それが突然、ピリピリしたシリコンバレーのCEOや著名なベンチャー投資家、有名なYouTuber、ポーカーの有名なプロなど、主要な実業家を巻き込んで急成長した。NFTの追跡サイトCryptoSlam(クリプトスラム)によると、同プラットフォームでは、ローンチ以来、正式な取引で2億ドル(約217億9000万円)相当の取引が行われているという。これは過去数カ月で、NFTの取引の98%が同プラットフォームを経由して行われたということだ。
「パンク」(クリプトパンクで取引される画像)の価格が急上昇したのは、暗号資産の価格上昇、Dapper Labs(ダッパーラボ)のNBA Top Shot(NBAトップショット)の人気上昇、物理的な収集品市場の復活などをきっかけとしてNFTに対する関心が急に高まったことが主な原因だが、こうした状況により、デジタル商品への投資に対する心理的なハードルが低くなった投資家が増えた。
現在、最も安価なパンクはEthereum(イーサリアム)暗号資産で約3万ドル(約329万円)、希少価値が最も高いものになると1000万ドル(約11億円)弱の値が付くようだ。
クリプトパンクは大いに注目を集めている。しかし、あらゆる目がプロジェクトに注がれているにもかかわらず、人々は自分が何に注目しているのか、まだはっきりとわかっていない。
Sotheby(サザビー)のCEOであるCharles Stewart(チャールズ・スチュワート)氏はTechCrunchとのインタビューで「NFTの世界では、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏のツイートの販売、トップショット、Beepleが同じ文脈の中で語られています」と話している。「境界線が曖昧になっている可能性があります。クリプトパンクは芸術なのでしょうか。収集品なのでしょうか。正確には何でしょう」と同氏は付け加えた。
画像クレジット:Lucas Matney
「より公正な」株式市場
2017年の初め、John Watkinson(ジョン・ワトキンソン)氏とMatt Hall(マット・ホール)氏は、自分たちが作ったピクセルキャラクター作成ツールで遊び、自分たちが考え出したおもしろい小さなポップアートのポートレートにかなり夢中になっていた。6月までに、新興のイーサリアムブロックチェーンでホストされるクリプトパンクと呼ばれるプロジェクトのために、さまざまなヘアスタイル、帽子、メガネを持つ1万体のキャラクターを作成した。パンクの中にはいくつかの属性を持つものもいれば、属性を持たないものあり、類人猿や宇宙人のパンクもあった。クリエイターはいくつかの要素をキュレートしていたが、どんなパンクになるかはツール次第だった。
クリプトパンクは、ブロックチェーン愛好家の小さなコミュニティからささやかな関心を集めた。イーサリアムの「ガス代」(取引手数料)を数セント(数円)だけ払えば自分のパンクを所有できるからだ。クリプトパンクは、NFTプラットフォームCryptoKitties(クリプトキティ)が誕生する数カ月前、またNBAトップショットが誕生する数年前から存在する斬新なアイデアだったが、イニシャル・コイン・オファリングの初期段階に、2017年の暗号資産の波がやってきた。この頃は詐欺が多く、なかなか注目を集められなかった。ホール氏によると、ローンチの数日後に購入されたパンクは20〜30体だった。
それから1週間後、発足したばかりの暗号アートプロジェクトに関する記事がMashable(マッシャブル)に掲載されると、数時間後にはパンクは売り切れた。
中にはすぐにうまくいかなくなったユーザーもいた。hembaというユーザー名を使い、クリプトパンクコミュニティの要注意人物だったあるユーザーは、ローンチ時に1000体以上のパンクを購入し、この年、市場が上昇する前に1つ残らず売却したため、現在の価格で数千万ドル(数十億ドル)の利益を逃すことになった。mr703という別のユーザーは、ローンチ時に合計で703体ものパンクを購入し、そのうち数百体を数千万ドル(数十億ドル)相当のコレクションとして数年後も保有している。
ペンネームmr703とのディスコードチャットで「もう十分だと感じているか、あるいは、今後もパンクを買う予定か」と尋ねたところ「本当に欲しいパンクはすべて所有している」という答えが返ってきた。彼らが公開しているウォレットを見ると、私たちの質問に答えるまでの数分間で1体のパンクを3万7000ドル(約404万円)以上で購入し、その数時間後には、別のパンクを3万5000ドル(約383万円)で購入していた。
リスクの高い暗号資産を全面的に支援している一部の投資家は、NFTは暗号資産の保有手段を多様化する方法だと考えている。またクリプトパンクをどちらかというとゲームだと捉える投資家もいる。
クリプトパンクのクリエイターであるマット・ホール氏とジョン・ワトキンソン氏
「年々、ギャンブルと投資の違いが曖昧になってきているように思います」と、最近初めてパンクを購入したプロのポーカープレイヤーMike McDonald(マイク・マクドナルド)氏(31歳)は話す。
数万ドル(数百万円)の値が付くパンクもあれば、数百万ドル(数億円)の値が付くパンクもある。それはなぜだろう。盛り上がりを見せるクリプトパンクのディスコードコミュニティのユーザーは、デザイン属性の希少性に対する客観的分析とパンクの「美学」に対する主観的な印象に基づいて、パンクの価格を自分たちで決定する必要があった。
物事は常に予測できるとは限らない。パンクの属性として最も一般的な、イヤリングを付けたパンクは、最もレアな属性であるビーニー帽をかぶったパンクよりもはるかに低い価格で取引されている。しかし3Dメガネをかけた何百ものパンクは、数が少ない緑色のピエロの髪をしたパンクよりも高額のプレミアムを獲得する傾向にある。市場での勢いが不規則に増す属性もある。例えばここ数週間、パーカーを着たパンクの市場が特に過熱している。
「言うまでもなく、これは非常に投機的な市場です。しかし株式市場よりは公正だと思います」とユーザーのMax Orgeldinger(マックス・オゲルディンガー)氏はTechCrunchに語っている。「Elon Musk(イーロン・マスク)氏は称賛に値しますし、私はTesla(テスラ)の大ファンですが、株式市場には株価を支える原理はありません。GameStop(ゲームストップ)を見ても同じです。株式市場には誰も理解できない非常に複雑な数学が存在すると多くの人が考えていますが、NFTコミュニティにはそういう考えに騙される人はいないため、より公正な取引が行われています。つまりNFTコミュニティで人々が行うことは価格の決定だけであり、支払いたければそれが価格になり、支払いたくなければ価格になりません」。
価格が高騰したため、クリプトパンクの限定品を所有していること自体が「デジタル財産」になる。ソーシャルメディアサイトでアバターとして使う場合は特にそうだ、と数人のパンク所有者はTechCrunchに語った。ブロックチェーンの世界以外でも多くの富裕層がパンクを購入している。YouTuberのLogan Paul(ローガン・ポール)氏のようなインフルエンサーは、2021年3月、複数のパンクを17万ドル(約1860万円)で購入したときの動画をアップロードしている。
「パンクを持っていなければ、エコシステムは、このようなアバターを購入する余裕のある1万人のジェントルメンズ・クラブのようなものです」とマクドナルド氏はいう。
コミュニティの間では、このような外部からの注目は価格の暴落が起きる兆候でないかという懸念があるが、多くの投資家はNFTにおけるクリプトパンクの歴史的な価値に安心感を持っている。とはいえ、一部の投資家は、自分たちがやっていることは決して無謀ではないと周囲の人々を説得するのに苦労している。
「ガールフレンドが自分の家よりも高い金額をパンクにつぎこんだことに憤慨していた」というのは、最近6桁の金額のパンクを購入したユーザーであるChris Minter(クリス・ミンテン)氏だ。「彼女によると、パンクを購入する人々はお金の価値を正しく理解していないインターネットオタクの集まりだそうです。そうした人々にとってお金はただのゲームであり、画面上の数字にすぎないのです」と彼はTechCrunchに語った。
クリプトパンクを取り巻くコミュニティは、主にチャットアプリのディスコードの専用グループで活動している。このグループでは、パンク所有者であると確認されたユーザーが会話を盛り上げる傾向にあり、彼らが投資している有望なNFTプロジェクトへの注目を集めることができる。
「これはちょっとしたカルト集団です」とユーザーのthebeautyandthepunkはインタビューの中で述べている。
多くの初期のユーザーと同様に、thebeautyandthepunkは、ローンチ時に数十のパンクを購入してから偽名を使い続けており、数百万ドル(数億円)の価値があると思われるNFTコレクションを所有していることは、自分の会計士以外は誰も気づかないだろう、とTechCrunchに語っている。彼女は最近、圧倒的に男性が多いクリプトパンクコミュニティに、ローンチ当初から参加していた数少ない女性トレーダーの1人であることを公表することを決めた。
「私は現実の生活と暗号資産の生活を完全に分けようとしています」と彼女はいう。「しかし、女性はしばらくこの分野で活躍してきたこと、そして女性がこの分野から去ることはないということを、人々は知る必要があります」。
暗号資産トラッカーのEtherscan(イーサスキャン)によると、現在、1万体のパンクが1889個のウォレットに分散している。これらのアカウントの中には使用されていないものや、失効したと見られているものがあり、その中のパンクはブロックチェーン上で永遠に消えてしまうことになる。現在、パンク用の最大のウォレットを所有しているのは、NFTプラットフォームのクリエイターであり、488ものパンクを持っている。ほとんどの仕組みがすでにでき上がっているブロックチェーンベースのマーケットプレイスにおいて、クリエイターが唯一「所有」できるものがパンクなのだ。
「今は私たちもユーザーにすぎません。私たちのウェブサイトでは、私たちがこのプロジェクトを作ったということに言及していません」とワトキンソン氏はTechCrunchに話す。「所有しているパンクから取得しているものが、私たちの唯一の持ち分です。市場から分け前を取ることはありません」。
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巨額の金が動くNFTの世界
現在、クリプトパンクのクリエイターたちはNFTに専念している。クリプトパンクの契約に根本的な変更を加えることはできないが、Discordのグループに参加し、増え続けるユーザーのコミュニティを見守りながら、ウェブサイトのマーケットプレイスを改善しようとしている。
「これを私たちの仕事にしようと思ったことは一度もありませんでした」とワトキンソン氏はいう。
2019年に、ホール氏とワトキンソン氏は、ブロックチェーンにジェネレーティブアートをもたらす「Autoglyphs(オートグリフ)」という後続プロジェクトを発表した。オートグリフは、クリプトパンクのようなポップな美的感覚を備えていないが、ブロックチェーンアートの探求をさらに深めた。ホール氏とワトキンソン氏は、さまざまなプロジェクトを中心としたLarva Labs(ラルバ・ラボ)という会社を発足した。現在、彼らは新しいNFTプロジェクトを立ち上げているが、そのプロジェクトはクリプトパンクやオートグリフよりも参入障壁が低くなると期待されている。
「クリプトパンクはますます高価になり、参入が難しくなっています」とホール氏はいう。
公式マーケットプレイスでのクリプトパンクの販売総額は約2億ドル(約218億円)で、その生涯総売上数は、Dapper Labs(ダッパーラボ)のNBAトップショットが過去数カ月で達成した売上数の約40%に相当する。ただしクリプトスラムによると、クリプトパンクはトップショットの総取引数の0.35%、つまりトップショットの330万件以上の取引に対し1万2000件以下の取引でこの売上を実現したことになる。多数の取引が数百万ものNFTに分散しているため、トップショットの取引当たり価格ははるかに低いが、アクティブユーザーの数ははるかに多いということだ。
3月、ダッパーラボは26億ドル(約2829億円)の評価額で3億500万ドル(約332億円)を調達したと発表した。注目を集めるパートナーシップを通じて、プライベートなフローブロックチェーンを他のブロックチェーンの「ゲーム」に拡大しようとしているためだ。ホール氏とワトキンソン氏は、ダッパーラボの成功の行方を見守っているが、NFTの次のステージを今後も模索するために、ラルバ・ラボにベンチャー資金が必要になるとは考えていない。
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「大企業になってNBAと契約するといったことよりも、技術的な可能性を探求し続けることを楽しみにしています」とワトキンソン氏はいう。「クリプトパンクで気に入っているのは行動です。私たちはそうしたレベルの行動を取り戻す方法を見つけたいと思っています。私たちの次のプロジェクトでは、取引の流れを持続させる方法を見つけます」。
彼らは、2021年「比較的早い時期」に公開すると言っている新しいプロジェクトについて、ほとんど詳細を明らかにしていない。
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種の起源
クリプトパンク伝説は、クリプトパンクはイーサリアムブロックチェーンで最古のNFTプロジェクトであるという主張に深く根差している。これは、私が話をしたパンク所有者のほぼ全員が、このプラットフォームに数十万ドル(数千万円)を投資した最大の理由として口にした言葉である。ポール氏は、最近のYouTube動画で、懐疑的な友人たちに「クリプトパンクは初のNFTプロジェクトである。だからクリプトパンクは特別なのだ」と言って価格を正当化した。
しかしここ数週間で、この伝説に穴が開き始めた。「暗号の考古学者」が、イーサリアムの創成期に作成され、後に放棄されたNFTプロジェクトを発掘し始めている。そのうち少なくとも1つはクリプトパンクより前のものだ。私たちは最近「Etheria(イーサリア)」というプロジェクトのクリエイターであるCyrus Adkisson(サイラス・アドキソン)氏に話を聞いた。同氏は、イーサリアムのメインネットが稼働してからわずか3カ月後の2015年にEtheriaを公開した。このプロジェクトでは、ユーザーは大きな地図上で六角形のデジタルの土地を購入、販売し、その上に建築することができた。ローンチ当初はファンがあまり増えず、イーサリアムのブロックチェーンに何年も放置されていたが、アドキソン氏は、NFT周辺での「異様な盛り上がり」を見て、古いアカウントのパスコードを探し始めた。
「私は2月の終わり頃に両親に電話して、金鉱の上に座っているかもしれない、と言ったのを覚えています」とアドキソン氏はTechCrunchに語った。
アドキソン氏は、最終的に自分のEtheriaアカウントにアクセスし、長い間停止していたEtheriaのTwitterアカウントからいくつかのツイートを発信し、外部で取引可能な2つのバージョンの914タイルの大半が入手可能であり、1タイル1エーテルで購入できることを説明した。アドキソン氏によると、その週末の終わりには、空っぽだったウォレットが140万ドル(約1億5000万円)相当のイーサリアムで満たされたという。
古いというだけでEtheriaはヒットしない。ここからの大きな課題は、多くのユーザーを取り込み土地タイルの価格を押し上げる、プロジェクトを中心としたコミュニティを構築することだ。最近では、1枚のタイルが約2万5000ドル(約272万円)相当のイーサーで売り出されたが、早期にEtheriaに参入していた人たちは、市場の発展を待ちながら、新しいユーザーが参入でき、プロジェクトの注目度が上がるようにタイルを調整することに苦労している。
「これらのプロジェクトには、確かに歴史的な流れがありますが、今はコミュニティとの強固な基盤を構築する必要があります。実際の指標は現在にあるのではなく、1年後のコミュニティの状況、規模、エンゲージメントにあるからです」と、NFTの熱心な支持者であるAllen Hena(アレン・ヘナ)氏は語る。同氏は3月、一連のブログ記事を投稿して、Etheriaのコミュニティに注目を集めるのに貢献した。
このプロジェクトが復活してから数日のうちに、若いコミュニティには意見の相違や内輪もめが数多く見られた。アドキソン氏が、すでに多くの人が手を引くことを決めているプラットフォームに対し、ある程度のコントロールを維持しようとしているためだ。オーナーが主に不満を抱いているのは、アドキソン氏が旧バージョンのEtheriaの外部取引を可能にしようとしていることだ。これにより、既存契約の土地タイルの価格が大幅に下落する可能性がある。TechCrunchのインタビューの後、アドキソン氏はEtheria 1.0の方向性を決定するために、Etheriaのディスコードサーバーから退出し、グループの管理者たちは彼抜きで活動を続けることを明言した。
私たちが話を聞いたパンクオーナーたちは、新たに再浮上したプロジェクトに注目しているが、Etheriaの「古さ」がNFTの歴史におけるクリプトパンクの価値に大きな影響を与えるという考えには懐疑的だ。
「理論上はクールに見えますが、実際にはコミュニティのためになることはありませんでした」と、ユーザーのDaniel Maegaard(ダニエル・マエガード)氏はいう。「難しい作業すべてを実行したのはクリプトパンクなのです」。
Punk #6487、最近、ダニエル・マエガード氏が550イーサーで販売(販売時点で約1億1442万円相当)
30歳の暗号投資家であるマエガード氏はオーストラリアのブリスベンを拠点とし、クリプトパンクの価値に誰よりも投資している。彼は最近、特に珍しい「属性のない」女性のパンクを100万ドル(約1億1000万円)以上で販売した。彼は、最も希少なパンクの1つ(最も希少という人もいる)のオーナーでもある。このパンクは、7つのユニークな属性を持つことから「7-atty」という異名を取り、パンク伝説の聖地になっている。2020年、彼がイーサリアムでこのパンクを買った時の値段は、過去最高額の約1万8000ドル(約196万円)だった。彼はすぐには手放す気はないようで、最近、NFTをトークン化し、その一部を他のユーザーに販売したいという投資家グループからの420万ドル(約4億5700万円)のプライベートオファーを断ったと言っている。そのパンクを持っているとさらなる利益が得られる可能性があるというのも理由の1つであるが、本当の理由は、デジタルファイルのコレクションとの感情的な結びつきを感じ始めているからだ。
「この小さなピクセルでできた顔は、簡単に手放せます。私はいくつかのパンクを売ったことがありますが、いつも後悔します。属性のないパンクを売ったときも後悔しました」とマエガード氏はいう。「100万ドル(1億1000万円)はすごい額ですが、私は彼女のことが本当に好きだったみたいです」。
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(文:Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)